国家公務員の夏のボーナス(令和5年6月期の期末・勤勉手当)は約63万7,300円と、昨年同期の約58万4,800円に比べて約5万2,500円も増加しています。
現在の日本の状況下で、国家公務員のボーナスが増えたことに納得できない方もいらっしゃると思いますので、今回は元国家公務員である筆者が、国家公務員のボーナスが増えた理由について解説します。
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国家公務員のボーナスの金額は企業をベースに算出
国家公務員の給与関係は、民間企業の給与をベースに計算されます。
景気が悪くなれば国家公務員のボーナスも減りますが、民間企業のボーナスが増えれば、国家公務員のボーナスもそれに準じて増加する仕組みです。
一方で、民間企業の給与を参考にしている感覚が得にくいのは、国家公務員の給与を算出する際の対象となる民間企業は、従業員が50名以上の会社に限定されているからです。
総務省のデータ(令和3年経済センサス‐活動調査産業横断的集計)によると、従業員50人以上の事務所は全体の6%未満です。
世間的には「民間企業=中小企業」ですので、従業員50名以上の会社の給与を参考にしている国家公務員の給与は、イメージしている額よりも多いと感じるかもしれません。
令和5年6月の国家公務員のボーナスが増加した理由
内閣官房内閣人事局は、国家公務員の令和5年6月のボーナスが増加した理由として2点挙げています。
- 昨年6月期の期末手当の支給において行われていた令和3年12月期の期末手当引下げ相当額(0.15か月分)の減額が、今期は実施されなかったこと
- 昨年の人事院勧告に基づく給与法等の改正により、勤勉手当の支給月数が0.04月引き上げられた
職員の平均年齢が下がったことで、平均給与額が減少している部分もありますが、プラス材料の方が大きかったため、国家公務員の夏のボーナスは増加した結果になっています。
国家公務員が受け取るボーナスの平均額は実際にはもっと高い
夏のボーナス約63万7,300円は多いと思うかもしれませんが、本当の国家公務員のボーナスの平均額は、この額よりも高いです。
内閣官房内閣人事局が公表している金額の対象となっているのは、行政職職員の一般職国家公務員で、管理職は除かれています。
管理職は一般職員よりも給与は高いので、管理職を含めて計算すれば、実際の平均額はさらに上がります。
若手の国家公務員の給与は低い
今回公表された夏のボーナスの平均年齢は33.8歳となっていますので、国家公務員として働き始めた人がその金額を受け取れるわけではありません。
公務員は依然として年功序列の体制ですので、20代の人が大きく昇進することはありませんし、給与が劇的に増えることもないです。
国家公務員へ支払われるボーナスの大小の感じ方は人それぞれですが、表面上の情報だけでは、実態が把握しにくい部分がある点は覚えておいてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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