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多様性と専門性の強化ー株式会社イトーキのダイバーシティにおける取り組みとは



株式会社イトーキ
(画像=株式会社イトーキ)






山村 善仁(やまむら よしひと)

株式会社イトーキ 常務執行役員 人事本部長

1990年イトーキ入社後、大阪エリアで営業職を担い、2013年大阪支店長を経て、2017年には関西エリアの責任者に。 2005年からの8年間は、グループ会社の社長として経営も経験する。
2020年に社内の構造改革プロジェクトで人事領域のリーダーを務め、2021年に現職の人事本部長に就任。 コロナによる働き方のパラダイムシフト・自社の社長交代など、激動する環境に応じた人事制度改定・人的資本経営観点での人財確保・育成など、様々な取り組みを推進している。










株式会社イトーキ


株式会社イトーキは、1890年の創業以来、ミッションステートメントに『明日の「働く」を、デザインする。』を掲げ、オフィス家具、物流機器、ICT・映像音響機器、建材内装設備、ホーム家具など幅広いラインアップでさまざまな「空間」「環境」「場」づくりをサポートしています。

2018年10月には、イトーキ自らの「働く」を変革し、新たな価値を創造するため、新本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK」を開設。「自由」と「自律」の両立をキーワードに、働く社員の自己裁量を最大化し、一人ひとりが自らの働き方を自律的にデザインする新しい働き方に挑戦しています。







ダイバーシティ経営に対する取り組み


当社はダイバーシティ経営の実践において、「多様性の強化」と「専門性の強化」の2つを大事にしています。「多様性の強化」については、女性社員の活躍推進が大きな柱のひとつです。当社の社員構成は3割が女性ですので、女性社員の方々にどれだけ活躍していただけるか、どれだけ長く働いていただけるかが会社の競争力にも直結する、極めて重要な部分だと認識しています。


女性社員の活躍推進に向けた具体的な取り組みとして、育児休業復職支援金などによる男性も含めた育休の取得の促進や、女性のリーダーシップを育成するための社内コミュニティ「SPLi(サプリ)」の立ち上げなどを実施しています。一方で、取り組みはまだまだ道半ばですので、今後は男性側や上司側の理解の促進など、周囲への働きかけも含めて全社で取り組みを推進していきます。



株式会社イトーキ
(画像=株式会社イトーキ)





株式会社イトーキ
(画像=株式会社イトーキ)






ダイバーシティ経営の取り組みで苦労した点と、乗り越えるための施策


ダイバーシティ経営を推進する上で、当社の内向きな風土や文化をなかなか払拭できていない点に苦労しました。


この課題を乗り越えるために、キャリア採用にかなり力を入れています。
当社のこれまでの採用比率は、新卒採用が7割、キャリア採用が3割でしたが、これを新卒採用が3割、キャリア採用が7割というように割合を逆転させました。この取り組みを通じて、キャリア採用の方々には、今までの経験や専門性を当社の中に注入してもらい、既存の社員との間で良い化学反応を起こしてもらうことを期待しています。


取り組みを行う前後の変化や取り組み後の反響


実際に、キャリア採用の積極化を通して、社内の風土や文化、雰囲気は大きく変わっています。
当社には130年以上の歴史があることに加え、長年業界のリーディングカンパニーでもあるため、従来を踏襲するような雰囲気が残っていました。しかし、特に直近では執行役員や本部長など、上位役職者クラスのキャリア採用に力を入れたことで、会社や部門の方針といった単位で変化が出てきており、既存社員にとっては本当に刺激になっています。
この点に関しては、当社社員の多くが、変化を柔軟に受け入れ、新しいことにチャレンジしたり、自分の成長に繋げていく素養を持っているとも言えると考えています。



株式会社イトーキ
(画像=株式会社イトーキ)




従業員の価値(人的資本)向上に向けて取り組んでいることやこれから取り組もうと思っていること


人的資本向上という観点では、社員の専門性向上に取り組んで行きます。以前から「専門性を身につけることが重要だ」というメッセージを、これまで社員に対して発信をしてきました。今後は、人事制度の改定という形で実際に制度に落としこみ、2024年1月から運用をスタートします。


今回の人事制度改定では、「Professional」「Pay for Performance」「Retention」といった3つの柱を設けています。特に、「Professional」に関して、今まではキャリアアップをするためにはマネージャーになる道しかありませんでしたが、上位の専門職を設け、専門性の向上により、統括部長クラスの給与レベルに達するような設計としています。


加えて、研修の実施形式に関しても大きく変更しました。今までは全社員に対して、ほぼ一律の研修を実施していましたが、社員の自律的なキャリア形成を目的として、一律的な研修を極力少なくし、選択型の研修を数多く用意しています。特に「自分の強みをいかに伸ばすのか」「部下の強みをどう引き出すのか」を重視したプログラムを多数実施しており、実際に研修の参加人数も大幅に増加してきています。


また、当社の本業でもあるオフィス環境にも力を入れています。当社のオフィスは「個人作業」や「アイデア出し」など活動に応じて働く場所を選べるよう設計しパフォーマンスの最大化につなげたり、出社したくなるような居心地の良い空間をデザインしています。このようなオフィス環境への投資により、従業員の自社への誇りや魅力といったエンゲージメントスコアが昨対比10%以上も向上しました。また、オフィス見学を採用活動の中に盛り込むことで、応募者数や内定応諾率の増加という効果も出てきており、人的資本投資の一環として、今後も注力していきたいと考えています。



株式会社イトーキ
(画像=株式会社イトーキ)





株式会社イトーキ
(画像=株式会社イトーキ)





理想とする組織像と従業員への期待について


世間的によく言われていることですが、会社と社員の関係性が本当に変わってきていると思います。これからは雇用者と被雇用者ではなく、対等の立場であるべきですし、社員にはどの会社でも必要とされるような実力をつけてほしいです。当社が魅力のない会社であれば転職することも十分にあり得ると思いますし、そうならないためにもしっかりと努力して、優秀な社員がずっと居続けたい、当社で自分のやりたいことを実現したいと思ってもらえるような会社になりたいと考えています。社員も会社も、お互い切磋琢磨していくことが本当に重要だと思います。


上記のような組織になるためにも、当社は今後、エンゲージメントの向上を経営課題として取り組んでいきます。実際に、昨年から経営の重要指標として、「売上高」「営業利益」と横並びの形で「エンゲージメントスコア」を掲げています。特に代表の湊は工場の製造現場や小規模拠点も含めて、全国の拠点を本当に足繁く回り、先々でタウンホールミーティングを実施したり、自らも作業服を着て溶接作業を行ったりと、社員との距離感を身近なものに変えていっています。


また、社内報で社員にフォーカスを当てた記事を発信するなどインターナルコミュニケーションにも力を入れており、その結果、前述のようにエンゲージメントスコアが上昇し、さらには売上高、営業利益の増加にもつながっていると感じています。もちろん、取り組みは始まったばかりで、まだまだ道半ばですが、行っていることの方向性は間違っていないと感じていますので、継続し、質や量を高めていくことで本物の成果に繋げていきたいです。



氏名

山村 善仁(やまむら よしひと)

会社名

株式会社イトーキ

役職

常務執行役員 人事本部長

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