昨年の12月末現在のNISA口座の総件数は、金融庁の調査(令和6年2月9日公表)によると、約2,136万口座、保有金額が約35兆4,253億円に達しています。
NISA口座の保有者数としては、1人1口座が決まりなので、昨年末までに少なくとも2,000万人を超えており、日本の人口の約2割近くの人がNISA口座を利用していることになります。
更に、今年からスタートした新NISAも加わり、まさしく「貯蓄から投資へ」の流れが加速している状況です。
たとえば、銀行の定期預金の口座に預けているお金は、1か月先や一年先の元本や利息の貯蓄額が分かります。
一方、投資は、市場での取引価格が常に変動するので、将来「いくら儲かるか」また「いくら損するか」全く先が読めないので、特に投資が初めての人にとって不安に感じるのはごく当たり前です。
「投資は支出と捉えるべき、リターン(もうけ)はない」と心得る!
投資を始めるに当たっての心構えは、まず「投資はお金を失うことも必ずある」と覚悟を決めて臨むことでしょうか。
投資も支出である以上、「サイフから一旦出ていったお金は、戻ってこない」と心得るべきでしょう。特に、投資詐欺のカモにされないためにも、この心構えはけっこう重要です。
なぜならば、投資に対して支払ったお金は、「将来、それ以上の額で戻ってくる、支払った額(元本)で戻ってくる、それ以下の額で戻ってくる」など、その結果にたいしては、一般的に何の保証もありません。
したがって、投資は「お金を失う覚悟」を決めるのと同時に、家計資金のなかの余裕資金で運用することが理想です。その家計資金は、一般的に次のように分類されています。
生活資金
これは日常の生活費(3か月~6か月分が目処)など手元に置いていつでも使えるお金で、安全性の高い預貯金に限定されます
使用予定資金
住宅資金、子供の教育費、車の購入など、概ね10年以内に使用する予定のお金で、預貯金・国債・貯蓄型保険など安全性を重視した商品を選択、ただし、運用期間と使用時期を事前に確認しておくことに注意が必要です
余裕資金
生活費や使用予定資金以外のお金のことで、これらの投資に回せる資金は、株式や債券のほか、リスク分散と軽減を目的とした投資信託などの積極型資産(リスク資産)が選択可能です
このように、投資の対象となる資金は、特に、余裕資金を中心にその範囲内で行う以上、精神的なストレスも比較的軽減されます。
投資に「たられば」は何回も起こりうる!
「たられば」という言葉は、辞書によれば、「もし、あの時~していたら、もし、~していれば」など、事実とは関係のないまたは事実と違ったことを仮定してそれを悔やむ、という意味で使われています。
投資については「買うより、売るタイミングが一番難しい」と言われます。
過去を振り返って、「あの時、B社の株を売っていなかったら」今頃は、大きく儲けていたのに」というようなことがよく起ります。
実際、それに関しては筆者自身も非常に苦い経験をしています。
売った時の判断は、それなりの理由があったので仕方がないと考えるしかありません。
しかし、「逃がした魚は大きい」のが常です。
これらの経験から、全てに当てはまるわけではありませんが、「購入した銘柄を長期間保有(長期投資)していれば良かった」と何度も実感しています。
「この経験は授業料だった」と捉え、また、しっかり反省をしつつ、気持ちを速くリセットすることです。
このためには、株式に例を挙げると、売ってしまった銘柄は、自分のリストから完全に消し去り、株価もチェックしない、つまり、過ぎたことは決して振り返らないこと、これも思い切った「開き直り」です。
投資はいつも教科書通りにいくとは限らない!
投資の勉強をすれば必ず儲かるとは限りませんが、お金を運用するには基本的な知識の習得や投資経験を積むことが必要不可欠です。
ただ、相場は心理的なことも含め変動要因が数多くあるため、将来の相場を100%完璧に予測し続けることは、たとえ投資のプロであっても存在しないといえます。
つまり、すべてのことが常に教科書通りの動きをするとは限らないので、プロでない投資家にとっては、良い意味での「開き直り」の精神も大切です。
また、著名な専門家が紹介または推奨する投資手法と同じ考えであれば、それを参考に自分の投資に採り入れることは価値があるかもしれません。
たとえば、世界三大投資家の一人であるウォーレン・バフェット氏は、今から4年前に、今後上昇が見込めると判断した日本の5大商社株の積極的購入を明らかにしていました。
事実、5大商社の最近の株価は、4年前と比べ5社平均で3倍超に急騰しています。
ただ、こういった投資情報をただマネすることは冒険です。これは違う意味での「開き直り」です。
「開き直り」のためには自分のリスク許容度を確認しよう!
投資を始める前に自分のリスクを知っておくことはとても大事です。
本来、リスクは「危険」という意味ですが、金融の世界においては、市場で取引される金融商品の価格・為替・金利などの変動幅のことで、その幅が大きければ大きい程リスク度合いが大きいことを意味します。
リスク許容度は、「どこまでのリスクならば許せるか」つまり「どの程度の損失幅までなら受け入れられるか」というもので、ここでは損失についての許容度という意味で用いられます。
投資にあたっては、「リスク許容度を確認しないまま、リスクの高い金融商品を購入してしまい、その結果、大きな損失が発生して初めて気づくこと」がないようにしたいものです。
まずは、自分のリスクに対する考え方は、ただ漠然としているより、自分がどれに最も近いのかを確認しておくことです。
また、リスク許容度は一度だけでなく、投資に関する知識や経験、資産額などに応じて何度でも確認し直すことも大事です。
最近、問題となっているSNSの投資詐欺等については、ほとんどの場合が「儲け話はどこか探せばあるかもしれない」と信じて疑わない投資の未経験者や投資初心者であることが容易に想像できます。
しかし、現実は「リスクのない投資なんてほぼ100%存在しない」と心得るべきで、被害に遭わないためにも「投資は支出」と「開き直る」ことが一番です。
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