家族が介護状態になったときに、自宅で介護するべきなのか、介護施設に入所するべきなのかという決断をしなければなりません。
介護度からみると今は在宅介護が可能でも、この先介護度が上る事を考えると早目の入所を検討する方もいるでしょう。
どちらが正しい選択かは一概には言えません。
ですが、それぞれのメリットとデメリットを知っておく事で、今後の介護生活に役立つはずです。今回はこの2つの介護スタイルのメリットとデメリットを見ていきましょう。
在宅介護のメリット・デメリット
メリット
・住み慣れた家で環境を変えずに生活できる
・家族のそばで生活をおくれる
・最低限の介護サービス費用と介護用品の費用しかかからない
・認知症や身体状況の変化を家族がしっかりと把握できる
デメリット
・気軽に出かける事ができず、家族の自由が極端に減る
・夜間も介護や見守りをしなくてはならない
・主で介護する人間の心身的負担が大きい
・徘徊などが多い場合、近隣トラブルや事故が考えられる
・別居状態から同居すると、生活スタイルが合わずに家族間のトラブルが発生する可能性がある
・急患の場合すぐに対応ができない
高齢者だけではありませんが、住み慣れた家で余生を過ごしたいと考える方は多いです。
実際に24時間つきっきりで介護ができる家族がいたり、同居する家族が協力できる状態、介護できる環境が整っているのであれば、それも可能です。
しかし、その介護者にとっての生活が激変し、心身共に疲れきってしまう事も少なくありません。
在宅介護の場合は週に数回程度の通所サービス等を利用し、介護する側のストレスや身体的な疲労を上手に軽減させる事が重要です。
施設入所のメリット・デメリット
メリット
・介護のプロ、看護のプロが24時間介護にあたってくれる
・在宅だと引篭もりがちだが、施設だと他者との交流があり刺激になる
・人にもよるが、自分の介護での家族への負担を緩和することで安心ができる
デメリット
・月々の施設利用料の金銭的負担が増える
・入所待ちの施設が多く、すぐに入所出来るケースが少ない
・本人に合った施設かどうか、入所してみないとわからない部分が多い
・集団生活が苦手な方だと馴染むのに時間がかかったり、集団生活がストレスになってしまう
・施設内で感染症が発生した場合、集団感染のリスクが高い
施設へ入所をすれば、家族も仕事や私生活に支障はでませんが、入所した本人は慣れない生活が始ります。
環境が変わった事で認知症が進行したり、帰宅願望が強く出て毎日のように電話をかけて帰宅を訴えるケースもあります。
施設職員も本人が安心して生活できるよう対応しますが、落ち着くまでに時間がかかる事があります。
施設によっては家族を招いて季節の行事などを行う場合もあるので、家族も積極的に参加し職員とのコミュニケーションを取ると良いでしょう。
こまめに面会に行く事で本人も安心しますし、職員や施設との連絡体制も円滑に行えるようになりますが、逆に面会する事で本人が不穏状態になる場合は面会を控えるよう施設側から指示が出る場合もあります。
万が一、施設が合わなかった場合でも、直ぐに退去を命じられる事はありません。施設と相談し、次の施設をじっくり探しましょう。
まとめ
介護する側とされる側、どちらの生活を重視するかは難しい問題ですので、家族や親族が納得いくかたちで介護をして行く事が大切です。在宅介護には在宅介護の良さも大変さもあります。
施設への入所も、安心は得られますが金銭的な問題や入所者同士のトラブルなども考えられます。
家族に対する介護とは必ずこのようにしなくてはならない!といった決まりはありませんので、焦らずじっくりと今後の介護生活について検討していきましょう。(執筆者:佐々木 政子)