日本銀行によるマイナス金利解除により、住宅ローンの固定金利型の金利上昇や一部の金融機関では定期預金の金利が上昇しています。
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個人向け国債の利率も、日本銀行の国債買い入れ減額も伴って上昇しています。
個人向け国債とは、どのような商品でしょうか。
そして、選択肢のひとつとして検討してもよいのでしょうか。
債券とは何か?
株式は会社に対してお金を「出資する」のに対して、債券は国や会社に対してお金を「貸す」金融商品です。
債券は株式とは異なり、満期(償還日)が定められており、満期日(償還日)には額面金額(100円)が戻ってきます。
途中も定められた利子が支払われます。
また、この債券は有価証券ですので途中、その時点での金利情勢に応じて売却することができます。
なお株式と同様に、貸付相手の国や会社が破綻した時には利子が支払われないことや、額面金額が戻ってこないケースもあります。
したがって、債券を購入する時には、利率だけに目を奪われるのではなく、債券の発行元の信用力(格付け)を調べておく必要があります。
株式投資と比べるとリスク(収益のブレ幅)は少ないのが特徴です。
個人向け国債とは?
個人向け国債は日本国が発行する債券です。
半年ごとに適用利率が変わる「変動10年」、
発行時に設定された利率が満期まで変わらない「固定5年」
同「固定3年」
の3つがあります(発行金額、中途解約時、償還金額はともに額面100円につき100円)。
この個人向け国債は通常の国債とは異なる点もあり、それがメリットの1つになっている部分もあります。
なお、NISA制度(成長投資枠、つみたて投資枠)の対象外ですので、利息に対して20.315%(所得税・住民税)が課税されます。
<個人向け国債の特徴>
最低利率を保証している(0.05%/年)
販売価格(購入単価)は最低1万円から1万円単位で購入可能
→証券会社、銀行などの金融機関や郵便局に口座を開いて申し込むだけで購入できる。
購入手数料は不要
発行後1年経過すればいつでも1万円単位で中途換金が可能
→ただし、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる。
発行月は毎月(年12回)
→自分の合ったタイミングで購入することができる。
この個人向け国債の最大の特徴は、中途換金ができるところです。
通常の債券では満期まで保有しない場合は、債券市場で売却することになります。
固定金利型の債券で購入時点よりも売却時点での金利情勢が上昇している時には元本割れすることがありますが、個人向け国債では中途換金による元本割れはありません。
<参考>格付け:AA+、公表日2023年10月13日、2024年5月31日時点、格付投資情報センター(R&I))
※格付け会社により格付けが異なることがございます。この格付けは将来を保証するものではございません。
個人向け国債の利率が上昇中
直近に募集(令和6年6月6日~令和6年6月28日)した個人向け国債の金利は、次の通りとなっています。
変動10年(第171回) 0.69%/年
固定5年(第159回) 0.59%/年
固定3年(第169回) 0.40%/年
※いずれも税引き前
変動10年は2012年以来の水準、固定5年では2009年以来の水準にまで利率が上昇しています。
固定3年に至っては過去最高を更新しました。
日本銀行がマイナス金利を解除したことによって、国内では忘れかけていた「金利のある世界」が、個人向け国債にも波及している状況です。
個人向け国債の購入の判断は?
個人向け国債と比較されやすいのは金融機関の定期預金になります。
金融機関の中でもネット銀行の定期預金の金利は高めに設定されており、3年満期の定期預金ですと0.30%~0.45%/年(2024年6月時点)となっていますので、個人向け国債「固定3年」と遜色ありません。
個人向け国債は発行後1年経過すればいつでも中途換金が可能ですので、言い換えると1年間は中途換金の特例(口座名義人の死亡、大規模な自然災害による被害)以外は引き出すことができません。
また、1年経過時点で中途解約を行うと、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれるますので、プラスマイナスゼロになります。
個人向け国債は、満期日まで保有することが前提になります。
今後の定期預金と個人向け国債のそれぞれの金利情勢にもよりますが、1年未満も含めて途中で解約する可能性があるのであれば、定期預金に預け入れる選択肢になります。
長期間使う予定がなく、株式や投資信託での運用リスクを取りたくない場合には個人向け国債を購入する選択肢になります。
いずれの場合でも、定期預金と個人向け国債の両方をよく比較された上でご検討ください。