新NISAの開始を2024年に控え、再び多くの方の投資熱、関心が増しているように見受けられます。
年間非課税投資額の拡大、非課税運用期間の無期限化という画期的な改正となることもあり、将来的に新NISAを活用している人としていない人とで格差が拡大してしまうとまで言われています。
将来のために資産形成することはとても素晴らしいですが、同時に悩みの声も聞こえます。
どのファンドにいくら投資するべきなのかという前向きな悩みもあれば、預けた資産がマイナス、もしくはなくなってしまうことはないのかといったネガティブな不安を抱えている方も多いようです。
資産運用途中で投資商品が下落、資産価値が目減りしてしまう可能性があることは理解しているが、ゼロになってしまうことはないのか。
仮に証券会社が倒産してしまったら運用どころではなく、預けている資産は全てなくなってしまうのではないかといった不安も聞こえます。
今回は証券会社が倒産してしまったら皆さんの資産は守られるのかについて、解説したいと思います。
新NISA「一括投資」と「積立投資」選ぶときに考慮するポイント
みなさんの資産は分別管理されているので安心です
証券会社が倒産してしまった場合、預けている資産(現金、株式、投資信託など)がどうなってしまうのかを理解するために、投資信託の仕組みを見ていきましょう。
皆さんが投資信託に投資する場合、基本的にSBI証券や楽天証券といった証券会社に口座を開設し、その証券会社を通じて売買をすることになります。
一見すると皆さん投資家と証券会社の2社のみがこの売買、運用に関わっているように見えますが、実はそうではありません。
皆さん以外にも下記3社が関わっているのです。
≪画像元:一般社団法人投資信託協会≫
1. 販売会社(証券会社、銀行など)
その名の通り投資信託を販売する会社で、証券会社や銀行がここにあたります。
直接皆さんとやり取りするのがこの販売会社で、まさに「投資の窓口」となる役割を持っています。
現金の入出金も、売買の指示も、保有している資産残高の確認も全て証券会社などの販売会社へ行う形となりますので、販売会社が皆さんの資産を管理しているように見えますが、そうではありません。
あくまでも窓口となる役割を担っているのが販売会社です。
2. 信託銀行(受託者)
では皆さんの資産を実際に管理しているのはどこかというと、信託銀行になります。
信託銀行は皆さんの資産を保管、管理する役割を担っています。
信託銀行は後に解説する運用会社の指示に従って、株式や投資信託などの売買や管理を行います。
また、信託銀行自体の資産と皆さんから預かった資産は別で管理されているので、ここが倒産しても預けている資産がなくなることはありません。
3. 運用会社(委託者)
その名の通り投資信託を作り、皆さんから預かった資産をもとに運用する会社です。
投資の専門家がどの資産にどのように投資、運用するのかを決め、信託銀行に対して運用を指示します。
実際に資産運用をするのがこの運用会社となりますので、最も重要な役割を果たしているといえるでしょう。
各投資信託の目論見書に関係会社の記載あり
投資信託の運用には販売会社、信託銀行、運用会社の3社が関わっていることについて解説してきました。
具体的にどの会社が関わっているかについては、各投資信託の目論見書にしっかりと記載されています。
例えば下は「SBI・V・ S&P 500インデックスファンド」の目論見書の抜粋です。
≪画像元:SBI証券≫
右下部分に委託会社と受託会社の記載があります。
このファンドでは委託会社が「SBIアセットマネジメント株式会社」、受託会社が「株式会社りそな銀行」ということになります。
販売会社は「SBI証券」です。
各ファンドの目論見書に必ず記載がありますので、ご自身が投資するファンドに関わっている会社を知りたい方は確認してみるといいでしょう。
倒産リスクへの過度な心配は無用
このように投資信託にはさまざまな会社が関係しています。
実際に売買のやり取りをしているのは販売会社となる証券会社や銀行ですが、その裏にはしっかりと資産が保全される仕組みが整っているのです。
証券会社が仮に倒産してしまっても、皆さんが預けている資産がなくなることはありません。
そこはご安心いただければと思います。
また、証券会社が悪意を持って投資家の資産を分別管理していなかったとしても、1,000万円を上限に補償されることも定められています。
1,000万円以上の資産を預けている投資家からすると心配になるかもしれませんが、基本的に分別管理をしていない証券会社は今の時代はないと考えて差し支えないでしょう。
どうしても心配な方は、複数の証券会社に資産を分散させておくとより安心かもしれません。
ですが個人的にはこういった倒産リスクについては、過度に心配する必要はないと考えています。
それよりも、どの程度の資産をどのように運用し、目標をどこに置くのかといった資産運用自体に思考を向けることをおすすめします。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)
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