これだけ高齢化率が高まりますと、老親等の状態が悪化して施設への入居を検討している方が相当数いるのではないでしょうか?
その際、施設の費用や待遇の善し悪しなどのチェックには余念がないでしょうが、所得税等への影響まで考慮される方はほとんどいないでしょう。
今回は影響を受ける所得控除についてお話したいと思います。
「施設」といっても、さまざまあります
一概に「施設」といってもさまざまあり、サービス内容や入居目的によって下図のように分かれます。
どの施設を利用されるかで所得税等への影響も変わってくるのです。
影響を受けるのは「医療費控除」と「扶養控除」
では、本題に入りましょう。なぜ、所得税等が影響を受けるのかといいますと、それは「医療費控除」と「扶養控除」に影響があるからです。
所得税法では、その年の12月31日の現況で控除対象扶養親族などの判定を行うことになっていますので注意しましょう。
医療費控除
「施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)」が控除対象となる施設は、公的介護保険施設である
・ 介護老人保健施設(老健)
・ 介護療養型医療施設(療養病床)
の3つの施設のみです。
ただし、特別養護老人ホームについては、施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額の2分の1に相当する金額となるので注意してください。
これらの施設は、介護より医療の側面が大きいので「医療費控除」の対象になるという考え方のようです。
医療費控除の対象となる費用
施設発行の領収書に医療費控除の対象金額が記載されていてわかるようになっています。
民間施設
「施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)」が医療費控除の対象となる施設は現在のところありません。
しかし日常的におむつの使用が続く方や施設内で訪問医などによる治療費が発生した場合には「医療費控除」として申告が可能な場合があります。
扶養控除
施設に入居されても条件を満たせば、「扶養控除」の対象になりますが、これまで同居だったかどうかや被扶養者の年齢によってその影響や受けられる控除額が変わってきます。
「扶養控除」を受けられる条件
・ 被扶養者が配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)
又は、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること
・ 主となる納税者と生計を1つにしていること
・ 被扶養者の合計所得金額が38万円以下であること
・ 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
受けられる控除額
・ 被扶養者の年齢が70歳以上の場合 48万円
・ 被扶養者の年齢が70歳未満の場合 38万円