
バスケットボール男子日本代表(FIBAランキング21位)は7月19、20の両日、ららアリーナ東京ベイでデンマーク代表(同59位)と国際強化試合を行った。
第1戦を69-64と勝利して迎えた第2戦。テーブス海、金近廉、ジェイコブス晶、吉井裕鷹、ジョシュ・ホーキンソンをスターターに据えた日本は、第1クォーター序盤、ジェイコブスと吉井が連続で3ポイントシュートを沈め、10-4と前に出る。その後は一進一退の展開が続いたものの、35-31と4点リードで迎えた第3Q、ホーキンソン不在の時間帯にインサイドへの攻撃に苦しみ、一時44-49と5点のビハインドを背負う展開に。
それでも、ベンチから出てきたジャン・ローレンス・ハーパージュニアが第3Q終盤にディープスリーを沈めるなどして流れを取り戻すと、同点で迎えた第4Qには湧川颯斗や金近の3Pシュート、吉井のドライブからの豪快なダンクなどでリードを二桁に広げる。その後はきっちりとリードを守り、最終的には69-63で勝利。デンマークとの2連戦を連勝で終えた。
第2戦では、ホーキンソンがチーム最多となる17得点7リバウンド4アシストを記録。吉井が15得点4リバウンド3スティール、テーブスが8得点と続いた。国内での強化試合を終えた日本代表は今後、中東遠征を経て、8月5日に開幕する「FIBAアジアカップ2025」に参加する。
第2戦後、記者会見に登場したトム・ホーバスHC、吉井、西田優大のコメントを紹介する。

トム・ホーバスHCのデンマーク戦後のコメント
ーデンマーク戦を終えて
今日(第2戦)の目標は達成できなかった。オフェンス(で目指す)は80点で、ディフェンスは昨日より1点(少なかったこと)は良かった。とりあえず一歩一歩。今日の前半は相手が22本のフリースローを打った。うち(日本代表)はアグレッシブ・ディフェンスがプランの一つだが、アグレッシブ=ファウルではない。だからもっと上手に、手を出さないで足も動かして、ボディアップして、それをもっと上手にやりたいです。シューティングは、(今日の)このメンバーは(シュートが)入っていないんですけど、オープンのシュートはよく作りました。それは本当にプラス。いつかシュートは入ると思います。そこを僕は信じています。今日はできなかったけど、これからできると思います。
この2ゲームでとりあえず勝つことができて、それも本当に良かった、良いことだと思います。デンマークはそんなに弱いチームではないんです。体も大きい。相手もシュートはあまり入らなかったけれど、今日は昨日(第1戦)よりリバウンドを頑張ったと思う。オフェンスリバウンドも(デンマークに)勝ちました。日本の弱い、そんなに強くないところでもよく頑張ったと思います。

ー韓国戦と比べて失点が少なかったが、そこはディフェンスの強度を上げた成果か
韓国とデンマークのプレーは全然違います。韓国はよくハイペースな試合をします。だから多分、韓国の時のポゼッションは80ポゼッション以上で、昨日(第1戦)は70ポゼッションくらい。(韓国戦より)少なかったんですよ。本当はもっと速いペースにしたいんですけど、デンマークはゆっくりいきたい。韓国はヒットファーストのマインドセットがすごいあった。それは日本代表もテーマですけど、うちより韓国の方ができていた。日本に戻って、そういう話とか、そういう練習をして、今回は良くなったと思います。間違いない。
デンマークは大きいけれど、アグレッシブにぶつかっていた。やりすぎだったかもしれない。(デンマークは)フリースローが多かったけど、あれはいいことだと思いますFIBAの審判とBリーグの審判の(笛の)吹き方は全然違います。FIBAが(フィジカルなプレーでも)あまり吹かないんですよ。だから、アグレッシブにしたい。ディフェンスでしっかりぶつかりたい。FIBAの審判はあんまり吹かないのは選手たちも分かっていると思う。今日は(笛を)吹かれてしまいましたが、アグレッシブなディフェンスが、サウジアラビアではそんなに吹かれないかもしれないと思っています。
吉井裕鷹のデンマーク戦後のコメント
ーデンマーク戦を終えて
トムさんが言ったように、オープンのシュートは作れています。それをしっかりと止めきるというところをやっぱりしていかないといけないという、結果的にはそうなんですけど、過程としていいシュートは打てているというのは、いい判断材料です。ディフェンスは、韓国戦終わった後に、僕たち身長が小さいのに後手後手のディフェンスをして、後手後手のオフェンスをしているということを話し合って、なるべく先手先手で、高いところからプレッシャーをかけてマッチアップするということをしっかりと話し合った。そういうところは多少意識できたのかなというふうには思いますが、もうちょっと点差を広げて勝たないといけない試合だったなとは思います。

ー経験の少ない選手に対して厳しい言葉をかけているが、それが発奮材料となって自分自身も今日のような素晴らしいプレーが出たのか
言うからには自分がやっていないと、というのが大前提で気持ちとしてはあります。けど、それが僕自身で空まわってもいけないので、とにかく自分のできることをやろうという意識でやっています。それとやっぱり、僕たちが快適にバスケットするには、もう日頃から激しくバスケットするとか基準がないと、試合になって練習以上の強度でバスケットをしてきた時に、全員が一歩引いてしまう。正直、それが気持ち強い選手が全員集まっていれば、一発オフェンスファールになってもいいから、一回強く行ってこいみたいなことができますけど、今の若い選手はポテンシャルはめちゃくちゃあるんですけど、ちょっと気持ちがまだまだ、ふわついていると言いますか。僕たちはお金をいただいて生活させてもらっていてっていうのが大前提にあるとしたら、言われた仕事をしないといけないというマインドで僕たちはやってる。トムさんも常日頃僕とかには「若い選手にもっと伝えて」と言ってくださってはいるので、そこらへんも気兼ねなく伝えています。
川島や(ジェイコブス)晶とかは、頑張ってディナイしようとしてバックカットされている。それはアグレッシブにしようとしたエラーなので、またそれは次のステップのエラーでまた改善したらいいと思いますし、(山﨑)一渉なんかはボディアップめちゃくちゃ体ぶつけてしっかりとディフェンス頑張ってくれましたし。オフェンスの部分はもうちょっと判断よくするけどそういうのはありますけど、僕たちBリーグ(所属の選手)はまずディフェンスから入るっていうのは基本としてある。
そこら辺のマインドみたいなのは、僕自身が結果伴ってなくても伝えないといけないことだなと思ったので、試合に出てなくても韓国戦のときでも、練習のときでも常にみんなに言うようにはします。その分、僕にも言ってほしいですけどね、やっぱり若手から。「いや、吉井さん、なんでこんなことをしてくれないんですか?」って言うぐらいになってきてほしいですね。じゃないとなんか僕が一方的になんかいじめてるように見えちゃうじゃないですか(笑)。それで訴えられたら、負けちゃうかもしれない(笑)。まあ、言ったら言い返してくるぐらいに来てほしいですけど、やっぱりちょっとまだシュンってなっちゃっているが、まだまだポテンシャルある。伸びしろですね、みんな。頑張ってほしいです。
西田優大のデンマーク戦後のコメント
ーデンマーク戦を終えて
オフェンスは2人(ホーバスHC、吉井)が言ったように、僕らが思うようなかたちでオフェンスすることはできなかったと思うんですけど、この二日間通して非常にディフェンスで我慢しきれた部分は多く見受けられたのかなと思う。JJ(ハーパージュニア)はじめ、本当に前からアグレッシブに当たってくれて、僕もそれに続くことができましたし、ディフェンスはプラスに捉えてもいいのかなって思う部分はある。あとはオフェンス。これだけいいディフェンスしてもリバウンドを取りきれなかったら僕たちが出したいブレイクも出せないですし、そこを全員で取りきって走りたいなと思う。目標の80点までいけてないので、これから中東遠征などありますけど、そこにしっかりフォーカスしながらやっていけたらなと、そう思わされる2ゲームでした。

ー第2戦では得点は4得点だったが、リバウンド5、アシスト3でバランスよく繋ぎ役になっていた。自身のパフォーマンスをどう感じているか
これは佐々さんとかも話していて、比較的セカンドで僕JJと出るタイミングが多いんですけど、彼一人に任せてしまうと、若いし、アグレッシブにやってくれるので、たまにやりすぎてしまう部分があるので、そういった意味では僕が落ち着かせるという意味でも、そういったことを話してやるように意識はしています。
ーテーブスも西田の役割(ガードを助けるような役割)について助かると話していたが、自分のなかでうまくできている印象はあるか
まだ僕的にはうまくできている感触はなくて、ディシジョンメイクをミスして、ターンオーバーしてしまう部分もある。それに、これは多分おのおのがみんな思っていて、これをオフェンスクリアにしていって、プラス、チームメイトの役割も理解してプレイできるようになれば、かなり問題解決につながるんじゃないかなと思っている。自分の役割をしっかりオフェンスでも発揮できればというふうに思っています。
(滝澤俊之)