住宅ローンは長丁場
住宅ローンは30年、35年の長丁場になります。
借り換えを検討、繰り上げ返済を実施して毎月の返済金額を減らしたり等、ところどころでメンテナンスが必要になります。
メンテナンスを実施しながら最後まで払い続けないといけません。
払い続けられない状態になると、最悪借入している金融機関は抵当権を行使します。自宅を競売にかけます。自宅を失うことになります。
マラソンランナーと同じです。42.195kmキロメートルを完走しないといけません。
前半は給水ポイントも順調にこなし予定通りのペースで進めていたが、後半になり、急に脱水症状になり「途中棄権の可能性」が出てきます。
さあどうするか?
人生もマラソンと同じです。予測しないことが色々起こります。
業績不振によるリストラ
病気入院等により収入の大幅減の状態になった時
このような場合住宅ローンはどうなるのか?
住宅ローンの返済ができないかも…という状況に陥った時、取るべき対応をお伝えします。
まず借入している金融機関に相談するのが取るべき最初の対応です。
借入している金融機関と条件交渉をする前に予備知識として知っておくべき事をお話します。
毎月の返済金額を減らす方法
大きく分けて3つあります。
(1) 借入期間を延長して、毎月の返済金額を少なくする方法
現状借入している住宅ローン3,000万円 期間35年 金利2% 全期間固定型
【毎月の返済金額】 9万9,379円
【年間返済金額】 119万2,548円
【総返済金額】 4,173万9,109円
15年経過後
【残債金額】 1,964万4,575円
残期間20年をもう一度35年にすると
【毎月の返済金額】 6万5,705円
【年間返済金額】 78万902円
【総返済金額】 2,733万1,569円
毎月の返済金額を約35%カットできます。
さらに金利2.0%を0.5%(変動金利)に変更すると
【毎月の返済金額】 5万994円
【年間返済金額】 61万1,933円
【総返済金額】 2,141万7,666円
毎月の返済金額を約50%カットできます。
金利2%を0.5%に変更するのは通常、他の金融機関に借り換えしないとできないワザですがだめもとで交渉しましょう。
(2) 元本据え置き措置を取り、毎月の返済は利息金額のみにする。
15年経過後、残債金額1,964万4,575円の場合 金利2%の利息のみ返済
年間金利39万2,891円、毎月にすると3万2,740円の支払いのみになります。
毎月の返済金額を約60%カットできます。
(3) 一定期間、返済金額を減額
毎月の返済金額9万9,379円を3年間、7万円に減額する。
(1)、(2)、(3)については住宅支援機構(フラット35)に制度としてホームページに掲載されている内容です。
(1)については 返済期間の延長は最長15年です。
(2)については 利息金額のみの支払い期間は最長3年です。
上記の件はあくまで、申請制です。条件次第では審査が通らないケースもあります。
上記の対応は民間金融機関、ネット銀行が対応してくれるとは限りません。
借り換え、繰り上げ返済等は金融機関との通常取引です。しかし上記(1)(2)(3)の措置は特別な条件変更という認識で交渉しないといけません。
日銀のマイナス金利政策発表以後、金利低下により金融機関の獲得競争は激しくなっているので、一時的にマイナス措置をとっても、将来的には返済可能と判断すれば、条件変更に応じてくれる金融機関もあります。
最近では、最初から上記条件の措置を取ることを打ち出している金融機関も登場しています。
(1)、(2)、(3)とも共通していることは問題を先送りしているだけです。当面の事態を一時的にしのぐだけの措置です。
支払い期間を延長、利息金額のみの支払い、返済金額の減額の措置はすべて通常の返済より利息を多く支払うことになります。総返済金額は多くなります。
最後に
一時しのぎのため、カードローン、消費者金融から借入して返済するのは厳禁です。事態をさらに悪くします。
厳しい状況になった時、最後の手段として借入している金融機関に駆け込むのは大きな間違いです。
上記で説明しました条件変更の制度があることを頭に入れておくべきです。
返済できない事態になる前、予測の段階で金融機関にすぐに相談するのが鉄則です。(執筆者:中井 泰男)