キンクミ、３３歳の涙＝樋口久子さんも喜ぶ復活Ｖ―女子ゴルフ

　ウイニングパットを沈めると、見る見る涙顔になった。１０月３０日、女子ゴルフの樋口久子・三菱電機レディース（埼玉・武蔵丘ＧＣ）で３３歳の金田久美子が優勝した。２０１１年のフジサンケイ・レディース・クラシック以来１１年１８９日ぶり、１９８８年のツアー制度施行後は最長ブランクでの復活勝利に、万感の涙。「いろんな思いが…」と声を詰まらせた。 　愛称「キンクミ」。小学生の頃から世界ジュニア選手権を何度も制すなど「天才少女」と言われ、中学１年の０２年、リゾートトラスト・レディースで最年少（１２歳９カ月）の予選通過。中３で出た０４年のゴルフ５レディースでは３位となった。 　プロになって２１歳の春にツアー初勝利を挙げ、その１１年の獲得賞金は３８００万円超。１３年には４３００万円を超えたが、そこがピークだった。 　「全てが崩れていた感じ」という５～６年前。ドライバーが極端に左へ。フェアウエーから大きなグリーンに乗せられず、５０センチを外す。「ゴルフ場を見て涙が出た。じんましんにも悩まされて」 　プレー以外のつらさもあった。金色に染めた髪やファッションが金田の個性でもある。だが、自身のＳＮＳで私服の写真などを載せると「そんなことしているから勝てないんだ」など、きつい反応も多かった。心が折れそうになりながら「見返してやるぞ、と思った」。それを結果で示した。 　大会名誉会長の樋口さんも涙。もらい泣きした金田は、アマチュア時代のメークをめぐるエピソードを明かした。「温かい、お叱りの言葉を頂きました。中学生の頃、『ちょっと。あなた、目の周りが真っ黒よ』とか。次の日から気を付けました」。それから２０年近く。「樋口さんの（名が付く）大会で勝てて、うれしい」。自分を気にかけてくれたレジェンドの前で「すごく重い」２勝目を挙げ、感慨に浸った。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕女子ゴルフの樋口久子・三菱電機レディースで優勝し、涙ぐむ金田久美子＝１０月３０日、埼玉・武蔵丘ＧＣ 〔写真説明〕女子ゴルフの樋口久子・三菱電機レディースで優勝し、トロフィーを手に笑顔の金田久美子（右）と大会名誉会長の樋口さん＝１０月３０日、埼玉・武蔵丘ＧＣ