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看板力士、苦戦の1年=初場所は1横綱1大関に―大相撲クローズアップ(下)


 年6場所の優勝力士が全て異なった今年の大相撲。横綱照ノ富士が5月の夏場所を制したものの、7月の名古屋場所からの3場所は逸ノ城、玉鷲、阿炎と平幕が賜杯を抱いた。貴景勝をはじめ大関陣の優勝はなく、看板力士の苦戦が目立った。  年6場所制となった1958年以降、全6場所の優勝力士が異なるのは3度目。3場所連続の平幕優勝は過去にない。11月の九州場所で御嶽海は大関に返り咲けず、正代は関脇への転落が決定。来年1月の初場所は1909(明治42)年に横綱の地位が明文化されてから初めて、1横綱1大関で迎える事態となり、あるベテラン親方は「世も末。今後、大関に上がる力士が出てきたとしても、安定した成績は残せないだろう」と嘆く。  両膝の手術を受けた照ノ富士の復帰時期が不透明なだけに、より責任が増すのが貴景勝だ。名古屋場所以降の3場所は2桁白星を挙げ、九州場所では優勝決定ともえ戦に進んだ。  「調子が悪くても、けがをしていても、結果で応えるのは難しい。それでも、成績を残して上がった。抽選で上がったわけではない」。大関の地位に対する思いを問われ、そう胸の内を明かしたことがある。2020年九州場所以来となる賜杯への意欲も一層、高まっているだろう。  若隆景は新関脇だった3月の春場所で初優勝し、9月の秋場所も11勝。豊昇龍は三役昇進後もしぶとく勝ち越しを続けている。大関昇進はなるか。平幕力士からは「誰にでも優勝のチャンスはある」との声が多く聞かれるように賜杯の行方が毎場所、混沌(こんとん)とする中、引っ張る存在が見当たらないのはファンにとっても物足りない。厳しい視線が土俵に注がれている。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕九州場所13日目、正代(左)は玉鷲に押し出され、関脇への転落が決まる=11月25日、福岡国際センター 〔写真説明〕秋場所11日目、佐田の海(手前)に屈し、大関陥落が決まった御嶽海(奥)=9月21日、東京・両国国技館
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