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マシン止めて救出=レース愛した高橋さん


 16日に死去した高橋国光さんは、二輪ロードレース世界選手権の優勝に始まり、引退後にチームの監督として指揮を執った活躍も含め、日本のモータースポーツ界に大きな足跡を残した。二輪と四輪の両方で成功した選手は世界でも例は少ない。  高橋さんを語る上で欠かせないエピソードといえば、1977年、当時国内最高峰のF2000開幕戦での出来事だ。このレースで竹下憲一選手がコースアウトしてクラッシュ。トップを独走していた高橋さんは、ゴールまで残り2周で優勝を目前としていたが、マシンを止めて救出に向かった。すると、他の選手も次々にレースをやめてこれに協力した。  高橋さんは優勝と認められ、その行為も称賛された。しかし、喜びは別のところにあった。「暴走族みたいな扱いをされていたけど全く違うんだ、日本のレース関係者やファンはみんなジェントルマンなんだって証明できたことが本当にうれしかった」  全力で攻める走りが身上だった。生涯で誇れるレースを問うと、スピン後の驚異的な追い上げで当時のライバル生沢徹選手に迫って2位になった67年のレースを挙げた。「全力で攻め切った。勝てなかったけど満足できた」。逆に最も恥ずかしかったのは「安全策を取って優勝したレース」と答えた。  「コーナーは全力で攻めないと正しいラインが見えない。100%でラインが決まり、その先が見える」と話していた高橋さん。引退後もチーム監督としてサーキットに姿を見せ、多くの人にバイクや車の楽しさ、モータースポーツの素晴らしさを伝え続けた。レーサーのように攻める姿勢を貫いた人生だった。(了)【時事通信社】
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