第40回「中堅企業経営者意識調査」~世界28カ国同時調査~を発表
2022年8月5日
太陽グラントソントン
第40回「中堅企業経営者意識調査」~世界28カ国同時調査~を発表
太陽グラントソントンは、 非上場企業を中心とする中堅企業の経営者に対して今後の自国経済の見通しや自社の経営状況などに関して調査した中堅企業経営者意識調査(上半期版・2022年5~6月実施分)の結果を公表した。この調査は、グラントソントン主要加盟国が年に2回実施する世界同時調査の一環である。
・世界28カ国の平均景況感は前回調査比6ポイント減の64%
・日本の景況感は前回調査比11ポイント減の23%
・世界の中堅企業は原材料費をはじめとする経営コストの上昇を認識
調査対象国の景況感は下降傾向に
世界28カ国の中堅企業経営者に対して行った自国経済の今後一年の見通しに関する調査で、全調査対象国の平均景況感は、前回調査比で6ポイント低下し64%という結果になった。前回の調査(2021年10月~11月実施分)の結果と比較すると、全調査対象国のうち19カ国で景況感の低下がみられ、複数の国において2桁台の顕著な落ち込みが目立った。
日本・中国・英国の景況感は大きく低下、米国は高水準を維持
日本・中国・米国・英国の4カ国をみると、米国以外はすべて、調査対象国平均の下降傾向と同様に、前回調査比2桁ポイント減の低下をみせた。日本は近年低水準ながらも継続的な上昇を示していたが、今回の結果では前回調査比11ポイント減の23%とマイナスに転じた。直近の調査結果で80%台の高い景況感を記録していた中国は、前回調査比16ポイント減の67%となった。英国は前回調査比10ポイント減の59%であった。対照的に、米国は前回調査比1ポイント増の81%を記録し、引き続き80%台の高水準を維持した。
今回の調査結果について、太陽グラントソントン顧問 中村毅夫は次のように述べている。
「世界各国の中堅企業の景況感は再び悪化した。コロナ禍は新型株の間欠的な発生により収束に至らないうえ、ウクライナ紛争は欧米諸国の軍事支援強化の形を取った間接介入により長期化している。この結果各国の生産・投資や貿易は様々な制約を受け、これにエネルギー・原材料価格の上昇によるコスト高が加わって企業収益が悪化している。こうした経営環境の悪化は日本企業も例外ではないが、今後はむしろ今回経営課題として意識されていた「人材採用および確保の難しさ」が重要な意味を持つ。リモートワークが常態化しDX化の試みが進む中で、ビジネスのあり方自体が変わりつつある。新商品・サービスの創出に向けて、国内外の最適な提携・買収候補の迅速な調査や交渉がスマホやPC操作で行える時代が到来している。今後はこうしたボーダレスな時代にフィットしたスキルを持つ人材の見極めと育成・確保のための人事戦略の巧拙が問われることとなろう。」
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202208054839-O5-2ZC2f835】
19カ国の景況感が低下、減少幅も拡大
全調査対象国の景況感は、前回の調査結果より上昇を記録した国が8カ国、低下を記録した国が19カ国、前回と同水準であった国が1カ国であった。調査対象国平均で新型コロナウイルス禍前の水準を上回った前回の調査結果と相反し、全体的に悲観的な結果となった。
今回の調査では、ベトナムが最も高い景況感を示しトップとなった( 88%、前回調査比8ポイント増)。 2位はオーストラリア(83%、前回調査比9ポイント増)、3位は米国(81%、前回調査比1ポイント増)となり、前回の調査で比較的高い景況感を示した国が、引き続きランキング上位に並んだ。また、上位10カ国のうち、8カ国がアジア太平洋地域の国々であった。
ランキング下位では、スウェーデンが50ポイント超の急激な落ち込みを示し、調査対象国中唯一の10%台の最下位となった(19%、前回調査比51ポイント減)。
上昇幅が大きかった国は、韓国(前回調査比13ポイント増) 、南アフリカ(前回調査比11ポイント増) 、マレーシア(前回調査比10ポイント増)となり、2桁ポイント増を記録した国はこれらの3カ国のみであった。
減少幅が大きかった国をみると、前述のスウェーデンのほか、アイルランド(前回調査比23ポイント減)、中国(前回調査比16ポイント減)、イタリア(前回調査比15ポイント減)が並び、調査対象国中8カ国が2桁台の減少をみせた。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202208054839-O6-71iu92tN】
【図2】調査対象国の景況感
世界的なインフレによる影響
調査対象国の中堅企業に、高進するインフレおよびコストの増加に関する認識と対策に関して尋ねた。
項目別によるコストの増加について質問すると、日本、調査対象国平均ともに、「原材料費」の増加が最も多く認識され、次いで「輸送費」、「エネルギー費」となった。また、日本と中国でのコストの増加は比較的小幅であったのに対して、米国と英国では20%を超える急激な上昇をみせた項目もあった。 (図3)
現在自社で採用している価格戦略について尋ねたところ、日本・中国・米国・英国の4カ国ならびに調査対象国平均のいずれにおいても、「粗利益の維持」と回答した割合が最も多かった。(図4)
コストの増加やインフレへ対応する施策ついては、日本では「コストの増加に沿った価格戦略の策定」を選択した割合が最も多く、調査対象国平均では「社内効率とコスト効率の改善または産業廃棄物の削減」が最も多かった。(図5)
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日本の中堅企業が直面する新型コロナウイルスによる影響
日本の中堅企業に、新型コロナウイルスが自社の経営に与えた影響(前年同期比)を尋ねたところ、売上高については、減少と回答した企業の割合は35%であり、増加と回答した企業の割は25%となった。(図6)
コストについては、減少と回答した企業が13%であったのに対し、増加と回答した企業は43%であり、大きな差が開いた。(図7)
営業利益については、減少と回答した企業の割合は37%、増加と回答した企業は21%であった。(図8)
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自社の経営について、現時点で主に影響を受けている点について尋ねたところ、「渡航および移動による出張や営業活動への影響」と回答した企業の割合は51%であり、前回の調査に引き続き最も多かった。「輸出入を含むサプライチェーンへの影響」は前回調査比9ポイント増の23%であった。(図9)
今後の自社の経営に対する影響について尋ねると、「人材採用および確保の厳しさ」とした企業の割合が前回よりさらに増加し56%と最も多かった。(図10)
今後政府に期待する対応に関しては、「減税や補助金などの景気対策」と回答した企業の割合が50%であり、前回の調査に引き続き最も多かった。(図11)
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