
2025年5月、日本国内でコメの価格高騰を背景に、詐欺的な通販サイトの被害が急増しているとして、消費者庁や国民生活センターが相次いで注意喚起を行っています。SNS広告や検索エンジンの上位に表示される“国産米の格安販売”をうたうサイトが、実際には商品を送らず、代金だけを騙し取る詐欺サイトだったという事例が多発しています。
特に、5kgで2,000円未満といった相場より明らかに安い価格設定が特徴で、これまで通販で買い物をした経験のある消費者でも「つい信じて注文してしまった」というケースが後を絶ちません。

■国産米の詐欺の被害の実態:「商品が届かない」「連絡が取れない」
国民生活センターによると、今年に入ってから「コメを注文したが届かない」「販売事業者と連絡が取れない」といった相談が全国の消費生活センターに多数寄せられています。
具体的には、次のようなトラブルが報告されています
このような被害は若年層から高齢者まで幅広い年代で確認されており、普段からネット通販を利用している人ほど信じてしまいやすい状況になっています。
「SNSで見た“国産あきたこまち5kg 1,800円”を注文し、代金を先払いしたが届かない」
「注文完了メールは届いたが、その後一切連絡が来ない。問い合わせ先も不明」
「サイトに会社情報や電話番号がなく、返金もできない」

■ なぜ今、詐欺が増えているのか?
背景にあるのは、2025年に入ってからのコメの価格上昇です。
昨年の猛暑や天候不順による不作、物流コストの増加により、一部地域では1kgあたりの価格が20~30%上昇しており、家庭の食卓にも影響が出始めています。この「買いだめ需要」や「少しでも安く買いたい」という心理を悪用して、あたかも農家直送や生産者支援を装う通販詐欺サイトが急増しているのです。特にSNSや検索広告に出てくるサイトは、公式っぽいロゴや信頼性の高そうな説明文を掲載していることも多く、詐欺と気付きにくい構造になっています。
■ 消費者庁・国民生活センターの注意喚起ポイント
国民生活センターは、次のようなポイントに注意するよう呼びかけています。
【怪しいサイトの見分け方】
商品価格が極端に安い(市場価格の半額以下など)
支払い方法が銀行振込のみや前払い限定
会社情報(住所・電話番号・運営者名など)が不明確または虚偽
問い合わせ先がメールアドレスのみで、返答がない
サイトURLが、正規企業のものと微妙に異なる(例:co.jp → .xyz、.online など)
【安全な買い物のために】
信頼できるECモール(楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなど)や、農協・自治体などの公式通販を利用する
支払い方法にクレジットカードや代引きがあるかを確認する
不審に思ったら注文前に消費生活センター(188)へ相談
■ 激安価格は「この価格は本当に妥当か?」と疑う習慣を
今回の詐欺事例は、「生活必需品である米」にターゲットを絞っている点で、多くの家庭が被害に遭いやすい極めて悪質なものです。詐欺サイトは、巧妙なデザインや広告文で信用を得ようとしますが、少しでも違和感を覚えたら即購入は避けるべきです。特に「価格が異常に安い」「支払いは振込だけ」などのサイトは要注意。安さだけに惹かれず、“安全に買えるかどうか”を重視する姿勢が、被害防止の第一歩となります。