佐藤輝、ここぞの一発＝苦境でも「どんどん振る」―プロ野球・阪神

　両チームの投手が踏ん張って、ゼロ行進で迎えた九回。勝負を決めたのは阪神の４番佐藤輝だった。１８日のヤクルト戦以来となる本塁打で、８回無失点のウィルカーソンに白星をもたらし、「いいピッチングをしてくれていたのでよかった」。最高の援護ができたことを喜んだ。
　フルカウントから、目の覚めるような一振り。低めの変化球をすくい上げるようにして捉えると、高く上がった打球はぐんぐん伸びてバックスクリーンに飛び込んだ。
　開幕からチームは低空飛行。投手陣が調子を取り戻した一方で、打線は復調の兆しが見えてこない。前日までの楽天３連戦では、わずか２得点だった。
　佐藤輝はこの日、第３打席まで凡退し、走塁ミスもあった。それでも「長打が僕に求められること」。主砲の役割を胸に刻んで下を向かず、力強いスイングで勝利をもぎ取った。
　借金はまだ１２ある。そんな苦境でも佐藤輝は「チームとしても個人としても、いい調子に向かっていけるようにしたい。どんどん振っていきたい」。２年目の２３歳には、雰囲気をがらりと変える一発の魅力がある。　（了）
【時事通信社】
〔写真説明〕９回、決勝のソロ本塁打を放ち、ホームで迎えられる阪神の佐藤輝（右）＝２７日、ゾゾマリン
〔写真説明〕９回、決勝ソロを放った阪神の佐藤輝（左端）を迎える大山（中央）ら＝２７日、ゾゾマリン