「キャッシュレス派 vs 現金払い派」という争いがありますが、そもそもこの分け方には矛盾があると感じます。
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デビットカードやプリペイドカードといった前払いキャッシュレス決済を推奨する理由としてよく挙げられるのが、「使い過ぎを防ぐ」「お金の流れを把握したい」です。
実はキャッシュレスを敵視する現金払い派の主張と同じです。
この記事では、現金派も転向していいはずの前払いキャッシュレス決済を見ていきます。
掛売りこそ正統派だとみなすキャッシュレス派にとっても、現代の前払いは活用し甲斐のあるものになってきました。
前払いのキャッシュレス躍進中
個人の信用に基づいた後払いが、掛売り(クレジット)です。
いっぽう、前払いのキャッシュレスでは、自己が銀行に保有する残高、あるいはそこから引出した現金のみを原資にして決済します。
前払いキャッシュレスを使うには、審査はありません。
そして、おおむね15歳以上から使えるため、中高生のキャッシュレス手段としても役立ちます。
掛売り(クレジット)はキャッシュレスの必須要素ではない
キャッシュレスイコール掛売り(クレジット)と思っている人も多いものです。
掛売りは、個人の信用に基づき後で代金を支払う方式で、使うには審査が必要です。
掛売りには、「お金がなくても支払える」「リボ払いが使える」といった、いかにも現金派が反発しそうな要素を除いても、これだけメリットがあります。
・ 選べるクレジットカードの種類が多い
・ キャッシュレス決済との組み合わせも選びやすい
・ 還元率が高め
・ クレジットカードから電子マネーやQRコード決済にチャージする際にポイントがたまるものがある(決済とWポイントとなる)
・ ETCカードを申し込める
・ クレジットカードがないと、申し込めないカーシェア、サブスクや格安SIM携帯などが多い
ETCやサブスクについては、掛売りであることが通常求められるため、クレジットカードの代替手段はなかなかありません。
特にカーライフはクレジット必須です。
しかしそれ以外の支払いは、後払いでも前払いでも構わないものです。
還元率の高い前払いキャッシュレスもあります。
キャッシュレスを決済原資で分けてみる
スマホ決済では、当然ながら決済の原資が必要です。
決済原資の違いにより、キャッシュレス決済を分けてみます。
2. デビットカード … 決済分が銀行口座からただちに引き落とされる
3. クレジットカード … 信用で決済原資を埋めて、後から利用代金をまとめて支払う
カードタイプだけではありません。
チャージして使う電子マネー(交通系や楽天Edy、WAON等)も、1の一種と考えられます。
それから現金派の多くが対立する存在だとみなしているPayPay等のQRコード決済も、決済原資の作り方については、方法はさまざまです。
1~3のすべてがQRコード決済で利用できます。
「前払い派でキャッシュレス派」の人もいていいわけです。
前払いキャッシュレスも現金に触れなくていい
キャッシュレス決済の多くが、現金でもチャージ可能です。
今でもイオン館内のチャージ機で電子マネーWAONに現金チャージする人は多いものです。
ただ、スマホ決済が主流になった最近は、やり方がもう少しスマートです。
銀行口座残高をキャッシュレス決済の残高にできる方式が増えました。
プリペイドカードやQRコード決済、電子マネーも、銀行からのチャージがスムーズになりました。
現金に触れないこの方法は、立派なキャッシュレスです。
あとは数字(還元率)の問題だけですが、これについても差がつかなくなってきました。
常に銀行に一定の額がある人にとっては、掛売りの必要のない時代となりました。
ツジトミ事件の再来に注意
大手から中小まで、スーパーマーケットには独自の電子マネーというものがあります。
現金チャージして使うもので、実際にはプリペイドカードと言ったほうが適当です。
2022年に、京都府のスーパー「ツジトミ京田辺店」が経営破綻し、すでにチャージ済みの残高が返ってこなくなった事件がありました。
ツジトミでは、多額のチャージにプレミアを付与していました。
多額チャージで得をするだろうと考えた人が被害者となったわけです。
脱毛サロンや英会話の前払いと似ています。似たようなことは今後も必ずあるでしょう。
「見えるお金」にこだわるはずの現金派が、「見えている気がするお金」に移し替えた結果、損したわけです。
教訓を読み取るなら、「必要ない額のチャージは避けるべき」でしょう。
この点、キャッシュレス派のほうがよほどしっかりしています。
おすすめ前払いキャッシュレス
お得な前払いキャッシュレスを紹介します。
完全キャッシュレス派の筆者は、「前払い」であることに特段の価値を見出してはいません。
決済原資がいつ引き落とされるかに関係なく、お得な決済であれば使います。
おすすめ (1) Visa LINE Payプリペイドカード
Visa LINE Payプリペイドカードはバーチャルカードで、スマホで使います。
クレジットカードからのチャージはできませんが、LINEの本人確認をすれば、銀行口座からチャージして使えます。
還元率は驚異の3.0%です。ただ、次の通りさまざまな制限があります。
・ 3.0%還元になるのは月3万3,334円まで(1,000ポイントで打ち切り)
・ ポイントが付くのはVISAのタッチ決済のみ
・ 毎月エントリーが必要
制限がいろいろあっても、数字は圧倒的です。後払いよりお得な前払いです。
タッチ決済で乗れる鉄道やバスが増えましたが、その支払にもおすすめです。
おすすめ (2) 楽天銀行からチャージの楽天キャッシュ
2024年6月3日から楽天キャッシュは、楽天カードでチャージしてもカードのポイントがつかなくなります(決済時0.5%の付与に変更)。
これにより、楽天カードからチャージしても、楽天銀行からチャージしても、楽天キャッシュの還元率の点では差がなくなりました。
こうなると、銀行からのチャージのほうが正解かもしれません。
すでにPayPayが、PayPayカードからのチャージも、銀行からのチャージも同じ還元率になっているのと似ています。
ただPayPayの場合は、PayPayカードをセットした「クレジット」が還元率1.0%で有利だという違いがあります。
おすすめ (3) SONY Bank WALLET
ソニー銀行のデビットカード「SONY Bank WALLET」は、後払い優勢の流れを変えた1枚でしょう。
初期状態で0.5%の還元率が、ステージアップにより0.5%ずつ上がり、最上級は2.0%です。
次のいずれかの方法でステージを2番目の「シルバー」に上げて、還元率1.0%にできます。
・ 預金残高300万円
・ 外貨預金積立月3万円
・ 投資信託積立月3万円
外貨は海外旅行時に現地で引き出せますし、日本円も引き出せます。
還元率1.5%または2.0%で使うなら、クレジットカードが大部分不要になるかもしれません。
キャッシュカードとしては、月4回ATM手数料無料です。
参照:ソニー銀行
おすすめ (4) GMOあおぞらネット銀行Visaデビット
GMOあおぞらネット銀行Visaデビットは、還元率0.6%スタートで、取引実績により0.2%ずつ還元率が上がり、最大で1.2%となります。
1.2%にする最も簡単な方法は年会費3,300円のプラチナデビットカードを持つことです。
さらにATM手数料が月20回無料となるので、メインバンクとしてフル活用できます。
参照:GMOあおぞらネット銀行
おすすめ (5) りそなデビットカード〈JMB〉
りそな銀行は、クレジットカードよりもデビットカードが優秀です。
次の3種類があります。
・ りそなデビットカード
・ りそなデビットカード〈プレミアム〉月会費700円
・ りそなデビットカード〈JMB〉年会費実質無料
りそな銀行は還元率2.0%のプレミアムを推していますが、JALマイルがたまるJMBカードが面白い存在です。
年1回の利用で年会費1,100円は無料で、そしてマイル還元率0.5%です。
マイル還元率0.5%とは、通常のポイント還元率で言うと1.0%相当ですので、優秀です。
参照:りそな銀行
前払いキャッシュレスにも注目を
デビットカード、プリペイドカードその他前払いのキャッシュレスがずいぶんと充実してきました。
そして、現金派とキャッシュレス派の不毛な対立の中間に位置づけられるものです。
クレジットカードに比べると少ないですが、たまに入会キャンペーンもあります。
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