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「奇跡の一本松球場」で活性化を=陸前高田の新たなシンボル―東日本大震災11年


 東日本大震災による津波で甚大な被害に遭った岩手県陸前高田市。名勝「高田松原」に並んでいた7万本の松のうち、1本だけ残った「奇跡の一本松」がよく知られる。そこから少し離れた場所にある高田松原運動公園の第一野球場は「楽天イーグルス 奇跡の一本松球場」の愛称で、市の新たなシンボルとしての役割を期待されている。  かつての球場は「高田松原」に隣接。プロ野球の2軍戦に備え、2011年3月15日に改修工事を終えるはずだった。その4日前に地震が発生。照明塔を除いて全て津波にのみ込まれた。  別の場所での再建を余儀なくされ、新たな土地の確保や予算のやりくりに苦労しながらも、20年8月に新球場が完成した。市とパートナー協定を結ぶプロ野球楽天が、親しみやすい愛称を付けることを提案。市民から意見を募り、復興のシンボルの名が冠された。  震災の前から、運動公園は地域のあらゆる世代の人々が交流を深める場だった。市の都市公園担当として整備に携わった阿部勝さん(61)は「そういう役割を果たしてきた運動施設なので、もう一回復活させなくては、という思いが強かった。ようやく務めが果たせたという安堵(あんど)感が大きかった」と完成した時の心境を語った。  陸前高田市はもともとスポーツの盛んな町。プロ野球ロッテで活躍する佐々木朗希投手は同市出身で、かつて同じ町内で暮らしていた阿部さんは「朗希君をよく知っている人がいっぱいいて活躍をみんなで期待している。(陸前高田で)朗希君がやれる機会があればいいな、と個人的に思っている」と声を弾ませた。  運動公園は野球場2面、サッカー場2面などの充実した施設がそろっており、市はスポーツを通じて多くの人々を呼び込もうとしている。「大会や合宿で多くの方々に来ていただいて、結果それが地域経済が回ることにつながればいい」と阿部さん。6月にはプロ野球の2軍戦が開催される。町の活性化に欠かせないスポットとなりそうだ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕高田松原運動公園にある第一野球場=15日午後、岩手県陸前高田市 〔写真説明〕東日本大震災が発生する前の高田松原公園内にあった第一野球場=2011年3月6日、岩手県陸前高田市(同市提供)
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