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株式投資で元本1,000万円から1億円を目指す方法と注意点を解説


株式投資で元本1,000万円から1億円を目指すには、どのような方法を選ぶとよいでしょうか。現実的な利回りで運用した場合、どれくらいの期間がかかるのでしょうか。

本記事では、株式投資で1,000万円から1億円を目指す方をまとめました。具体的なイメージをつかみたい人に向けて、どのくらいの運用年数がかかるのかも解説します。

株式投資で1,000万円から1億円を目指す方法

株式投資で1,000万円から1億円を目指す場合、どのような投資方法が候補になるでしょうか。ここからは、主な選択肢となる4つの方法をご紹介します。

一括投資で値上がり益に期待する

ひとつ目は、1,000万円を一括投資して値上がり益に期待する方法です。単純計算では、購入した銘柄の株価が10倍になれば、資産を1,000万円から1億円に増やすことができます。

仮に購入した銘柄が下落した場合は、大きな損失を抱えるリスクがあります。一時的に上昇しても10倍になるかはわからないので、相場状況によっては計画を柔軟に変える必要があります。

分散投資で値上がり益に期待する

複数の銘柄を購入したり、時期をわけたりする分散投資をして、資産が1億円を超えたら全て売却する方法も選択肢のひとつです。1,000万円を投資する方法としては、次のような方法が挙げられます。

・投資資金を200万円ずつにわけて、5つの銘柄に投資する
・ひとつの銘柄に絞って、毎月50万円分を積立投資する
・毎月50万円分の積立投資を複数の銘柄で行う

一般的に、金融商品や投資時期を分散させる方法には、損失のリスクを抑える効果があるといわれます。相場状況によってはリスクが下がらない場合もあるので、投資判断は慎重に行う必要があります。

配当金を活用する

配当金とは、株式を発行した企業が保有株式数に応じて分配する利益です。仮に1株あたり10円の配当金が毎年でる場合、1,000株を保有していると年間1万円(1,000株×10円)のリターン(※税金を含まない場合)を受けとれます。

通常は業績などから金額が決められますが、実際に配当金をだすかは各企業の判断に委ねられています。そもそも配当金がない銘柄もあるので、事前に各企業の配当方針を確認することが大切です。

実際に1,000万円を運用する際は、配当金が受けとれるひとつの銘柄だけ保有するのではなく、複数の銘柄を保有することで、株価が下落して損失を出してしまうリスクなどを分散できるようにすることも検討しましょう。

値上がり益+配当金に期待する

銘柄によっては、値上がり益と配当金を受けとりながら運用することも可能です。

例としては、1,000万円を使って配当金をだしている5つの銘柄に、200万円ずつを長期投資するような方法が挙げられます。基本的には配当金に期待して、株価が大きく上がった銘柄だけを売却すると、効率的に目標を達成できるかもしれません。

ただし、保有銘柄の配当方針が変わったり、株価が下落したりする可能性も考えておく必要があります。

株式投資で1,000万円から1億円を目指す場合、20年以上かかる?

株式投資で1,000万円から1億円を目指す場合の主な選択肢となる4つの方法をご紹介しました。ここからは、1,000万円を使って株式投資を行なった場合、1億円にまで増やせる期間のシミュレーション結果をご紹介します。

このシミュレーションは株価の上昇によって得られる値上がり益と、株式の保有によって得られる配当金のふたつのパターンを想定しています。

以下では、シミュレーションの前提や計算方法などを説明する前に、結論からお伝えします。

値上がり益の場合

2024年2月時点におけるプライム市場の加重平均株価(※)を参考にすると、株式の値上がり益で1,000万円から1億円を目指すには約20年かかる可能性があります。相場の状況次第では、もっと早く1億円に達することもあれば、20年以上かかることも考えられます。

配当金の場合

2024年4月末時点の東京証券取引所に上場している全株式の平均配当利回り(※)を想定した場合、株式の配当金で1億円を目指すには100年以上が必要になる可能性があります。値上がり益と配当金を組み合わせ方法もありますが、この場合でも10年以上はかかることが予想されます。

どちらの計算も減配しないで一定の配当金が出ることを想定しています。実際に運用を始める際は、配当金が減ったり増えたりし、株価も変動することを想定して運用することが大切です。

(※)参考:日本取引所グループ「その他統計資料

株式投資の値上がり益で1,000万円から1億円を目指すシミュレーション

株式投資の値上がり益で1,000万円から1億円を目指すと、どれくらいの期間がかかるでしょうか。

日本取引所グループ(※)によると、プライム市場の加重平均株価は2024年2月時点で約2,429円であり、1ヵ月で90円ほど上昇しています。

これらのデータを基準にすると、1日あたりの値上がり益は以下のようにシミュレーションできます。未来永劫1ヵ月に90円ずつ上がるわけではありません。ずっと上がるとは言えないものの、ここでは計算の過程上、1ヵ月に90円が上昇し続けるとして考えます。

(※)参考:日本取引所グループ「その他統計資料

<計算式>
購入できる株式数×株価の上昇幅=1ヵ月あたりの値上がり益

<1日あたりの値上がり益を計算>
(1,000万円÷2,429円)÷90円=37万440円
※購入できる株式数の端数は切り捨て、1ヵ月は30日で計算

どれくらい保有を続けると、1億円に達するのかを計算してみましょう。

<計算式>
(目標金額-1,000万円)÷1ヵ月あたりの値上がり益=目標達成までにかかる期間

<目標達成までにかかる期間を計算>
(1億円-1,000万円)÷37万440円=約243ヵ月(小数点以下は切り上げ)

年単位になおすと、1億円の目標達成までには約20年かかる結果になりました。

毎日ストップ高になる場合

次に、株価2,429円の銘柄が毎日ストップ高(※)になると仮定して、目標達成までにかかる期間をシミュレーションしてみます。

(※)1日の値幅制限のこと。前日の終値によって最大の上昇金額が決められている。

運用日数前日の終値値幅制限上昇した株価
(合計)
資産額
1日2,429円500円500円1,205万8,000円
2日2,929円500円1,000円1,411万6,000円
3日3,429円700円1,700円1,699万7,200円
(中略)
12日1万6,529円4,000円1万8,100円7,449万9,600円
13日2万529円5,000円2万3,100円9,507万9,600円
14日2万5,529円5,000円2万8,100円1億1,706万4,600円

プライム市場の国内株式に投資する場合は、早くても14日かかることがわかりました。なお、実際の株式は下落することもあり、毎日のようにストップ高になる可能性は極めて低いため、あくまで参考程度にしてください。

株式の配当金で1,000万円から1億円を目指すシミュレーション

国内株式の平均利回りを想定すると、配当金で1,000万円から1億円を目指すには100年以上かかります。本シミュレーションの平均利回りについては、日本取引所グループが公表している2024年4月時点のデータを参考にしました。

<市場別の平均利回り(有配会社のみ)>
プライム市場:2.08%
スタンダード市場:2.26%
グロース市場:1.55%

以下では3つの市場にわけて、それぞれのシミュレーション結果をご紹介します。

プライム市場に投資する場合

1年間に受けとれる配当金は、以下の式で計算できます。

<計算式>
投資金額×配当利回り=1年間の配当金

<1年間の配当金を計算>
1,000万円×2.08%=20万8,000円

まずは、この配当金を再投資に回さない単利運用のシミュレーションを行います。

<計算式>
(目標金額-1,000万円)÷1年間のリターン=目標達成までにかかる期間

<目標達成までにかかる期間を計算>
(1億円-1,000万円)÷20万8,000円=約476年

次に、毎年の配当金を再投資する複利運用のシミュレーションを行います。以下の表は、複利運用における資産の増え方をまとめたものです。小数点以下は切り捨てて計算(以下、同様)しています。

運用年数配当金を含めた資産額
20年1,509万4,308円
40年2,278万3,815円
60年3,439万594円
80年5,191万224円
100年7,835万4,895円

運用年数が100年を経過しても、資産額は1億円を超えないことがわかりました。本シミュレーションを続けると、1億円を超えるのは運用から112年目(1億31万2,273円)になります。

スタンダード市場に投資する場合

スタンダード市場の平均利回りで単利運用をする場合、資産が1億円になるまでの年数は以下の通りです。

<1年間の配当金を計算>
1,000万円×2.26%=22万6,000円

<目標達成までにかかる期間を計算>
(1億円-1,000万円)÷22万6,000円=約439年

次に、スタンダード市場で複利運用をした場合のシミュレーションを行います。

運用年数配当金を含めた資産額
20年1,563万5,643円
40年2,444万7,335円
60年3,822万4,983円
80年5,976万7,222円
100年9,344万9,899円

上記のシミュレーションを続けると、資産額が1億円を超えるのは104年目(1億218万8,492円)です。プライム市場よりは短いですが、こちらも現実的ではない結果になりました。

グロース市場に投資する場合

グロース市場に投資する場合も、まずは単利運用からシミュレーションを行います。

<1年間の配当金を計算>
1,000万円×1.55%=15万5,000円(1年間の配当金)

<目標達成までにかかる期間を計算>
(1億円-1,000万円)÷15万5,000円=約639年

次に、複利運用のシミュレーション結果を見てみましょう。

運用年数配当金を含めた資産額
20年1,360万1,867円
40年1,850万1,081円
60年2,516万4,926円
80年3,422万9,000円
100年4,655万7,834円

資産が1億円を超えるのは、運用開始から150年目(1億45万9,071円)になりました。

株式で1,000万円から1億円を目指す計画の立て方

ここまで、株式投資で1,000万円から1億円を目指す場合の主な選択肢となる4つの方法をご紹介したうえで、1,000万円を使って株式投資を行なった場合、1億円にまで増やせる期間のシミュレーション結果をご紹介しました。

しかし、目標達成までに100年以上かかる投資は、現実的とはいえません。目標期間を先に設定する場合は、どのように運用の計画を立てるとよいでしょうか。

ここからは、株式で1,000万円から1億円を目指す計画の立て方についてご紹介します。

(1)運用年数を決める

運用年数については、資産運用の目的から考えるとよいでしょう。たとえば、「裕福な老後生活を送りたい」という目的がある場合、運用年数の目安は「老後生活が始める年齢-現在の年齢」で計算できます。

資産運用の目的としては、ほかにもマイホームの購入や子どもへの相続などがあります。「いつまでに達成すればよいか」を意識しながら、目的に応じた運用年数を設定してください。

(2)目標となる利回りを計算する

運用年数と目標金額が決まると、以下の式で必要な利回りを計算できます。

<計算式>
目標金額÷現在の資産額÷運用年数=必要な利回り
※単利運用の場合

仮に運用年数を40年として、1億円を目指すのに必要な利回りを計算してみます。

<目標達成に必要な利回りを計算>
1億円÷1,000万円÷40年=25%

単利運用では、毎年25%の利回りが必要になることがわかりました。

(3)投資方法や銘柄を選ぶ

必要な利回りを計算したら、その結果に応じた投資方法や銘柄を選びます。仮に毎年25%の利回りが必要になる場合は、国内株式の配当金だけでは難しいため、値上がり益も含めた計画を立てていきます。

投資方法や銘柄が見つからない場合は、投資資金を増やしたり複利運用をしたりする方法が選択肢になります。また、目的の達成が困難にならない範囲で、運用年数を延ばす考え方もあるでしょう。

株式で1,000万円から1億円を目指す際の注意点

株式に限らず、資産運用には損失のリスクがあります。計画を立てずに投資を始めると、多くの資産を失ってしまうかもしれません。ここからは株式投資のリスクを踏まえて、1,000万円から1億円を目指す注意点をご紹介します。

税金や手数料がかかる

前述のシミュレーションでは除きましたが、実際の株式投資では税金と手数料がかかります。税金については、株式から生じたリターンのうち20.315%(※)が徴収されます。株式の年間投資金額が240万円以内の場合は、新NISAを活用すると税金がかかりません。

(※)所得税、復興特別所得税、住民税を合わせた税率。

手数料については、利用する証券会社によって仕組みが異なります。定額制のプランやキャンペーンなどが用意されている場合もあるので、各社の情報を調べてみましょう。

税金や手数料への対策を考えておくと、コストを抑えながら資産形成を図れます。

運用年数が短いほどリスクが上がる

運用年数を短く設定すると、その分だけ必要な利回りが増えます。結果として、投資方法や銘柄の選択肢が減るため、強引な投資に走ってしまうかもしれません。

損失のリスクを抑えるには、無理のない運用年数を設定することが重要です。実際の銘柄を調べながら、現実的な運用年数を考えてみてください。

ひとつの銘柄や一括投資にこだわらない

ひとつの銘柄や一括投資にこだわると、投資方法の選択肢が狭まります。相場状況によって向いている投資方法は変わるため、場合によっては柔軟に計画を変えることが重要です。

たとえば、分散投資で値上がりした銘柄だけを売却し、そのリターンで再投資するような考え方もあります。視野を広げると目標を達成しやすくなる可能性があるので、様々な投資に目を向けてみましょう。

現在の年齢や目的を考慮する

資産運用の計画では、現在の年齢や目的を考慮する必要があります。運用年数を延ばすとリスクは抑えやすくなりますが、目的を達成できないことがあるためです。

仮に老後資金の形成を目的にしている人が、50歳から株式投資を始めるとしましょう。このときに運用年数を30年にすると、目標達成の前に老後生活が始まってしまいます。「なぜ1,000万円を1億円に増やしたいのか」を踏まえて、目的に合った運用年数を設定するようにしてください。

相場状況によっては損切りも必要

投資である以上は損失のリスクもあるため、相場状況によっては損切りも必要です。

損切りとは、損失を抱えている銘柄を売却することです。資産は減りますが、早めの損切りで資産を守ることができれば、次の投資機会を得られるかもしれません。投資資金を失うと目標はさらに遠くなるため、損切りで資産を守ることも意識しましょう。

投資資金を守りながら運用することを考えよう

短期間の株式投資で1,000万円から1億円を目指そうとすると、損失のリスクが高まる場合もあります。年率25%という目標は決して低いものではありません。
下落によって多くの資産を失うと、目標の達成はさらに難しくなってしまうでしょう。

ご自身の目標に合わせて中長期的な目線で無理のない計画を立てることが大事です。
相場状況によっては、資産を守りながら運用することも考えてみてください。

※過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。また、株式運用そのものを推奨しているわけではありません。

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