今年に入り筆者の元にも、iDeCoのご相談にいらっしゃる方が増えています。
主婦の方で相談内容が多いのは?
・ 以前勤めていた企業をやめて現在個人型に移っていますが、元本確保型の商品のみですので目減りしています。どうしたらよいですか?
・ 専業主婦で所得が無いので所得控除のメリットがありませんが、それでもiDeCoをやった方がよいですか?
という質問が見受けられます。
新聞・雑誌各紙を見てもiDeCo特集を取り扱っていたりしますので、多くの方が目にすることになり、制度を気にする方が増えていることと思います。
そのような中において、急にiDeCoで投資をしたり、どのような商品を運用すればよいのか迷ってしまう方も多くいらっしゃいます。
ですので、今回は商品選びのコツをお伝えできればと思います。
老後の為の長期運用が大前提
まず、iDeCoは老後の資金作りを目的とした長期運用を前提としていることを認識しましょう。
長期で運用して老後資金を作るという事は、その間複利の効果を受けられれば資産が大きく成長する可能性を秘めています。
また、iDeCoは定額での買い付けになりますので、毎月自動的に老後の為のお金も振り分けられますし、どのような市場環境下でも必ず投資を行っているということになります。
この必ず投資を行っている状況というのはとても大切です。
例えば2008年のリーマンショックの時も投資を継続していたと考えられます。
という事は、2008年の10月には日経平均株価が6,994円という価格でした。
ですが、現在2017年1月25日現在は約1万9,000円です。
投資のタイミングを計って買ったり売ったりすることはとても難しい事です。
しかし、iDeCoで定額投資を行っていれば、そのチャンスも逃さず投資を続けていられるという事です。
リスクとリターンは比例します
継続して定額投資するメリットの反面、資産運用のリスクも確認してみましょう。
よく、リスクとリターンは比例するといわれます。
大きいリスクを取らなければ大きいリターンも取れないという事ですね。
リスクが怖くて小さいリスクしか取らなければ、リターンも小さいという事です。
このリスクとは資産運用の定義においては「値動きの変動幅」の事を言います。
ギャンブルのようなリスクとは違います。(ギャンブルのリスクは勝つか負けるかの100か0かというようなリスクです)
リターンとは投資した商品から得られる収益の事を言います。
5つのリスクについて
では、リスクの種類を見てみましょう。
1. 価格が変動するリスク
これは、経済状況や金利、決算などにより価格そのものが変動するリスクの事です(最近ではトランプ大統領のツイッターでも、自動車株などが変動するリスクがあります。)
2. 為替リスク
これは、円高・円安といったことにより価格が変動するリスクです。(為替は各国の金利政策などによっても変動します)
3. 信用リスク
これは、株式や債券など発行しているところの信用度の問題です。(最近では東芝の大きな損失が問題となり、社債の格付けがCCC+に格下げされました)
4. インフレリスク
これは日銀の黒田総裁も目指していますが、インフレという事はお金の価値が下がるという事です。
5. カントリーリスク
これは国の情勢や経済状況によって価格が上下するリスクです。
リスクについては他にもありますが上記のようなリスクがあると思います。
では、これらのリスクを軽減するにはどうしたらよいのでしょうか?
リスクを軽減するために有効な手段とは
それには、「分散投資」と「長期投資」が有効と考えられます。
分散投資は複数の商品に分けて投資することにより、一つがだめになっても全体としてカバーできるのでリスクの軽減が出来ます。(イメージとしては、一つの籠に卵を入れて運ぶと転んだ時にすべての卵が割れてしまいますが、分けて運べば一度にすべてが割れることはないということです。)
長期投資は複利の効果を大きく上げることと、先に書いた通り常に投資を続けていることの強さです。
リスクを理解した上で自分のリスク許容度を把握することが大切です。
これには最適なサイトがあります。
こちらで判定してみると安全性重視や安定成長・バランス運用などタイプが示されます。
これを参考に投資対象を選んでいきます。
実際にやってみると、2,3分でこのような結果が出ます。
投資対象の選び方
・ 安全性の高い商品といえば「元本確保型」の預貯金と保険商品です。
・ 収益性の商品といえば「元本確保型以外」の投資信託を中心とした商品です。
・ 流動性の商品はいつでも引き出すことが出来るiDeCo以外の普通預金や定期預金です。
元本確保型
預貯金の特徴は
・ 原則元本確保である。
・ 満期時に元本と利息が受け取れる。
・ 満期日前に解約すると中途解約利率が適用されて本来の利率より低くなる。
保険の特徴は
・ 満期時に元本と保証された利息が受け取れる。
・ 預貯金より若干利率が高い。
・ 中途解約すると解約控除が適用され元本割れする可能性がある。
元本確保型以外
投資信託の特徴は
運用先が分かれている。
代表的なものは
【国内債券型】リスク低め。
【国際債券型】(先進国・新興国)為替リスク・カントリーリスクも伴うので国内債券型よりリスクは高い。
【国内株式型】リスクは高め。
【国際株式型】(先進国・新興国)為替リスク・カントリーリスクも伴うので国内株式型よりリスクは高い。
【リート】(不動産投資信託)金利の上昇リスクに弱い。
【バランス型】手数料が高いものもある。単一的なバランス型や、配分を考えたバランス型がある。
その中でも商品ごとに3つチェックポイントがあります!
ポイント1. 運用方法
アクティブ運用・・・目標の指標より高いリターンを目指す
パッシブ運用・・・目標の指標と連動するリターンを目指す
ポイント2. 信託報酬
保有期間中支払う手数料の事(同じ商品カテゴリーの中からできるだけ低い商品を選ぶようにしたい)
ポイント3. 商品ごとの運用実績
できるだけ運用実績のあるものの方が検討しやすい。
【例】収益性のある商品を40%組み入れるとしたら
例えば収益性のある商品を40%組み入れるとしたら、その中の配分を上記内容の中からどのように選ぶのか?
それには、各投資信託の運用実績から自分の目標であるリターンを目指す配分を考えることになります。(運用報告書等をみて過去の運用成績を見る)
また、手数料は自分でコントロールできる唯一のリスクです。信託報酬はできるだけ低く抑えることが重要です。
運用方法は一般的にアクティブ運用で手数料も高めであったり、ファンド自体のリターンを高めに設定しています。
という事は値下がりリスクも大きいということになります。
以上のようなことを検討して自分で選ぶのが本筋ですが、これはなかなか難しい事です。
最近では無料で簡単に使える「ロボットアドバイザー」もあるので、こういったサービスを利用して配分を選ぶ方法もあります。
みずほ銀行「SMART FOLIO」
三菱UFJ国際投信「PORTSTAR」
カブドットコム証券「FUND MWE」(スマホアプリ)
等があるので、これらを活用します。
または、ファイナンシャルプランナーに聞いてみるのもよいと思います。
最後に
iDeCoで選んだ商品は一度購入したら他のものが買えないわけではなく、いつでも売却して別のものを購入(スィッチング)することもできます。
また、月々購入する商品の金額の配分も変更できます。
iDeCoは5,000円から始められます。
まず始めてみて、自分が選んだ商品が半年・1年たった時にどうなっているのかを検討し、別の商品を購入するのもよい、掛け金を増やすこともよいなど様々な選択肢があります。
年1回程度見直すくらいのスタンスで臨まれればよいと思います。(執筆者:瀧澤 宏行)