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高吸水性樹脂を用いたエクソソームの精製法を開発


-実用化に向け共創パートナー企業を募集-

2022年1月24日
国立大学法人徳島大学
三洋化成工業株式会社

 国立大学法人徳島大学大学院医歯薬学研究部保健学域生体機能解析学分野 冨永辰也准教授、および同大学院社会産業理工学研究部理工学域 右手浩一教授らの研究グループと三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、代表取締役社長:樋口章憲、以下、三洋化成)は、高吸水性樹脂(Superabsorbent Polymer、以下SAP)を用いてエクソソーム※1を高精度・高収率に回収する精製法を開発しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202201246443-O1-b4D8E847】  徳島大学の研究グループと三洋化成は、本技術を通して疾病予防や健康寿命の延伸に貢献することを目指しています。早期の社会実装を実現すべく、事業開発に向けた共創パートナー企業を募集いたします。

【研究の背景】
 エクソソームは、細胞から分泌される微小粒体です。細胞間でさまざまな情報を伝達する生体物質であり、疾病の診断や治療にも使えるとして近年脚光を浴びています。しかし、その産業応用においては、回収、精製法に課題がありました。
現在、エクソソームの精製法としては超遠心分離精製法※2やポリマー沈殿法※3などが主流ですが、これらの精製法で得られたエクソソームには不純物が多く含まれ、純度が低いといった問題がありました。また、その他の精製方法においても、精製操作が煩雑で、回収に時間がかかる、高価であるなど、適切な分離法がありませんでした。

【技術の概要】
 徳島大学の研究グループは、尿などの検体を処理する際、不純物をSAPの内部に取り込み、エクソソームをSAPの表面に吸着させることで、特異的にエクソソームを分離する方法を見出しました。
SAPは架橋構造をもつ親水性のポリマーで、自重の数百倍から千倍の水を吸収・保持して速やかに膨潤し、ゲル状になるものです。SAPを用いた分離法では、SAPの架橋ポリマーの網目サイズや表面吸着が分離精度に大きく影響します。三洋化成は、1978 年に世界で初めて商業生産を開始して以降、さまざまなニーズに合わせて高付加価値のSAPを開発しており、これまでにさまざまなノウハウを蓄積してきました。今回、徳島大学の研究グループの基本構想・評価技術と三洋化成のSAPの設計・製造に関するノウハウを組み合わせることで、エクソソームの回収・精製に適した精製法の確立に成功しました。
本精製法は、従来の精製法と比べて迅速、簡便で、高純度なエクソソームを比較的短時間に多量に回収・精製することができるという特長を有しています。このような精製法を用いることで、高純度なエクソソームを手軽に利用できるようになり、さまざまな疾患の早期診断や治療方針の決定につながるだけでなく、創薬開発などにも革新をもたらすことが期待されます。
 今回確立した精製法の実用化をパートナー企業との連携によって加速させ、疾病予防や健康寿命の延伸に貢献したいと考えております。

<参考> 
※1 エクソソーム
ほとんどの細胞で分泌される直径 50nm ~ 150nm 程度の膜小胞です。別の細胞に運搬されることで機能的・生理的変化を引き起こすことから、診断や再生医療用途への開発が進んでいます。

※2 超遠心分離精製法
遠心分離によりエクソソームの分画を採取する方法で、多くの医学研究でスタンダードとなっている手法です。多くの研究実績がある一方で、大型の装置が必要であり、1検体の分離精製に時間がかかる等、産業応用には課題があり、より迅速・簡便な手法が求められています。

※3 ポリマー沈殿法
ポリマーを使ってエクソソームを沈殿精製する手法で、安価・簡便であることが特徴ですが、一般的に沈殿物に夾雑物を多く含み、診断・治療への適用が難しいとされています。

以上

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