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銀行は「金融商品販売会社」という認識を持とう ~ある年金生活者の怒り~



生命保険会社、損害保険会社、証券会社など金融商品販売会社は、数あれど、銀行、信用金庫、信用組合、JAバンク、ゆうちょ銀行ほど、金融商品を販売しているイメージの薄い金融商品販売会社はないでしょう。



その一方で、私たちは、これらの金融機関に預貯金し、決済引き落とし口座とて利用しているため、ある程度の収入、支出、資産残高、借入残高を把握されているので、一層たちが悪い。(以下、便宜上これらの金融機関をまとめて”銀行”と称します)





ある年金生活者の話


最近、ある年金生活者が、満期になった積立定期貯金を「超低金利の今、再び定期貯金にしても大して金利はつかないから」と、保険商品を勧められ、「この商品なら1%の金利がついて、相続対策にもなる」と言われたそうです。



その設計書を見せてもらいましたが、ビックリ!







まず金利ですが、1%の金利どころか、払い込み終了時点で60万円損をしている内容でした。



また、相続対策ですが、その保険は、契約者と受取人が本人で、被保険者がその方のお子様だったため、まったく相続対策になっていませんでした。



その旨をお伝えしたところ、即刻解約し、よほど許せなかったのか、事例としてコラムに掲載することを承諾していただきました。





こわい長年の習慣と思い込み




その”銀行”員が本当にそのような勧誘をしたのか、現場にいたわけではないので疑問ですが、少なくとも契約者本人は、そのように認識していたことは事実ですし問題です。



長年、ご高齢者にとって”銀行”は、お金を預け殖やす所であって、減ることなどない場所であったため、損するようなものを勧められるイメージがないようです。



この手の”銀行”は、長年定期預金の積立や満期金の支払いで頻繁に訪問しているため、ご高齢者にとって、保険・証券会社よりも警戒心が薄いように思われます。



この保険を”銀行”ではなく保険会社が勧誘していたら、はたしてこの方は契約していたのでしょうか?



また、この保険には、払い込み終了時と以降5年ごとに支払われる生存給付金がついていました。



何かの本で読んだのですが、長年にわたり、月給という形で毎月収入があった方が定年退職後に毎月の収入が途絶えると、強い不安に襲われるそうです。



そのため、ご高齢者には、自分のお金の取り崩しに過ぎない「毎月分配型投資信託」がよく売れるんだとか。 





不慣れなことはわからない


一万時間の法則というものがあり、世界レベルの技術に達するには、どんな分野でも一万時間の練習が必要~神経学者ダニエル・レヴィティン~(「天才!成功する人々の法則」マルコム・グラッドウェル著 講談社より)なのだそうです。



たまにクイズ番組で、知的なイメージのある専門家や教授が、私たちが「知ってて当然だろう」と思うような簡単な問題を間違えることがあります。専門分野に集中すればするほど、不慣れな分野は多くなります。 



40代50代の方が、パソコンやスマホを、高校生より使いこなせないように、どんなに高学歴な人であっても、馴染みのないことは理解しづらいのです。



普段から金融商品に馴染みのない方には、どこを見て、どんな質問をすればいいのか分からないのです。





私たちの脳は省エネ志向




私たちの脳には癖があり、できる限り自分で考えず、あらかじめ評価が決まっているものを参照したり、相対評価を利用したりして、楽をしようとするそうです。



私たちは口コミや、ランキングをうのみにしたり、過去の経験則が今でも通用すると考えてしまいがちです。



今や”銀行”は、保険や投資信託を販売する、金融商品販売会社であるということを、再認識する必要があります。



私たちにとっては当たり前のことでも、ご高齢者の経験則では当たり前ではないかもしれません。



このコラムをお読みいただいたご高齢の親御さんがいる方は、是非このことを親御さんにお伝えください。



もちろん私もこの相談のあと、直ちに両親に、「”銀行”が営利団体であること」「気になる金融商品があったら、同居の兄ではなく、私に相談すること」を伝えました。(執筆者:田島 稔之)



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