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地政学リスクに備える分散投資|富裕層に学ぶ資産保全戦略


トランプ関税が世界経済に大きな影響を与えています。加えて、トランプ大統領は独立機関であるFRB(連邦準備制度)に圧力をかけたり、労働統計局長を解任したりするなど、米国の制度的安定性にも懸念が生じています。そのため、「アメリカ一極集中で投資をしていて大丈夫なのか?」という不安を持つ人も出始めています。

また、ウクライナ戦争や中東情勢など、世界各地で地政学リスクが高まる中、投資家の間では地政学的なリスク分散への関心が高まっています。

富裕層はこうした政治・地政学リスクを意識し、ひとつの国・通貨・制度に依存しない分散投資戦略を取っています。それは、「資産の成長」だけでなく「資産の保全」も同時に追求するためのリスク管理の基本方針です。

これは投資初心者にとっても有効な考え方であり、以下の4つの分散手法を意識することで、誰でもリスクに強い資産形成が可能になります。

1. 地域の分散(国・地域の分散)

政治的リスク(政変・制裁・資本規制など)や地政学リスク(戦争、政情不安)に備えて、投資対象を複数の国・地域に分けるのが基本です。

証券口座や銀行口座をスイス、シンガポールなどに分散させる場合もありますし、そうでない場合もファンドを通して外国の証券に投資をするなどが考えられます。

例えば、不動産投資をする場合もニューヨーク、ロンドン、スイス、ドバイ、シンガポールなど政治的に安定した場所に分散するなどです。

また、パスポートを持つ国以外の永住権の取得や、子どもを別の国の大学へ進学させるなど、家族単位で居住・教育・医療の分散を行う富裕層も多く存在します。これは、将来の政治リスクに備える「人の分散」として重要です。

2. 資産クラスの分散

経済危機・通貨危機への備えて、株式(国内、海外)、債券(政府債券、社債)、コモディティ(金・銀・エネルギーなど)、プライベートエクイティ(未公開株・スタートアップ)、不動産(居住用、商業用、開発用)、暗号資産(ビットコインなどインフレヘッジや資本移動手段として)などに富裕層は分散をしています。

通貨の分散としては、為替変動・インフレ・資本規制への耐性を確保するために、USD、EURO、CHF(スイスフラン)、SGD(シンガポールドル)、AED(UAEディルハム)など政治的に安定な通貨に資産を保持するなどが考えられます。

日本に住む投資初心者でも、投資信託を活用することで、円建てのまま為替ヘッジを行いながら、海外資産に投資することが可能です。また、外貨(例:米ドル)に両替した上で、海外ETFなど外国資産に直接投資する方法もあります。

また、金や暗号資産も注目されています。これは、政府や中央銀行の制御を受けない資産であり、最悪の事態(制裁、没収、通貨崩壊など)に対する最後の保険として保有されることがあります。

金の積み立てなどは日本では簡単に行うことができますし、投資信託を使って低コストで金に投資をすることも可能です。

3.業種の分散

業種の分散とは、特定の産業や業界に資産を偏らせず、複数の異なる業種に投資することでリスクを減らす戦略です。経済の変動は業種ごとに影響が異なるからです。

例えば、金利が上がると銀行などは恩恵を受けやすいですが、反対に不動産やテック業界は打撃を受けやすいなどがあります。同じ値動きをする特定の業界への依存を減らせることで、一つの産業が不調でも他の業種が好調であればリターンをカバーすることができます。

景気に強い業種と不況に強い業種を組み合わせることで、安定したリターンが狙うことができるのです。

富裕層はファミリーオフィスなどを利用して、専門家に個別株で業種ごとにポートフォリオを作ってもらうケースもあります。いきなり、自分で個別株のポートフォリオを作成することは難しいですが、投資初心者も投資信託を利用することにより、容易に業種の分散が可能です。

例えば、複数のセクターにまたがる投資信託を選ぶなどが考えられます。

4.時間の分散(ドルコスト平均法)

ドルコスト平均法は、一定額の資金を、定期的に、一定間隔で、同じ投資対象に投資する手法です。資産運用において有効なリスク分散手法の一つで、富裕層から一般の投資家まで幅広く活用されています。

例えば、毎月5万円ずつ、株式型の投資信託を買うなどです。すると、株価が高い月は少なく買い、安い月は多く買うことになります。一括で投資をして高値掴みをするリスクを回避する効果があります。下落局面でも積立投資を継続し、結果的に安く多く買うことができれば、平均取得単価を下げる効果があります。機械的に投資を続けることで、感情的に流さることなく、長期的に投資が継続できます。

投資初心者でも、これらの分散を意識することで、日本にいながら地政学的リスクに強い資産運用を始めることが可能です。まずは少額でも、分散の「型」を身につけていくことが重要です。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
※本稿は著者の見解に基づくものであり、Wealth Roadの運営会社の見解を示すものではありません。


著者:花輪陽子(ファイナンシャル・プランナー(FP)、貯金評論家)
CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士など多数資格を保有。外資系投資銀行を経てFPとして独立。「ホンマでっか!?TV」等のテレビ出演、講演も多数。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、シンガポールのファミリーオフィス等でウェルスマネジメントに従事。主な著訳書に『世界標準の資産の増やし方』『ジム・ロジャーズ大予測』 (ともに東洋経済新報社)などがある。

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