【ヌセイラットAFP=時事】パレスチナ自治区ガザ地区に住むマラム・アマウィさん(8)は学校から帰宅すると、やけどの治療の一環として顔全体を覆う3Dプリンター製のマスクを着ける。(写真はパレスチナ自治区ガザ地区の「国境なき医師団<MSF>」が運営する病院で3Dプリンター製のマスクを試着するマラム・アマウィさん<左>と母のイズディハルさん<右>)
 だが、マラムさんはからかわれたくないので外に遊びに行かない。
 約1年前、マラムさんと母のイズディハルさん(31)はガザ中部ヌセイラットのパレスチナ人難民キャンプ内の製パン所で発生した火災に巻き込まれ、重度のやけどを負った。この火災で25人が死亡、数十人が負傷し、複数の店舗が焼けた。地元当局は、原因はガス漏れだとしている。
 現在、2人は国際医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」が開発した透明なプラスチック製マスクを着けて暮らしている。マスクは顔に圧力をかけ、皮膚の治癒を促進する作用がある。
 3Dスキャナーで顔の型を取り、患者専用のマスクを作る。マスクは調節可能なストラップで頭に固定し、傷の程度に応じて6か月から1年ほど着ける必要がある。
 マスク・プロジェクトは昨年4月に始まり、ガザでは約20人にマスクが作られた。同様のプロジェクトはヨルダンやハイチでも行われている。

■「家族は私の顔を見ようとしない」
 マラムさんのマスクは透明で顔にぴったりと合うが、公園で指をさされるのが怖いという。マラムさんは恥ずかしそうに「マスクでやけどは良くなったけど、外で着けると笑われるから嫌だ」と話した。その代わりに「学校から帰ってきたらすぐに着ける」という。
 マラムさんは1日8時間マスクを着けている。母のイズディハルさんは1日16時間も着け、食事の時にしか外さない。4人の母であるイズディハルさんは「私も娘の傷もマスクのおかげで良くなった」と話し、今では火災の前と同じように家事ができているという。夜には別のマスクを着け、手のやけど用の特別な手袋も着けて寝る。
 「買い物の後、タクシーを待っていると、突然大きな爆発音が聞こえ、気付けばどこもかしこも燃えていた」と当時を振り返った。
 2人は2か月間入院し、複数の手術を受けた。引きつれた肌を受け入れるのは簡単ではなかった。「事故後、家族は私の顔を見ようとしない」と話すイズディハルさんは、「医師が言うように、2~3年のうちに」傷が消えればいいと願っているという。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/03/08-12:23)

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記事名:「 母と娘のやけどを癒やす3Dマスク、ガザ地区