現状、年金受給額は、物価変動や賃金変動に合わせて毎年改定する仕組みです。
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また、年金の改定率は、物価変動率や名目手取り賃金変動率による改定率からマクロ経済スライドによる調整率を引くことにより算出されています。
2024年1月19日に総務省から、「令和5年平均の全国消費者物価指数」が公表されました。
これを踏まえて2024年1月19日に、厚生労働省より令和6年度(2024年度)の年金額改定について発表されました。
厚生労働省の発表によれば、新規裁定者(67歳以下の方)、既裁定者(68歳以上の方)ともに令和6年度の年金額の改定率は前年度から2.7%の引き上げです。
今回は令和6年度の年金受給額満額と、改定率の決定方法についてわかりやすく解説していきます。
令和6年度の老齢基礎年金の満額
老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上あれば、原則65歳から受給できます。
老齢基礎年金を満額受給するためには、480か月の保険料納付済期間が必要です。
令和5年度の老齢基礎年金の満額受給額は、 新規裁定者(67歳以下)が月額6万6,250円(年額79万5,000円)、 既裁定者(68歳以上)が月額6万6,050円(年額79万2,600円)です。
令和6年度の老齢基礎年金の満額受給額は、 新規裁定者(67歳以下)が月額6万8,000円(+1,750円)、既裁定者(68歳以上)が月額6万7,808円(+1,758円)になります。
年金額改定の計算
令和6年度の年金額改定率の計算に必要な値は、以下になります。
・ 物価変動率3.2%
・ 名目手取り賃金変動率3.1%
・ マクロ経済スライドによるスライド調整率マイナス0.4%
年金額の改定率は、物価変動率、または名目手取り賃金変動率からマクロ経済スライドによるスライド調整率を引くことにより算出します。
物価変動率、名目手取り賃金変動率のどちらを使用するかは、変動率がプラスかマイナスかや、どちらが大きいかなどで以下のように変わるのです。
(1) 物価変動率、賃金変動率ともにプラスの場合
物価変動率と賃金変動率のどちらが大きいかで、物価変動率、名目手取り賃金変動率のどちらを使用するか決まります。
1. 賃金変動率>物価変動率の場合
新規裁定者は賃金変動率、既裁定者は物価変動率を使用
2. 物価変動率>賃金変動率の場合
新規裁定者、既裁定者ともに賃金変動率を使用
(2) 物価変動率がプラス、賃金変動率がマイナスの場合
新規裁定者、既裁定者ともに物価変動率と賃金変動率両方とも使用しない
(3) 物価変動率がマイナス、賃金変動率がプラスの場合
新規裁定者は賃金変動率、既裁定者は物価変動率を使用
(4) 物価変動率、賃金変動率ともにマイナスの場合
1. 賃金変動率>物価変動率の場合
新規裁定者は賃金変動率、既裁定者は物価変動率を使用
2. 物価変動率>賃金変動率の場合
新規裁定者、既裁定者ともに物価変動率を使用
令和6年度の場合は、(1)-1に該当しますので、新規裁定者、既裁定者ともに賃金変動率を使用します。
そのため、令和6年度の年金額改定率は、新規裁定者、既裁定者ともに以下の計算式で算出されるのです。
3.1%(名目手取り賃金変動率)-0.4%(マクロ経済スライドによるスライド調整率)
=2.7%(年金額改定率)
増額ですが、物価高などに対応できるかは疑問
このように、令和6年度の老齢基礎年金の満額は、令和5年度からプラス2.7%の増額です。
ただし、月額約1,700円の増額では、近頃の物価高などに対応できるかは疑問です。