平成28年分の確定申告からマイナンバーの記載を求められるようになりました。
成りすましを防ぐため本人確認が必要とされることもあり重要な番号とは言えますが、電子申告により導入された番号やそれ以前の管理番号もあり、申告で使う番号がさらに増えることになりました。
実際の申告の上で、どのように使うか整理していきましょう。
1. 整理番号(8桁)
電子申告・書面申告問わず記載欄がある番号ですが、これは管轄税務署ごとに割り振られたもので、転居等で管轄が変われば変更されるものです。
税務署より届く「平成○年分確定申告のお知らせ」や「国税還付金振込通知書」などにも記載されています。
これは書面申告・電子申告関係なく任意記載の番号ですので、正確な番号がわからなければ未記入にしておいたほうがいいものです。
平成29年より始まったクレジット納付の際にも入力は求められますが、こちらも任意記載となっています。
2. 利用者識別番号(16桁)
電子申告(いわゆるe-taxの他、申告会場のパソコンで行う「来署型」含む)で必要な番号がこの番号で、こちらは転居しても引き継がれます。
書面申告であれば、確定申告書等作成コーナーも含めて必要とされません。
マイナンバーが導入された平成28年分以降も、電子申告では効率的な入力およびe-tax送信の上で最重要な番号です。
自宅送信・来署型共通の注意点
確定申告書等作成コーナーでは自宅送信・来署型とも、設定した暗証番号無しに申告書を作成することは可能ですが、この場合住所・氏名等を手入力することになります。
暗証番号をちゃんと入れれば、住所氏名等の登録情報を呼び出します。
暗証番号は取得時に発行した「重要書類」には記載されていますが、前年以前分の申告書控や「平成○年分確定申告のお知らせ」には表示されません。
自宅送信の注意点
来署型でないe-taxの場合は、最後の電子送信の際にも暗証番号を入れますので、暗証番号を忘れると申告を完了させることはできません。
忘れた場合は、秘密の質問・答えを登録していればそれを用いて再設定できます。
登録していない場合は、変更等届出書の提出をして、新暗証番号が来るまで1週間程度待つことになりますので、申告期限間際の場合は注意してください。
なお、平成29年1月16日に運用が開始されたマイナポータルから電子申告を行う際にも、利用者識別番号・暗証番号の入力は求められます。
3. マイナンバー(12桁)
平成27年10月~12月にお手元に届いたマイナンバーですが、社会保障・税の情報をこれから一体管理していくための番号です。
上記2番号と異なり、漏洩により不正利用が予測される場合を除いて変わることはありません。
手書きの申告では、第1表に本人分、第2表に扶養親族等・事業専従者の分を記載します。確定申告書等作成コーナーでは、(扶養親族等や事業専従者を含めて)最後のほうで入力して終わりです。
ただ、通知カード+本人確認書類(マイナンバーカードであれば単独でOK)の提示または写しの添付も必要となります。
電子申告・書面申告を問わず、法律上は義務としての記載を求めていますが、国税庁ではマイナンバー記載初年度ということもあり柔軟な対応をしています。
≪参考:「番号制度概要に関するFAQ」(国税庁HP)の「Q2-3-2 申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号を記載していない場合、税務署等で受理されないのですか。」≫
平成29年7月までは記載することの影響やメリットを実感しにくいのではないでしょうか。
例えば平成28年分の確定申告により申告した情報は、所得制限つき社会保障制度(※)を利用する際に、自治体等が参照することになります。
≪※参照:確定申告によって自分の受ける社会保障はどう変わってくるのか(1)≫
マイナポータルでも、平成29年7月本格運用後は「子育てワンストップサービス」などが利用できる予定です。マイナンバーカードを発行してもらうことにより、所得制限の範囲内であるかを自身で参照できることが想定されます。
以上3つの番号を取り上げましたが、混同されている方もいらっしゃるので整理しておいてください。(執筆者:石谷 彰彦)