青木、恩返しの日本新＝平井監督の助言生かす―競泳代表選手選考会

　ゴール直後。電光掲示板を見た女子１００メートル平泳ぎの青木は左手で水面をたたいて喜びを表した。８年ぶりに日本記録を更新して、世界選手権への切符を獲得。「まさかここまでいくとは。本当にびっくり」と実感を込めた。 　呼吸が浅くなるほど緊張していたが、決勝は長く師事する東洋大の平井監督から「周りを見ないように」と受けた助言を心に留めてスタート。「緊張の中にも冷静な自分がいた」という心持ちでレースに入れた。 　持ち味の積極的な泳ぎでただ一人３０秒台で折り返すと、そこから崩れなかった。手をかく位置をいつもよりも浅く心掛けて粘り、最後は後続を２秒近く突き放した。力任せではなく、丁寧に泳ぎ切ることも、練習で指摘されてきたこと。それでも「まだしっくりこない」。感覚がかみ合えば、さらに伸びる余地がありそうだ。 　「まずは日本新でちょっと恩返しができた」と話した後、「今度は平井先生の首にメダルを掛けてあげたい」。２０１９年の世界選手権は、表彰台まで０秒０４差の４位。今度こそ一回り成長した姿を見せる構えだ。（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕女子１００メートル平泳ぎで日本新記録を出した青木玲緒樹＝２日、東京辰巳国際水泳場