現在5試合未勝利(2分け3敗)が続く7位セレッソ大阪は、15日に敵地で2位のFC町田ゼルビア戦に臨む。
ヴィッセル神戸に1-4と惨敗して中3日。日程や精神面の影響でチーム全体が疲弊する状況にある。その窮地を救うのが、8試合ぶりの先発の可能性があるU-23アジア杯で日本代表だったDF西尾隆矢(22)になる。
町田戦の翌16日は23歳の誕生日。背番号33のファイターが22歳最後の夜、攻守に閉塞(へいそく)感が漂うチームの流れを変えたい。
4~5月のU-23アジア杯では、中国との初戦で肘打ちによる一発退場となり、3試合の出場停止処分を受けた。仲間は、それでも「リュウヤのために」と決勝トーナメントを駆け上がってくれた。悲願のパリ・オリンピック(五輪)出場権は、西尾も後半終了間際に出場した準決勝のイラク戦でつかんだ。
C大阪の仲間も、日本で西尾を応援していた。
小菊昭雄監督(48)は「退場の件に関しては、これからのサッカー人生に生かして欲しい」と言い、GKキム・ジンヒョン(36)は「サッカーって人間性を鍛えてくれるスポーツ。これがきっかけで強くなる」と後押しした。
カタールから帰国後の西尾は、まだコメントをしていない。神戸戦もベンチ入りしながら、出場機会はなかった。小菊監督が言う“これからのサッカー人生”のスタートは、町田戦になるはずだ。
町田には、ここまで5得点のオ・セフン(25)、同じU-23アジア杯に出場していた藤尾翔太(23)や、平河悠(23)といった強力FWがいる。
特に西尾と藤尾は同じC大阪下部組織の同期生で、ともにパリ五輪を目指してきた。C大阪のプロ生活でも同じ時間を過ごした。
藤尾について、西尾は今季開幕後に「(代表で一緒になっても)日常会話ぐらいしかしない。普通の友だちで、シビアな感じではない。ただ(Jリーグで)試合する時に、マッチアップできればうれしい」と意気込んでいた。そのJ1での初対決へ、燃えないわけがない。
未勝利が続くここ5試合のC大阪は、すべて先制点を許して後手に回る。そもそも開幕後、無敗街道で一時首位に立ったチームを、西尾が5試合連続の先発で支えていた。
3年連続で副主将を務める22歳にとって、愛するチームを6試合ぶりの勝利に導くことが、周囲への恩返しと新たな成長への1歩になる。
◆西尾隆矢(にしお・りゅうや)2001年(平13)5月16日、大阪・八尾市生まれ。C大阪ジュニアユース(U-15)、ユース(U-18)を経て20年にプロ契約を結び、今季が5年目のセンターバック。22年1月には日本代表候補合宿に初招集。J1通算69試合2得点。180センチ、77キロ。