
大阪・関西万博が開催されている人工島「夢洲」(大阪市此花区)で、蚊に似た羽虫「ユスリカ」が大量発生している。人を刺して血を吸うことはない。ただ、来場者から「気持ち悪い」「不快だ」といった声が上がっており、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)や大阪府などが対策に乗り出している。
ユスリカは、ハエ目ユスリカ科に属するハエの仲間。池の近くや川沿いなどで、柱状に飛ぶ。国内では約1000種類が報告されていて、このほとんどの種類は、水中や湿った土の中で卵から幼虫、さなぎになり、最後に成虫へと変わる。
万博協会によると、大量に発生しているのは、水上ショーなどが催される会場南側の「ウオータープラザ」付近。大屋根リングの柱や建物壁などにとまっているほか、光に誘引される性質があることから夜間は照明などに群がっている。
会場を訪れた20代の女性は「顔の前に飛んできて、手で追い払わないと歩けないほどだった」と話した。
死骸を吸い込むなどするとぜんそくやアレルギー症状を引き起こす可能性もあり、万博協会は今月に入って雨水をためる設備や水たまりが発生しやすい植栽などに薬剤を散布し、ユスリカの繁殖を抑える対策を取っている。だが、会場内では依然として大量に発生している状況だという。
大阪府の吉村洋文知事は21日の記者会見で、殺虫剤などを製造、販売する「アース製薬」(東京)に駆除の協力を求めたことを明らかにした。
そのうえで「あまりに多く発生すると不快に思われる方も多くなる。これはちょっと『看過できない』と感じた。できる限りの対応を取っていきたい」と述べた。【岡崎英遠、面川美栄】