自然災害を考える
「準備編」に引き続き今回は「リスク管理編」です。
日本という国は、自然災害の多い国です。どこに住んでいても、自然災害がないという場所はありません。
一方で特定の災害については、他地域よりもリスクの高い地域というのがあるので
といった知識は必要です。
たまにしか起こらないので住む地域の自然災害リスクについて詳しく調べる人はあまりいないかもしれませんが、起こった時の被害は壊滅的です。
移住しないとしても自分の住む地域の特異性については知っておいたほうが良いと思います。
地震雷火事おやじ
地震
国立研究開発法人 防災科学技術研究所のHPにはJ-SHIS ハザードステーションというのがあります。
将来日本で発生する恐れのある地震による強い揺れを予測し、予測結果を地図として公表しています(全国地震動予測地図)。
リスクの高い地域では家を建てたとしても地震で被災してしまうかもしれませんし、地震保険料も高くなります。
と思ってしまうかもしれません。でも知っておいて住むのと知らずに住むのでは大違いです。
雷
フランクリン・ジャパンという会社のHPに「全国落雷密度マップ」というものがあります。
面積当たりの落雷件数を色分けしたもので、これを見ると関東以南の内陸部や九州全域が落雷件数が多いことがわかります。
一方で「全国落雷日数マップ」を見ると、日本海側が多くなっています。これは冬特有の落雷が日本海側に多いことによります。
「全国落雷日数マップ」は1日に何件の落雷があっても「1日」とカウントされるので、「件数」を反映する全国落雷密度マップとは分布が異なります。
火事
総務省消防庁の資料(消防白書)で詳しく見ることができます。
出火原因
1位 放火
2位 たばこ
3位 コンロ
で一定しています。北陸が少ないこと以外に都道府県別の出火率(人口当たり件数)にも明確な地域性はないようです(2.5倍くらいの開きはありますが)。
主な出火原因はみな人間の活動によるものなので、あえて言えば乾燥しやすい地域、風の強い地域は要注意ということでしょうか。
おやじ
そんな地域はあるのでしょうか? 資料は見つかりません(笑)。
噴火、津波、台風(暴風、豪雨、洪水、高潮)
自然災害と言えば、これらを考えないわけにはいきません。
津波や火山の場所は限られています。ただ、富士山のような火山が大爆発を起こせば、風向きによっては東京の都市機能が壊滅的に打撃を受けることが予想されています。
台風は、九州・沖縄・四国の太平洋岸など「台風銀座」と言われる地域がありますが、最近の台風はこれらに限らず様々な地方に上陸する傾向にあるようです。
特に山間部は土砂災害に要注意
自分の住む場所が土石流に襲われる可能性について、自治体の作っているハザードマップなどで事前に調べておいたほうがよいでしょう。
繰り返しになりますが、「知ってて住む」のと「知らずに住む」のとでは大違いです。
野生生物
道路に蛇がいたり、蜂がいたり…などはよくあることです。家の中に大きなクモがいる程度ならまだいいのですが、ムカデなどの害虫がいることもあります。
自然災害はたまにしか起こらないので直面する機会は少ないかもしれませんので、自然の豊かな地域への移住後は「虫が多い」などの日常的なことのほうが気になるかもしれません。
治安
警察庁の資料に犯罪件数に関しての統計(警察白書)があります。
人口当たりの刑法犯認知件数(殺人・強盗・放火・強姦・暴行・傷害・窃盗・詐欺などの犯罪)を都道府県別で比較すると、大阪府をはじめ都市部で率が高い傾向にあります。
ただ、件数自体はどこも減少傾向にあります(平成27年以前過去5年のデータでの比較)。
最近はデータが公表されていないようなので数年前のデータになりますが、都道府県のみならず市区町村ごとのデータもあります(ありました)。
都市部では高いところでは、人口に対する年間の刑法犯認知件数が10%近いところもあるのに対し、少ない地方では0.1%程度のところもあります。
これは全体的な傾向なのでもちろん例外も多く、「村」でも5%程度のところもある一方で、人口10万人でも0%の「市」もあります。
「顔見知り」であることが犯罪の抑止力
都市部で犯罪率が高いのは1つに匿名性と関係があると思います。顔の見えないネットの世界では誹謗・中傷がエスカレートするのと同じです。
近所の顔見知りに対しては犯罪しにくいものですし、一度ことを起こしたら本人はその後住みづらくなります。「顔見知り」であることが犯罪の抑止力になっているのでしょう。
地方では、家や車にカギをかけない地域も結構あります。
お金
どこに住んでいてもお金の心配はつきものですが、移住後のお金のシミュレーションも当然必要です。
テレワークが可能な職種など仕事も収入もが変わらない人は支出の洗い直しが必要で、収入が変わる人は収支両方のシミュレーションが必要になります。
「実生活編」に記載しますが、必ずしも「移住 = 生活費が安くなる」わけではないので注意が必要です。(執筆者:日比野 岳)