2017年の株式市場が幕を開けた
昨年の世界株式市場の動向のおさらいをしていく。
トランプラリー相場
トランプ次期米大統領の当選後、急速に進んだ円安ドル高を背景に年末に向かって上昇を続けていた日経平均の始値は1万9,298.68円と2015年の6月以来の2万円台を伺う水準で始まっている。
ちなみに昨年2016年の日経平均の始値は1万8,818.58円だったので一年かけてようやく同じ水準に戻った形となる。
大規模なインフラ投資と減税策を打ち出す新大統領の政策に期待してかNYダウ平均株価は急進し史上最高値を更新、2017年の始値は1万9,872.86で初の2万超えを目前にしている。
昨年始値は1万7,405.48だったので年間で14%程度の上昇となった。
イギリスのEU離脱問題
もうひとつ株式指数において史上最高値を更新する状態で推移しているのは昨年6月23日に国民投票でEUから離脱するという結果が出たいわゆるブリグジットで世界を揺るがしたイギリスのFTSE100。
こちらも昨年初の6,242.3に比べて今年は7,142.8始動なので同じく14%の上昇だった。
昨年の世界株式市場に大きなサプライズを与えたこの2市場がレコードハイを記録するほどに躍進したというのは皮肉な話でもある。
2016年の株式市場はブリグジットで大暴落し、トランプ大統領の誕生で株価が上昇したというイメージが強いが細かく見てゆくと必ずしもそうではない。
他の主要市場の動向
他の主要市場の動向を俯瞰してみる。
上海市場
上海市場の2016年の始値は3,536.59、2017年の始値は3,135.92で年間を通じて11%の下落だった。
2016年の最安値(以下すべて終値ベース)は1月27日の2,638.30、6月ブリグジット時の安値は2,854.29。
香港市場
香港市場のハンセン指数では2016始値は21,327.12、2017年の始値は21,993.96で年間3%の上昇。
2016年の最安値は2月11日の18,319.58、ブリグジット時の安値は20,172.46。
ドイツ市場
ドイツ市場のDAX指数では2016始値は10485.81、2017年の始値は11426.38で年間9%の上昇。
2016年の最安値は2月11日の8752.87、ブリグジット時の安値は9268.66。
インド市場
インド市場のムンバイSENSEX30指数では2016始値は26116.52、2017年の始値は26711.15で年間2%の上昇。
2016年の最安値は2月11日の22951.83、ブリグジット時の安値は26397.71。
ブラジル市場
ブラジル市場のボベスパ指数では2016始値は43349、2017年の始値は60227で年間39%の上昇。
2016年の最安値は1月26日の37497、ブリグジット時の安値は49246。
どの市場においてもブリグジットの下落時ではなく1月末から2月頃に2016年度の最安値を記録している。
日経平均と世界株式市場
日経平均の最安値は2月12日の1万4,865.77、ダウの最安値は1月20日の1万5,450.56、イギリスの最安値も2月11日の5,537である。
つまり2016年の世界株式市場は年明けから1月半ほど暴落を続け、2月上旬に底を打ち、あとは徐々に上昇していったというという認識が正しい。
日経平均が1日で1,300円も下落したブリグジットの暴落も上昇トレンドの中の突発的な下げに過ぎず、株価はすぐに回復して上げ基調に戻っている。
トランプの当選が明らかになった11月9日に日経平均は900円以上下げて翌日1,100円上げるという乱高下を演じたがその後は順調に上がり大統領選挙から大納会までに10%上昇し、同期間にダウは6%上げてきている。
英国、ドイツ、フランスなどの欧州市場も好調である。
一方でトランプ当選から年末までに上海、香港、インド、ブラジル、インドネシアなどアジアや新興国市場の指数は必ずしも上昇しておらず、逆に若干下げているということも気づきにくいところかもしれない。(執筆者:玉利 将彦)