税金は定められた期限までに納付しなければならず、未納となっている場合、税務署は色々な手段を用いて税金を回収します。
そこで今回は、税金を滞納するデメリットと、税務署が税金を回収するために行う手段について解説します。
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令和4年度の租税滞納状況
国税庁が令和5年8月に公表した資料(※)によると、令和4年度末で滞納整理中となっている額は8,949億円です。
新規発生滞納額は7,196億円と高額なのは間違いありませんが、バブル経済末期の平成4年には滞納額が1兆8,903億円まで膨れ上がっていましたので、滞納額が最も多かった時期と比べると4割程度まで下がっています。
滞納している税金を種類別に見てみると、令和4年度の新規発生滞納額が最も多い税目は意外にも消費税の3,630億円です。
所得税は2,153億円と消費税よりも少なく、法人税は956億円、相続税は367億円となっていますので、どの税目にも一定の滞納が発生しています。
≪画像元:国税庁(pdf)≫
期限までに税金を納めないと延滞税が発生する
延滞税は、納付が遅れたことに対するペナルティです。
税金を定められた期限までに納付しなかった場合、納付が完了するまでの日数に応じて延滞税が賦課されます。
未納となっている税額が大きければ延滞税の額は増えるのはもちろんのこと、納付するまでの日数が遅くなるほどペナルティは重くなります。
ペナルティを抑えるためには1日でも早く未納を解消する必要があります。
滞納しても最初から財産を差し押さえられることはない
税金を滞納した場合、職員が自宅に訪れて財産を差し押さえられるイメージがあると思います。
税務署が財産を差押えするためには手続きが必要であるため、税金を滞納したとしても、財産をすぐに差し押さえられることはありません。
滞納が発生した際に税務署が最初に取る手段は、納税者に対して督促状の通知をすることです。自主的な納付を求めてきます。
住民税などの地方税は役所から納付書が送られてきますが、税務署が管轄している税金は原則として自主納付となっています。
税務署から納付書が送付されないことで納付するのを忘れてしまい、意図せず滞納となってしまうケースもありますので、督促状が届いた場合には内容を確認し、必要に応じて納付を済ませてください。
督促に応じないときは財産の差し押さえに移行しますが、納付が困難なときは税務署の担当者(徴収部門の職員)に連絡し、納付する意思を示すことで差押えを回避できます。
税務署は税金の納税額を1円も安くすることはありませんので、延滞税を増やさないためにも、早期に納付を完了することが望ましいです。
納付困難な場合は事前に税務署へ相談すること
税金の種類や状況によっては納税を猶予する措置が適用できるケースや、分割して納付することが認められる場合もあります。
分割納付だと本税に加えて利息相当額を支払うことになりますが、督促を受けることなく支払えます。
納付期限の前に税金の支払いが困難であることが判明している場合には、前もって税務署に相談してください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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