照ノ富士、見せつけた地力＝豊昇龍との熱戦制す―大相撲名古屋場所

　コロナ関連による休場者が相次ぎ、やや寂しさも漂った館内。結びの熱戦が土俵を大いに盛り上げた。豊昇龍が繰り出すこん身の攻めを受け切った照ノ富士が、横綱の地力を見せつけた。 　豊昇龍は照ノ富士に幕内で過去５戦全敗。横から攻めて何とか崩そうとする意図が見て取れた。立ち合いで少し動いて左で上手を引き、いったん離れた後は右で上手を取って頭をつける。出し投げでくるくると回したり、足技を見せたりして揺さぶった。 　横綱は左下手を命綱に反撃の機会をうかがう。頭をつける場面も。下手から振り、体勢を立て直す。圧力をじりじりとかけて寄り切り、相手は土俵下へ。際立ったのは横綱の力強さだった。 　八角理事長（元横綱北勝海）は「落ち着いていた」と評価した。照ノ富士は６日目からの６連勝で２敗を堅持。８日目に３敗となりながら巻き返して優勝した先場所が重なってくる。 　これまで名古屋で賜杯を抱いた経験はなく、「今年こそは」との思いは強い。平幕の活躍も光る今場所にあって、横綱の責任を果たそうとする照ノ富士の決意が伝わってくる。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕照ノ富士（右）は豊昇龍を寄り切りで下す＝２０日、愛知・ドルフィンズアリーナ