米国で開催されたCFRPブリッジの世界大会「SAMPE学生ブリッジコンテスト」で優勝。
金沢工業大学大学院 工学研究科 高信頼ものづくり専攻の学生4人によるチームが5月20日(月)から23日(木)にかけて米国カリフォルニア州ロングビーチで行われたSAMPE 2024「学生ブリッジコンテスト米国大会」のカテゴリーG(Open Design部門)に出場し、日本のチームとして初優勝しました。
日本代表チームによる当コンテストの優勝は、一昨年・昨年度とカテゴリーB(Carbon and/or Aramid Fiber Square Beam部門)で優勝した東京大学に続き2大学目となる快挙です。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406182334-O1-5lHpattu】
会場で司会者から授与された賞状を手にする金沢工業大学大学院チーム
(左より普輪崎将寛さん、吉藤穣さん、天坂恒太さん、藤井ハルさん)
大会の概要
「学生ブリッジコンテスト」は、先端材料技術に関する国際学会・SAMPE(The Society for the Advancement of Material and Process Engineering)のカンファレンスの一環として毎年行われている競技会です。参加学生がCFRP(炭素繊維強化プラスチック)ブリッジの作製を通して、構造設計および成形方法等を工夫し、ものづくりの経験と設計能力を培うことを目的として開催されています。
CFRPブリッジの強度試験のほか、材料や製作方法・設計方針をプレゼンテーションし、いかに軽量かつ規定荷重である10,000lbf(約4.5ton)に耐えるかにより順位が競われます。各国の国内・地方大会で優勝したチームが参加し、日本からは2023年12月に東京で開催されたIHI/SAMPE Japan学生ブリッジコンテスト2023 優勝チームである金沢工業大学チーム(カテゴリーG)と豊橋技術科学大学チーム(カテゴリーB)の2チームが派遣されました。
金沢工業大学チームが参加したカテゴリーGはOpen Design部門で、規定の長さ、高さを持つブリッジであれば、設計は自由。そのため、学生の自由な発想が反映しやすい反面、最も設計が難しい部門です。金沢工業大学チームはI形断面を有するブリッジを設計対象とし、薄いCFRPのシート(プリプレグシート)をどの位置にどのような角度で何層積層するかを計算して、大会に臨みました。その結果、776gの重量のCFRPブリッジで10,223lbf(約4.6ton)の耐荷重を記録し、規定荷重を超えたブリッジの中で最軽量であったため優勝しました。競合したデラウェア大学やワシントン大学などの米国5チームはいずれも規定荷重を超え、規定荷重には届かなかったものの中国の同済大学は斬新なデザインかつ最軽量のブリッジで臨むなど、レベルの高い大会でした。
今回参加した学生4名はいずれも金沢工業大学大学院工学研究科高信頼ものづくり専攻博士前期課程(修士課程)2年で、斉藤博嗣教授の研究室に所属する天坂恒太さん(リーダー)、藤井ハルさん、普輪崎将寛さんと金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)の鵜澤潔教授の研究室に所属する吉藤穣さんです。いずれの学生も複合材料を研究テーマとしており、吉藤さんは革新複合材料研究開発センター(ICC)で研究補助員(RA)として研究を行っています。今回4名が作製したCFRPブリッジは、12月の国内大会で優勝したブリッジをもとに、さらに数値シミュレーションにより設計に改良を加え、予備を含めた成形をおこなうなど、万全の体制で臨みました。国内大会同様、CFRPブリッジの成形にあたっては、ICCの研究員による技術サポートを受け、今回の快挙の大きな要因となりました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406182334-O3-zxr91kRS】
会場入り口でCFRPブリッジを手にする4名の学生
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406182334-O2-3Exsm7v4】
※ブリッジコンテストの米国本大会は、1998年以来、毎年米国で開催されるSAMPEのConferenceの中で行われてきました。2016年には、アメリカの大学に限らず、メキシコ、ブラジル、中国、日本から参戦する国際的な大会に成長し、現在ではAからHまでの8つのカテゴリーからなる本格的な国際学生競技会として開催されています。
国内では2015年に金沢工業大学革新複合材料研究開発センターで最初に開催されました。2018年度からは世界で戦える橋作りを目指して、米国のルールにもとづきカテゴリーBと、カテゴリーGの2つの部門に絞って、国内大会が行われています。
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