長い人生、真面目に働いていてもお金に困ることがないとはかぎりません。
「お金に困ることは恥ずかしい」と感じ、誰にも相談できずにキャッシングやクレジット支払いなどを繰り返し、破産や夜逃げ、自死を選択してしまうケースも少なくありません。
借金に苦しむ多くの人たちを見てきた元錦秋社員の立場から、キャッシングやクレジット支払いなどを繰り返す前に頼ってほしい施設やサービスについて紹介します。
元金融社員が教える「お金に困ったら」借金する前に頼るべき施設やサービス
行政に頼ることは「悪くない」
ニュースなどで見聞きする、生活保護や児童扶養手当の不正受給などはいけないことですし、支援に甘えて働かなくなってしまっても大変です。
けれど、一時的に行政に頼って生計を立て直したり治療に専念したりすることは決して悪いことではないので、まずは今回紹介する施設やサービスを頼ってみてください。
また、「ヤバイかも…」と感じたときには「時すでに遅し」といった状況に陥っていて、行政やサービスを頼るだけでは改善が難しいケースも多いです。
「生活が少し苦しいかも?」
「このままの生活で大丈夫?」
と感じたら、行政を頼ったりサービスを利用したりして、生活の立て直しを図りましょう。
生活にまだゆとりがある場合の相談窓口
生活にまだゆとりがある状態というのは、「半年先以降の生活に不安はあるが、現状はまだ滞納などせずどうにか生活できる状態」が目安です。
「生活困窮者自立支援制度」でおこなっている必須事業は下記2種類です。
1:自立相談支援事業
就労や自立に関する相談を受け付け、自立に向けた支援計画の作成などをおこなってくれますが、金銭的な支援はありません。
自治体によっては「どのように生計を立て直していくか」をいっしょに考えてくれるだけでなく、ほかの機関と連携して仕事を紹介してくれるようなケースもあります。
2:住居確保給付金の支給
「住居確保給付金の支給」とは、家賃相当額を原則3か月(最長9か月)の有期で給付してくれる制度です。
離職・廃業から2年以内または休業などにより収入が減少し、住居を失うおそれのある人が対象となっています。
家を失いそうなときや失ったとき
重複しますが、「生活にまだゆとりがある場合の相談窓口」の項目で紹介した「生活困窮者自立支援制度」の「住居確保給付金の支給」は、家を失いそうなときに利用してほしい制度です。
また、東京都のように、住居のない人に一定期間宿泊場所や衣食の提供をする「一時生活支援事業」などを任意事業としておこなっている自治体も少なくありません。
家を失ってしまったときは、お住まいの自治体に連絡し、宿泊場所や衣食の提供をしてもらえないか尋ねてみてください。
月々の収入+毎月10万もらって資格を取る
本人収入が月8万円以下(給与・年金・仕送り・養育費などの合計)で、世帯収入が月25万円以下であれば、就労中であっても毎月10万ずつもらって資格を取ることが可能です。
この制度は「職業訓練受講給付金」と言い、会社員や自営業者を問わず受けられますし、対象となる商業訓練の内容もバラエティに富んでいます。
ただし、国民から集めた税金で実施されている制度のため、確認や条件も細かいです。
たとえば、現金・預金・株・投資信託などを含む世帯全体の金融資産が300万円以下や現在住んでいる土地・建物以外を所有していないなど。
また、訓練実施日には全出席(やむを得ない理由がああっても、支給単位期間ごとに8割以上の出席)が必要などルールあるので、必ず事前に確認してください。
相談窓口はハローワーク
「職業訓練受講給付金」についての相談窓口は、ハローワークです。
紹介した相談窓口の連絡先が知りたい
≪画像元:厚生労働省≫
相談窓口は各自治体によって異なるため、お住まいの各自治体のほか、厚生労働省のホームページから住まいの困りごと相談窓口の「すまこま」へ問い合わせるのがおすすめ。
「すまこま」では「住まい」についての相談ごとを主に取り扱っていますが、「働きたくても働けない」といった事情を抱えた人の相談窓口なども案内してくれます。
ご自身の状況を説明し、マッチした相談窓口を教えてもらいましょう。
体調が悪いけど病院代がない
≪画像元:全日本民主医療機関連合会≫
各都道府県には、無料または低額な料金で診療する「無料低額診療事業」をおこなう医療機関があり、全日本民主医療機関連合会のホームページで調べることができます。
対象となるのは、下記のような生計困難者です。
・ 低所得者
・ 要保護者
・ ホームレス
・ DV被害者
・ 人身取引被害者
など
給料日前や金欠の場合は病院に相談する
「無料低額診療事業」の対象に当てはまらないケースでも、給料日前や金欠、ATMが閉まっているといった理由ですぐには病院代が支払えないこともあるかもしれません。
そういうときは、診察に行こうとしている病院へ電話して事情を説明してみてください。
もちろん、約束した期日までにきちんと支払うことが条件です。
まずは実施の有無や内容の確認を
今回紹介した制度は、各自治体によって実施の有無や内容が異なっている場合もあります。
まずは実施の有無や内容の確認をしてください。
親身になってくれる担当者の方がほとんどですが、なかには見下した話し方をしたり、本当に頑張っていて困っているのに「もっと頑張れるだろう」と言ったりする人もいるようです。
無理をせず、ご自身の状況を素直に伝えたり担当者を変更してもらったりすることで解決することもあります。(執筆者: 山内 良子)
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