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金融所得に対する課税は優遇されている?金融所得課税の「1億円の壁」とは


金融所得課税は、配当金や株式売却益など金融商品からの所得に課せられる税金であり、所得に対して一律15%の税率が適用されます。この仕組みにより、高所得者層が恩恵を受ける現象が起こっていることが問題視されています。特に、所得が1億円を超えると、金融所得の割合が高くなるため、相対的に所得税の負担率が低下する「1億円の壁」が存在することが指摘されています。このため、政府は高額所得者に対する金融所得課税の強化を議論していますが、現在すぐに増税が実施される予定はありません。また、新NISAという金融所得からの利益を非課税にする制度もあり、新政権の動きが注目されています。

金融所得に対する課税は優遇されている?金融所得課税の「1億円の壁」とは

令和6年の衆議院選挙ではいろいろな変化があり、同年11月11日に第2次石破内閣が発足しました。

石破首相は、過去に金融所得課税を強化する発言をしたことが注目されましたが、なぜ金融所得課税の増税を検討しているかはあまり知られていません。

そこで今回は、金融所得課税の仕組みと、金融所得に対する課税強化が検討されている理由について解説します。

資産家優遇制度の問題点を問う「金融所得課税の1億円の壁」とは?

金融所得課税は金融商品に課される税金

金融所得課税は、配当金や株式売却益など、金融商品から生じた利益(所得)に対して課される税金をいいます。

個人の所得は所得税の課税対象となりますが、所得の種類によって所得金額の計算方法だけでなく、適用される税率も異なります。

たとえば給与所得や年金(雑所得)などは、所得金額が大きいほど適用税率が高くなる「総合課税」の対象で、所得税の税率は5%から45%までの7段階に区分されています。

一方、金融所得課税の一つである株式の譲渡所得は「分離課税」の対象で、所得税の税率は一律15%です。

所得税と住民税、復興特別所得税の税率を合計すると20.315%になり、売却益の約2割は税金として納めることになります。

金融所得課税の適用税率は原則一律

金融所得課税に適用される税率は原則一律なので、利益の大小で適用税率が変動することはありません。

所得金額が小さい場合には、総合課税に適用される税率よりも高いですが、総合課税は課税所得金額330万円から所得税の税率が20%に上がるため、所得が一定以上になると金融所得課税に適用される所得税の税率(15%)の方が低くなります。

たとえば、課税所得4,000万円以上の給与所得を得ている方は、最高税率45%が適用されますが、同じ4,000万円でも、株式の譲渡所得として得た際に適用される税率は15%のままです。

したがって、所得金額が大きいケースほど、相対的に金融所得課税の税負担が軽くなる仕組みになっています。

株式の譲渡所得として得た際に適用される税率は15%のまま

金融所得課税の1億円の壁とは

ニュースやSNSなどで、「金融所得課税の1億円の壁」のワードを目にしたことがあるかもしれません。

所得税は所得金額が大きい人ほど適用税率が高くなるため、通常は所得金額が増えるにつれて所得税の負担率は上昇しますが、

年間所得が1億円付近を境にして、所得税の負担率が低下する現象


が起こっています。

負担率が低下している要因として挙げられているのは、富裕層ほど金融資産から発生する所得が多い点です。

金融資産から生じた所得は、金額の大小に関係なく適用税率が原則一律であるため、本来負担率が高くなる富裕層の負担率が下がっていると考えられています。

そのため、国は負担率が低下している1億円超の金融所得を有している方を対象に、金融所得課税を強化することを議論しています。

なお、石破首相は就任後の衆院代表質問で「現時点で具体的に検討することは考えていない」と明言しましたので、すぐに増税が実施されることは考えにくいです。

石破首相の今後の対応に要注目

新NISAは金融所得課税が非課税になっている

新NISAは、金融所得から発生する利益を非課税にする制度なので、金融所得に対する税率が引き上げられたとしても、非課税であれば基本的には影響はありません。

ただし、将来的に税制改正でNISAの非課税の範囲が制限される可能性や、NISA制度が廃止になることは否定できませんので、新政権の動向は注視してください。

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