毎月の社会保険料はどのように決まっているかと言うと、総支給額に対して率を乗じる雇用保険料とは異なり、「標準報酬月額」に応じて既に保険料額が決まっています。
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標準報酬月額は、原則として1年間同じ(年の途中であっても、著しい変動があった場合には随時改定(または月額改定)が行われます)です。
そこで、約264万人が対象になると言われている、標準報酬月額の引き上げについて解説します。
標準報酬月額の仕組み
まず健康保険と厚生年金においては上限が全く異なります。
健康保険の標準報酬月額は139万円が上限であるものの、
厚生年金の標準報酬月額は65万円が上限です。
今回議論されているのは厚生年金の標準報酬月額の上限の改正であり、2024年度末までに結論が出るものと報道されています。
上限が改正された場合の影響とは?
高報酬層に位置する被保険者の場合には、月々負担する厚生年金の保険料が上昇することとなります。
厚生年金の保険料が上昇することで所得税額が低くなる方向に進むものの、手取り額が少なくなるという視点は多くの被保険者が感じることでしょう。
また厚生年金の保険料にかかわらず、健康保険も同様ですが、これらの社会保険料は会社と被保険者が折半するものです。
言い換えると、上限が改正されることによって被保険者だけでなく、会社の負担が大きくなるため、経営的な問題もはらんでいるということです。
近年は「社会保険倒産」と言う報道にもある通り、社会保険料の負担が重く、経営問題に発展しているケースも少なくありません。
少子高齢者の影響もあり、社会保険料は年々上昇しており、決して小さな問題とは言えません。
どのような被保険者が影響するのか?
まず、保険料率のように全員が該当するということではなく、そもそも厚生年金の32等級(標準報酬月額65万円)は、月々の報酬が63万円以上66万5,000円未満の被保険者が対象となっており、それ以上の報酬を受けている被保険者が対象となります。
言い換えると、それに達していない被保険者であれば、影響がないということになります。
似て非なるものとして、厚生年金保険料率があります。
厚生年金保険料率は多くの民間企業は、法律上18.3%となっており、既に法律上上限いっぱいとなっています。
すなわち、厚生年金保険料率については改正の予定はなく、あくまで今回議論されているのは厚生年金の標準報酬月額の上限の改正であると言うことです。
仮に、標準報酬月額の上限が改正され、33等級以上となった場合には、当然月々の保険料の負担額が労使ともに上昇することとなります。
他には被保険者のメリットとして、年金額の上昇が挙げられます。
老後の年金は現役世代の報酬相当額(賞与も含む)が計算に用いられることから、月々の保険料の負担はデメリットに感じられるでしょうが、年金額が上がる事はメリットになるでしょう。
また、年金制度の特徴として、原則として65歳の受給開始以後自身が亡くなる月まで年金は受給することができます。
当然自身が亡くなる月の年金は自身で受給することは不可能ですが、その分の年金は一定の範囲に属する遺族が未支給年金と言う形で受給することができますので、自身が受給できずとも、一定の範囲に属する遺族に対して、最後に残してあげられる遺産となります。
短期的にはデメリットでも長期的にはメリットとなりうる
法改正は今回に関わらず、社会経済情勢等を勘案して、さまざまな形で継続的に行われるものです。
これは特定の被保険者等をおとしめるものではなく、制度自体を持続させる意味や、特定層の救済措置的な意味も含めて行われることが通常です。
よって、短期的にはデメリットに見える部分があっても、長期的にはメリットになりうる点があるため、長期的な視点も併せ持つことが重要です。
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