4月26日に国立社会保障・人口問題研究所は、「日本の将来推計人口(令和5年推計)」結果を公表しました。
将来推計人口と聞けば、人口減少と高齢者の増加は多くの方が予測できることでしょう。
しかし、具体的にどのように人口は減少していき、少子化や高齢化はどのように進んでいくのでしょう。
そして、今後の私たちのライフプランにはどのような影響があるのか、今からできることを考えていきます。
新社会人が4月の給与明細を見る際に気を付けるべき2つの注意点
2070年には生産年齢人口が3,000万人減少
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」結果によると、2070年には総人口が8,700万人、出生数が50万人と推計されています(2020年時点では総人口は約1億2,600万人、出生数は約87万人)。
15歳〜64歳の生産年齢人口も2070年には4,535万人と現在よりも50年後には約3,000万人減少し、0〜14歳の人口全体に占める割合は1割を下回る推計となっています。
なお、それ以外の推計では、2036年には65歳以上の人口全体に占める割合が33.5%となり、総人口のうち3人に1人が65歳以上となります。
2034年~2037年まで、さらに2047年になると、0〜14歳の人口全体に占める割合が9.9%となり、その後も10%以下が続きます。
2058年には約9,968万人と総人口が1億人を下回ります。
少子化加速で社会保障制度の維持は難しく
人口が減少していくと、働き手の減少などから国の経済力が低下していくと言われています。
これまでは高齢者や女性の就業者を増やすことで補ってきましたが、そもそもの総人口が減少することで限界もあるでしょう。
また、人口減少を生産性の向上で補うという考え方は以前から言われていますが、急に生産性が向上できるものでもありません。
そして、少子化加速では健康保険制度や公的年金制度などの社会保障制度は、保険料を支払う担い手が減少し給付を受ける高齢者が増加していくとなると、今の制度を維持するのは難しくなるでしょう。
社会保障制度を今後も維持させるために、保険料を上昇させることは限界があると言えるでしょう。
また、国からの社会保障関連の支出も令和5年度の社会保障関連費は36.8兆円となっており、一般歳出の約半分を占めております。
こちらも、国からの歳出を増やすことも限界があると言えるでしょう。
となると、社会保障制度を維持させていくには、高齢者も含めた給付を抑えていく方法が考えられます。
特に今後も増加していく高齢者の給付を抑えることの方が、維持していくための効果は高いと言えるでしょう。
2024年に公的年金の財政検証が公表されます。
その時に公的年金の将来像も公表されるとは思いますが、どのような公表内容であれ、将来の公的年金の給付額は確実に減少していくでしょう。
また、健康保険制度も同様に高齢者を中心とした医療費の自己負担割合の増加、将来的には現役世代の自己負担割合の増加も将来的には考えられるでしょう。
これらの給付の改正は急激に大きく行われるのではなく徐々に行われていきますので、俗に言う家計が「ゆでガエル理論」に陥らないように注意が必要です。
今後のライフプランへの対策は「より確実に!」がキーワード
家計の見直しは、
- 収入を増やす
- 支出を減らす
- 運用する
の3つしかありません。
今後、3つ以外の方法が出てくることもないでしょう。
また、家計の見直しに魔法はありません。
一方でルールはあります。
「収入を増やす」については、今の収入を増やすことができるのであればいいのですが、簡単な話ではありません。
しかし、収入を得る期間=働く期間を伸ばすことであれば、今から準備は可能でしょう。
60歳以降のキャリアプランについては60歳手前からでは遅く、50歳に入ると行っておく必要があります。
「支出を減らす」については、支出へのメリハリを付けることで不要な支出を減らしそれを継続することが大切です。
ゼロベースで家計の支出について考えてみましょう。
そして「運用する」については、運用=リスク(収益の変動幅)があるから行わない、では長い目で見たライフプランにリスク(危険)を及ぼすことにつながってしまいます。
少しでもリスクを減らす運用方法など、まずは興味を持ってみてできることから行動に移すことが必要です。
これらのことは、いまさらながらの感もあるとは思いますが、知っていてもできているとは限りません。
なんとなくではなくより確実に、そして時間を武器にする。
それが今の時点でできる将来に向けた対策でしょう。(執筆者:CFP、FP技能士1級 岡田 佳久)