年末年始も開館! 静岡と伊豆に伝わる薬師如来、堂外初公開の平安仏など26点を展示【上原美術館】
~2022/1/10まで無休で開催
静岡県は東西を結ぶ東海道、太平洋と甲斐国(山梨県)を結ぶ富士川街道など、無数の街道が縦横に走る本州の結節点。静岡県中部は古く駿河国と呼ばれ、現在の静岡市に国府(こくふ)が置かれていました。一方、県東端の伊豆は古来、海上交通の要衝で、遠く離れている静岡市と伊豆は、同じように人とモノ、文化が行きかう重要な土地だったのです。静岡市と伊豆を仏像から見ると、興味深い共通点があります。いずれも古い薬師如来像が多く、薬師如来を中心とする群像があるのです。仏教館で開催する特別展「静岡の仏像+伊豆の仏像」では、伊豆と静岡、それぞれに伝わる薬師如来と、薬師を取り巻く群像の一部を厳選して展示。堂外初公開の貴重な仏像も公開します。
近代館では、企画展「鏑木清方(かぶらき きよかた)≪築地川≫の世界」を同時開催いたします。当館新収蔵・初公開となる鏑木清方の画帖(がちょう)≪築地川≫を2期にわたり、全てのページを展示。画帖には明治から大正期にかけての、築地川にまつわる人々の暮らしが、少年期の清方の思い出とともに、描き出されています。本展では、他に清方が描いた挿絵など、画業の一端をご紹介します。
―展覧会の見どころ
【仏教館】 静岡の仏像+伊豆の仏像
■ 堂外初公開・静岡の山間にたたずむ、知られざる仏像群
静岡市葵区の松野阿弥陀堂は安倍川の流域、谷筋に開けた茶畑の中に建っています。お堂の中には、平安時代に造られた3mを越す巨大な阿弥陀如来像を中心に、1mほどもある如来形(にょらいぎょう)と菩薩形(ぼさつぎょう)の面部、朽ちてなお美しさを湛える菩薩・天部形(てんぶぎょう)像4躯(く)が安置されています(いずれも静岡市指定文化財)。今の本尊は阿弥陀如来の姿ですが、元は薬師如来を祀る薬師堂として地域の方々に大切に守られてきました。
また松野阿弥陀堂の山向こうにある静岡市葵区、坂ノ上薬師堂(さかのかみやくしどう)は、藁科川(わらしながわ)沿いの奥深い山々に抱かれた集落に残るお堂。ここには平安時代に造られた仏像が15体安置されています。10世紀に造られた仏像は、静岡市内でも屈指の古仏で、薬師如来を中心とした仏像群として、その構成にも注目されます。あまり知られることがなく、地域の方々が大切に守ってきた仏像群は、参拝者を圧倒する迫力です。今回は両堂から計10点の仏像を展示します。ともに堂外初公開となる貴重な機会です。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202112034445-O1-rXpyMtfv】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202112034445-O2-Oi7w80Gl】
■ 伊豆最古のみほとけ・火山との関係
伊豆からは河津町谷津(やつ)に伝わる南禅寺(なぜんじ)(河津平安の仏像展示館)より、平安時代9世紀に造られた薬師如来像(静岡県指定文化財)を展示します。南禅寺には平安時代に造られた等身大の仏像・神像があわせて26体伝えられていますが、なぜ河津にこれだけの群像が存在するのか長く謎とされてきました。近年、伊豆沖の火山噴火による神の怒りを鎮めるために造像されたという説が唱えられ、再び注目を集め始めた仏像群です。節や洞(うろ)がある霊木を使用し、仏や神の姿が化現(けげん)したような、少し厳しさを湛える像が多いことも特徴です。また同じく南禅寺から、東海最古の地蔵菩薩像(静岡県指定文化財)、等身大の男神像(河津町指定文化財)も公開します。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202112034445-O3-GhrceYAn】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202112034445-O4-oLsnlpZp】
■ 神と仏のすがた 本地仏(ほんじぶつ)
日本では昔、神と仏が一体となる神仏習合の考えがありました。本展では、神社のご神体として祀られていた薬師如来像もご紹介します。南伊豆町手石の青龍寺に伝わる薬師如来像(平安時代11世紀・南伊豆町指定文化財)は、延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)に登場する式内社(しきないしゃ)・月間(つきま)神社のご神体として信仰されてきた仏像です。月間神社の祭神である三嶋神の本地仏は、薬師如来とされており、11世紀にはすでに神仏習合の考えの元、信仰されてきたことが分かる貴重な作例です。
※本像のみ、寺院のご厚意により写真撮影が可能です。
【近代館】 鏑木清方(かぶらき きよかた)≪築地川≫の世界
■ 鏑木清方が描く情緒あふれる下町の風景
当館で新収蔵となった鏑木清方≪築地川≫を初公開いたします。清方が幼い頃に暮らした東京・下町の情景を描いた画帖からは、明治期に暮らした人々の活気あふれる様子が浮かび上がります。タイトルとなっている築地川は、かつて築地を囲むように流れていた掘割の川で、その周りには多くの人々が集い生活を営んでいました。本展では美しい絵と文章でつづられた画帖≪築地川≫を中心に、新収蔵となる≪春雨≫のほか、挿絵画家としても活躍した清方の挿画などを紹介し、画家が愛した明治時代の情景をお楽しみいただきます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202112034445-O5-12z0RgpI】
*十図からなる鏑木清方≪築地川≫は、中間展示替えを行い、全図をご紹介します。
前期:2021年10月9日(土)~11月25日(木)
後期:2021年11月26日(金)~2022年1月10日(月・祝)
―展覧会概要
1)展覧会名 【仏教館】 特別展 静岡の仏像+伊豆の仏像-薬師如来と薬師堂のみほとけ
【近代館】 企画展 鏑木清方≪築地川≫の世界
2)会期 2021年10月9日(土)~2022年1月10日(月・祝) 94日間
※会期中無休(年末年始も開館します)
3)開館時間 9:30–16:30(最終入館は16:00まで)
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、変更となっております。
4)会場 上原美術館 仏教館・近代館
〒413-0715 静岡県下田市宇土金341
5)料金 一般1,000円/学生500円/高校生以下無料
※団体10名以上10%割引
※障がい者手帳をお持ちの方は半額になります
6)販売物 仏教館特別展「静岡の仏像+伊豆の仏像―薬師如来と薬師堂のみほとけ」の展覧会図録を販売しております。
仏像24点、資料2点の解説、書き下ろしの論考を収録。
販売価格1,000円(税込)
―主な出品予定作品
[仏教館]
1. ≪仏面≫ 平安時代 静岡市葵区松野・松野阿弥陀堂 ※静岡市指定文化財
2. ≪十一面観音菩薩像≫ 平安時代(10世紀) 静岡市葵区坂ノ上・坂ノ上薬師堂 ※静岡県指定文化財
3. ≪薬師如来像≫ 平安時代(9世紀)河津町谷津・河津平安の仏像展示館 ※静岡県指定文化財
4. ≪地蔵菩薩像≫ 平安時代(9世紀後半~10世紀 河津町谷津・河津平安の仏像展示館 ※静岡県指定文化財
5. ≪薬師如来像≫ 平安時代(11世紀) 南伊豆町手石・青龍寺 ※南伊豆町指定文化財
[近代館]
1.鏑木清方≪築地川≫ 1941(昭和16)年 紙本彩色、折帖10図 34.0×42.5cm ©Akio Nemoto2021 / JAA2100228
―広報用画像
本展紹介記事等を記載される場合、以下の画像と展覧会チラシデータをご提供できます。
電話、またはメールにてご連絡ください。
※画像掲載をする場合、作品クレジットの明記をお願いいたします。
1.『静岡の仏像+伊豆の仏像』展示風景(松野阿弥陀堂の仏像群 ※静岡市指定文化財)
2.如来像 平安時代(10世紀) 静岡市葵区坂ノ上・坂ノ上薬師堂 ※静岡県指定文化財
3.薬師如来像 平安時代(9世紀)河津町谷津・河津平安の仏像展示館 ※静岡県指定文化財
4.地蔵菩薩像 平安時代(9世紀後半~10世紀) 河津町谷津・河津平安の仏像展示館 ※静岡県指定文化財
5.鏑木清方≪築地川≫より「築地橋」 1941(昭和16)年 紙本彩色 ©Akio Nemoto 2021/JAA2100228
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