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【2020×東洋大学】法学部 谷塚助教に聞く、東京五輪が日本のスポーツ界にもたらす効果


2020年7月13日



東洋大学



<NewsLetter Vol.03>

東洋大学は研究成果である「知」で2020へ貢献します



東京五輪は、日本のスポーツビジネスを変える

絶好のチャンスになる



 本ニュースレターでは、東洋大学が2020年から未来を見据えて、社会に貢献するべく取り組んでいる研究や活動についてお伝えします。

 今回は、法学部企業法学科 谷塚哲 助教に、東京五輪が日本のスポーツ界にどのような効果をもたらすのか、その意見や考えを聞きました。



【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202007101894-O1-OZoIMC48

法学部 企業法学科 谷塚 哲 助教



Point

1.東京五輪は、スポーツ界のマインドを変える好機に

2.Jリーグのビジネスモデルに、スポーツ産業を進展させるカギが

3.ドイツのコミュニティ文化「フェライン」から学べること





東京五輪は、スポーツ界のマインドを変える好機に



東京五輪を巨大なスポーツビジネスと捉えると、その開催は日本のスポーツ界にどのような効果をもたらすとお考えでしょうか?

 スポーツ庁は、2025年までにスポーツビジネスを15兆円規模にするという目標を掲げていますが、東京五輪以降、いかに拡充を図っていくかは大きな課題です。新国立競技場にしても、東京五輪以降の具体的な使い道が決まっておらず、高額な維持費が国民の負担になる危険性も孕んでいます。東京五輪のようなビッグイベントや一部のリーグ戦ではチケットが飛ぶように売れても、巨大な競技場で集客できるようなスポーツコンテンツは非常に少ないのが現状です。日本人にはお金を払ってスポーツをすることや、毎週末にプロリーグや実業団を応援する文化が根付いていないこと。興行化して成功できるスポーツコンテンツが少ないこと。日本のスポーツビジネスが伸び悩む要因は色々ありますが、スポーツ界の考え方や土壌を根本的に変える必要があることは間違いありません。そして、国民が一体となって東京五輪を盛り上げようとしている今こそ、課題に取り組む好機だと思うのです。日本のスポーツ界を永続的に発展させるためにはその原資が必要であり、スポーツで収益を上げなければなりません。スポーツで稼ぐことにネガティブな意見もありますが、そこはスポーツ団体のガバナンスを強化することによってイメージは変わってくるはずです。東京五輪のレガシーは、スポーツ界のマインドが大きく変わったことだ。そういわれるような機会にしなければならないと、私は思っています。



東京五輪という機会を生かして、現状打破していくためには…?

 東京五輪は、スポーツとは何なのか再定義する機会だと思うのです。スポーツは本来、参加するのも応援するのも「楽しい」ものなのに、日本では時に辛く厳しいものというイメージも持たれます。また、ヨーロッパではスポーツをすることにお金を払うことが一般的ですが、日本では学校の部活などの影響もあり、お金をかけずに取り組むのが慣習となっています。それも日本人がスポーツにお金を使いたがらない理由かもしれません。しかし、それを変えるきっかけを作ったのが、Jリーグです。ドイツの歴史あるスポーツ文化を参考に形成されたJリーグは、日本初の脱企業・地域密着型プロスポーツリーグの新しいビジネスモデルを作りました。スポーツ庁が期待するスポーツの産業化の目的の一つには地域活性化も掲げられています。Jリーグには、改めて注目したいスポーツの産業化のカギがあります。



【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202007101894-O2-15BGGAl0



Jリーグのビジネスモデルに、スポーツ産業を進展させるカギが



日本のスポーツ界を変えるきっかけとは、どのようなことでしょうか?

 Jリーグは、支援企業主体の考え方から脱却し、スポーツは地域のスポーツクラブを中心に私たち自身で行うものという新しい概念をもたらしました。その結果、地域が一体となってスポーツを応援する気運が高まり、Jリーグが成功を収める基盤を作りました。さらには地域やコミュニティの活性化にも繋がっていきました。Jリーグは、ドイツのスポーツクラブを参考に作られたビジネスモデルです。2000年から文部科学省のスポーツ振興基本計画によって全国に配された総合型地域スポーツクラブも同様です。しかし現在では、Jリーグは高い理想を持ってスタートしたにもかかわらず、企業支援型に移行しつつあり、総合型地域スポーツクラブも健全な運営が行われているのは、全体の10%程度といわれています。現在の景況から東京五輪以降を考えると、企業や政府の支援にはやや心配もあります。今こそ日本のスポーツ界は改めて地域に根付いたビジネスモデルに回帰し、自立して稼ぐ仕組みにしなければならないと私は考えています。



【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202007101894-O3-48QxtqGA



ドイツのコミュニティ文化「フェライン」から学べること



日本のJリーグが手本にしてきた、ドイツのスポーツクラブの特色とは?

 Jリーグが目指してきたのは、ドイツの「フェライン=Verein」というコミュニティ文化から形成される地域のサッカーチームやスポーツクラブです。ドイツのスポーツクラブは、市民が主体となって運営しており、会費を払えば子どもから高齢者まで誰でも利用できます。このクラブでは、一部の指導者やスタッフは雇用されていますが、多くの地域住民がボランティアとしても参加し、仲間との交流を楽しみながらクラブ運営を手伝う様子が見られます。また、市民が育ててきたサッカーチームの試合は応援が盛り上がることでも有名です。忙しい日本人には、ドイツのフェライン文化をそのまま倣うのは難しいかもしれません。しかし、日本のスポーツの発展を目指すことはもとより、あらゆる世代がスポーツを通じて健康で豊かな生活を送ることや地域活性化に繋がるよう、私たち日本人に合ったスタイルを見つけていくのも大切だと思うのです。



【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202007101894-O4-KbgJoxWS

谷塚 哲(やつか てつ)

東洋大学 法学部 企業法学科 助教/修士(スポーツ科学)

専門分野:スポーツビジネス法、スポーツマネジメント、スポーツビジネス

研究キーワード:スポーツビジネス法、スポーツ組織の経営、組織統治・法令遵守

著書:変わる日本のスポーツビジネス[カンゼン] ほか



【本News Letterのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。】

https://www.toyo.ac.jp/s/letter2020/

 



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