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父の病乗り越えて=鍵山選手、親孝行のメダル〔五輪・フィギュア〕


 フィギュアスケート男子の鍵山優真選手(オリエンタルバイオ)は、18歳で挑んだ初の五輪で銀メダルを獲得した。コーチの父、正和さん(50)は1992年アルベールビル、94年リレハンメル両五輪に出場した元全日本チャンピオン。五輪でもリンクサイドから声援を送り、喜びを分かち合った。  父の影響で5歳からスケートを始めた。競技生活に限らず、人生においても大きな試練があった。15歳だった2018年6月。正和さんが病に倒れた。その際に支えとなったのが、横浜銀行アイスアリーナ(横浜市)で鍵山選手の振付師とコーチを務めてきた佐藤操さん(51)だった。  鍵山選手が中学1年で長野県から移り住んできた際、正和さんから「父が指導者だと際限なく聞きにきてしまう。教わる喜び、難しさを教えてあげて」と依頼された。小学生の頃は際立った成績を残す選手ではなかった。「覚えが悪く、ぼこぼこに怒った」と振り返る。  正和さんと同様、佐藤さんは基礎を徹底的にたたき込んだ。「覚醒は他の子より遅かった」というが、練習量と父譲りの才能が花開き、海外のジュニア大会派遣枠を初めてつかんだ。父が倒れたのは、その頃だった。  「優真を預かってほしい」と頼まれた佐藤さんは海外の大会にも付きっきりで同行した。「私のことを間違えて『お父さん』と呼ぶこともあった」と笑う。「もっともっといい成績を出せば、お父さんは元気になる」。そんな言葉を2人で掛け合った。佐藤さんは「(父がいなくても)戦わなきゃいけなくなり、自発的になったきっかけの一つ」と思っている。  再び指導できるようになった父とともに階段を上り続け、つかみとった五輪のメダル。かけがえのない親孝行になった。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕銀メダル獲得を喜ぶフィギュアスケート男子の鍵山優真(左)と父の正和コーチ=10日、北京 〔写真説明〕鍵山優真選手(中央)とともに写真に納まる佐藤操さん(左)(佐藤さん提供)
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