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獄中の同志へ 香港の民主活動家を支える手紙


【香港AFP=時事】香港の民主活動家のヘイさん(22)は、昨年の反政府デモに参加した仲間らが刑務所に送られる姿を見て、彼らに手紙を書くことで抗議の炎を燃やし続けようと決心した。(写真は昨年の民主派デモに参加して刑務所に入れられた受刑者に宛てた「香港が本当に好きなあなたへ」と書かれた手紙)
 香港を揺るがした、大規模で時に暴力を伴うこともあった昨年の抗議デモでは、さまざまな違法行為で大勢が逮捕・拘束されている。
 香港の刑務所制度では、受刑者が刑務所の外の生活に関する情報にアクセスするのを厳しく取り締まっている。そのため、ヘイさんは民主化運動の最新情報を手紙に書きつづって届けることにした。今では送る相手は60人近くになった。
 身元が割れないように「ヘイ」という名前だけの引用を条件にAFPの取材に応じた彼女は「戦友同士の関係で、お互いに信頼しているのです」と語った。「私たちは同じ痛みを分かち合っています。手紙を書くことで、みんなの運動への自信が強まることを願っています」
 手書きの手紙に加え、ヘイさんは「パス・ザ・デイ(一日を過ごす)」というタイトルの自作新聞を一緒に入れる。そこには新聞見出しの要約やソーシャルメディアの投稿、抗議デモ参加者に人気のオンラインフォーラムからの政治ネタなどが含まれている。
 ヘイさんは活動家に面会したり、本やスナック、日用品を差し入れたりもする。ヘイさんの友人が「半刑務所入り」と冗談を言うほどの献身ぶりだ。
 当局によると、昨年6月からの抗議デモで1万人以上が逮捕され、そのうち訴追となったのは2300件以上だ。

■手紙は「ろうそくの明かり」
 マックスさん(43)は抗議デモ参加者らが燃やしたバリケードのたき火に本を投げ込んだことで放火の罪に問われ、有罪となり、収監された。
 刑務所で過ごした4か月間、マックスさんは手紙を「栄養素」にたとえていた。
 「(刑務所の)中にいたときは、トンネルの中を歩いているように何の光も見えませんでした」と、ファーストネームだけを使うことを条件に取材に応じたマックスさんは言った。「手紙は出口までの道を示してくれる、ろうそくの明かりのようでした」
 刑務所の規則では、受刑者は週1通、手紙を無料で送ることが許可されている。それ以上に手紙を送りたい場合は、労働により得た金銭で切手を購入する必要がある。差し入れられる手紙や本も検閲される。
 獄中で受け取った手紙に返信を続けていたマックスさんは、出所後は受刑者や今なお刑務所にいる活動家らに手紙を書き続けている。「これらの手紙によって運動が広まることについては、あまり期待していません。けれど、同志の獄中生活がましになり、いくらかの精神的な支えになれればと願っています」
 1月以降、一般の人々から5000通以上の手紙が刑務所に送られている。
 会社員のジェニファーさん(30)は、民主化運動の弾圧を「邪悪」だと表現し、とても平和的なデモ参加者が犯罪者とされたことに不満を感じている。
 これまで48通の手紙を受刑者に書いた。手紙の相手を力づけるだけでなく、自分の気持ちを整理する手助けにもなるという。
 ファーストネームだけを明かしたジェニファーさんは「手紙を書きながら、泣いたこともあります」と語った。「肉体的には私は自由ですが、精神的には私たちみんなが刑務所暮らしなのです」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2020/12/10-09:57)
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