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【損をしない】所得税の医療費控除、知っておきたい7つのポイント


医療費控除は、所得税の節税対策の一つで、対象となる医療費を支払った場合、一定の条件下で税金の戻りが期待できるものです。主な控除対象には、病院での診療費、入院費、介護施設の費用、治療に必要な薬の費用などが含まれます。ただし、自由診療や高額な治療材料の費用、差額ベッド代、通院のためのタクシー代やガソリン代は対象外です。医療費控除額は、支払った医療費から保険金でカバーされる額や10万円(または総所得の5%のいずれか少ない方)を引いた額で、上限は200万円となっています。セルフメディケーション税制との併用は不可です。申請時には「医療費控除の明細書」を添付し、領収書は5年間保存が必要です。確定申告での手続きにかかるコストと還付金額のバランスを見て、控除の利用を考えることが重要です。

【損をしない】所得税の医療費控除、知っておきたい7つのポイント

入院費や手術代、歯の治療費などの支出が発生した場合、所得税の医療費控除を適用することで税金が戻ってくる可能性があります。

今回は医療費控除の対象になる医療費の種類と計算方法、申告する際の注意点について解説します。

医療費控除の対象になる医療費の範囲とは

医療費控除は所得控除の一つで、その年に支払った医療費に応じた額を所得金額から差し引きます。

控除対象となる主な支出は次の通りで、病院の診察料や治療費だけでなく、介護施設に支払う費用や薬代も該当します。

電車やバスなどの公共交通機関を利用して通院をしている場合には、交通費も医療費控除に含めることができます。

*医療費控除の対象となる主な医療費*
病院の診察料・治療費・入院費

介護施設の費用

治療に必要な施術費

治療するために必要になる医薬品の購入費

助産師による分娩の介助の対価

医療費控除の対象にならない費用

医療費控除の対象となる入院費は、医師等の診療等を受けるために直接かつ通常必要なものに限られ、入院時に個室を指定したことで発生した差額ベッド代は、医療費控除の対象外です。

歯の治療に関しては、一般的な治療は医療費控除の対象となりますが、自由診療や特殊な高価な材料を使用した治療など、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる費用は医療費控除の対象外です。

通院時の交通費に関しては、公共交通機関を利用できない場合を除き、タクシー代は医療費控除の対象にはならず、車で通院する際に支払ったガソリン代や駐車料金も医療費控除に含めることはできません

納税者が支払っている医療費のみが控除対象

医療費控除の対象になるのは、自分または自分と生計を一にする配偶者や、親族のために支払った医療費に限られます。

生計を一にする」とは、日常の生活の資を共にすることをいい、一緒に暮らしている家族は基本的に生計を一にしている親族に該当します。

親が子どもの医療費を支払っている場合には、その医療費も控除対象となりますが、家族が自分で支払った医療費を合算することはできません

医療費控除の額はその年に支払った医療費が対象となるため、今年入院等で医療費が発生したとしても、支払いが翌年になったときは、翌年の医療費としてカウントすることになります。

医療費控除の計算方法

医療費控除は、支払った医療費をそのまま所得控除として差し引けるわけではありません。

<医療費控除の計算式>

(実際に支払った医療費の合計額-(1) )-(2) =医療費控除の額(※)

(1) :保険金などで補てんされる金額

(2) :次のいずれか低い金額

  • 10万円

  • 総所得金額等の5%

※200万円が上限

総所得金額等が200万円以上の方は、10万円を差し引いた額が医療費控除として差し引く金額になるため、10万円超の医療費を支払っていないと医療費控除は適用できません

10万円超の医療費を支払っている場合でも、保険金や出産一時金などによって補てんされた金額があるときは、補てん金額を差し引くことになるのでご注意ください。

医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらかしか適用できない

セルフメディケーション税制は、健康の保持増進および疾病の予防として一定の取組を行っている方が、対象医薬品を購入した際に適用できる控除です。

対象医薬品の購入費用等で1.2万円超の支出が発生した際に適用できるため、適用するハードルは医療費控除よりも低いです。

対象医薬品は、医療用医薬品だけでなく、薬局やドラッグストアで購入できる医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)も含まれ、スイッチOTC医薬品と同種の効能または効果を有する一定の医薬品も対象医薬品に該当します。

参考:セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について|厚生労働省

医療費控除とセルフメディケーション税制を併用して適用することは認められていないため、双方の要件を満たす方は、より節税になる制度を選択して適用することになります。

確定申告手続きを行う際の注意点

医療費控除を適用する際は、確定申告書に医療費を支払った病院や金額などを記載した「医療費控除の明細書」を添付することになります。

確定申告は、その年に発生した所得金額に応じた税額を計算・精算するための手続きなので、申告する際は医療費控除だけでなく、給与所得などの所得についての記載も必要です。

医療費の領収書等を申告書に添付する必要はありませんが、5年間は保管しなければならず、税務署から提示や提出の求めがあった際に応じられないと、医療費控除の適用が否認されてしまいますので、領収書等は申告後も破棄せず管理してください。

還付される金額は個人差が大きい

医療費控除は所得控除の一つなので、医療費控除の額がそのまま還付金として戻ってくるわけではありません

所得税の適用税率が10%の方であれば、医療費控除として1万円を控除できたとしても、還付される所得税額は1,000円です。

所得税以外に復興特別所得税、住民税も還付されます。

所得控除は適用される所得税の税率が高い人ほど節税効果が高くなり、所得税の最高税率である45%が適用される納税者であれば、医療費控除が1万円でも、4,500円分の所得税が還付されます。

医療費控除を適用するためには所得税の確定申告書の提出が必須ですので、医療費控除を適用したことで還付される金額よりも、申告手続きにかかるコストが高くなる場合には、あえて申告を行わないのも選択肢です。

納税額が発生するときは必ず申告・納税が必要となりますが、還付申告に関しては手続きしなくても罰則を受けることはありません

還付金を受け取るために、戻ってくる税金以上の支出を生じさせるのは本末転倒ですので、医療費控除を適用する際は、どのくらい税金が還付されるのか事前にシミュレーションすることをオススメいたします。

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