高齢化社会は周知の通りです。高齢者の数に比例して、在宅の身体障害者が増えています。
厚生労働省『身体障害児・者実態調査』では昭和45年で140万8,000人だった身体障害者は平成18年には357万6,000人と約2.5倍に増加しています。
このような状況に対応する優遇税制が存在します。それが「バリアフリー改修促進税制」です。
バリアフリー改修促進税制とはどんなもの?
この制度は購入費用の負担を助けるのが特徴です。
住宅ローン控除のように借入金の有無は問われません。購入資金のための借入金返済を補助する今までの制度と根本的に異なります。
実際に所得税から税額控除される金額は次の通りです。
バリアフリー設備でこの制度の適用を受ける条件
1. 対象者
・ 本人が50歳以上
・ 本人が介護・支援が必要であること認定を受けている場合
・ 本人が障がい者であること
・ 同居者に65歳以上・障がい者がいること
2. 適用条件(以下の工事) 段差解消など
・ 改修工事費用(補助金控除後の金額)が50万円以上
・ 廊下の拡張
・ 階段の勾配の緩和
・ 浴室・トイレの改良
・ 手すりの設置
・ 屋内の段差の解消
・ 引き戸への取り替え
・ 床表面の滑り止め化
3. 注意点
・ 工事後の家屋の面積が50平方メートル以上であること
・ バリアフリー改修工事の日から6月以内に住むこと
所得税から確実に税額控除を受けるためには工事前の下調べが命
バリアフリー改修工事の前の下調べの精度によって、所得税からの税額控除の成否が分かれます。工事に着手してからでは手遅れです。
着工前に以下の点に気を付けましょう。
1. 工事後の家屋が50平方メートル以上であることを確認
最も確実な方法は自宅の登記簿謄本に記載されている建物の面積を見ることです。建物の構造別に次のように判断します。
一戸建て
登記簿謄本に記載されている建物の面積
マンション
専有部分の建物の面積
2世帯住宅
世帯合計の建物の面積(区分所有している場合は区分ごとの建物の面積)
万が一、判断に迷う場合は登記簿謄本を持参して税務署に問い合わせことをオススメします。
2. バリアフリー改修工事をする前に業者にバリアフリー改修促進税制の対象になる工事なのかを確認
通常、業者の営業マンはバリアフリー促進税制の知識があります。
万が一、その営業マンの言うことに不安を感じるなら上司に確認を取らせるなど、曖昧のまま購入するのは避けましょう。(執筆者:阿部 正仁)