相続が発生してから数か月経過した後、税務署から「相続税についてのお尋ね」の文書が送られてくることがあります。
税務署から突然書類が届くと驚いてしまいますが、少しでも知識を有していれば不安を和らげることができます。
本記事では、税務署から相続税のお尋ね文書が届いた際の対処法について解説します。
「相続税のお尋ね文書」とは
相続税のお尋ね文書は、税務署が相続人に対し、相続税の申告の有無を確認させるために送付する書類です。
税務署が扱っている税金は申告納税制度を採用しており、納税者が自主的に申告・納税をしなければなりません。
相続税は亡くなった人が一定額以上の財産を保有していた場合、申告手続きが必要ですが、相続税は生涯に一度申告する機会があるかどうかの税金ですので、申告しなければいけないことを知らない人も少なくありません。
そのため税務署は自主的な申告を促す意味も込め、相続人等に対してお尋ね文書を送付し、相続税の申告が必要になる可能性があることを周知しています。
お尋ね文書が届いた際にやるべきこと
税務署から相続税のお尋ね文書が送付されましたら、相続税の申告が必要になるかを確認してください。
相続税には基礎控除額があり、亡くなった人の財産の総額が基礎控除額以内であれば相続税はかかりません。
相続税の基礎控除額の計算式
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数 = 基礎控除額
相続税の非課税対象であれば、相続税の申告書を提出する義務はないため、お尋ね文書に同封されている「申告要否検討表」を提出するだけで大丈夫です。
(申告要否検討表は相続税の申告の有無を簡易的に判定する書類であり、相続税の申告書ではありません。)
お尋ね文書を送付した相続人等から反応がない場合、税務署は申告要否検討表等の提出を促してくることもあります。
申告要否検討表の提出は任意ですが、提出を催促された際は、申告要否検討表の提出または電話で担当者に申告不要の旨を伝えるのが無難です。
基礎控除額を超える相続財産がある方は相続税の申告が必要
相続財産が基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要になります。
(相続税の申告書を提出する方については、申告要否検討表の提出は不要です。)
相続税の申告期限および納付期限は、被相続人(故人)が亡くなった日の翌日から10か月以内です。
期限を過ぎてから相続税の申告書を提出すると、本税のほかに加算税・延滞税を支払うことになりますので、期限に間に合うように手続きしてください。
相続税は富裕層だけでなく、サラリーマン家庭も課税対象になる可能性のある税金です。
もし税務署から相続税のお尋ね文書が届きましたら、申告の有無を確認していただき、状況に応じた対処を行ってください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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