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12月中旬発表予定の「税制改正大綱」に注目 首相官邸が「NISA恒久化」を決断


これまで何度かNISA制度恒久化に関する記事を書かせていただきましたが、今回はさらにうれしい追加情報が出てきました。

11月28日、新しい資本主義実現会議において資産所得倍増プランが決定しました。

その資産所得倍増プランの中に、しっかりとNISA制度恒久化に関する事項が盛り込まれていることに喜びを隠せません。

岸田首相がNISA恒久化について明言していることは過去に解説した通りですが、さらにそれが文章として発表されたことは大きな前進です。

「税制改正大綱」に注目

金融庁が何度も要望を重ねては否決されてきたNISA制度の恒久化。

特に

・ 投資可能期間の無期限化

・ 非課税期間の無期限化

・ 非課税投資枠の拡大

の3つは実際にNISA制度を活用している全投資家にとってメリットしかない内容となっています。

まだ恒久化が確定したわけではありませんが、今年はこれまでとは確実に違います。

金融資産1000万円が「見える世界が変わる」節目 つみたてNISAを続けることで到達可能

新しい資本主義実現会議にて資産所得倍増プランが決定

岸田政権発足当時から「貯蓄から投資へ」の号令のもと、さまざまな会議を重ねてきました。

中でも「新しい資本主義実現会議」がその中心を担ってきたのですが、11月25日に資産所得倍増プラン(案)が策定され、そこから数日後、11月28日に資産所得倍増プランが正式に決定したとのことです。

参照:首相官邸内閣官房

特に大きいのが、

・ NISA制度は中間層を中心とする層の資産形成のために活用されている

・ 制度をシンプルにすることにより中間層を中心とする層の資産形成を更に促すためにNISA制度の恒久化を図る

・ 非課税保有期間の無期限化

・ 非課税限度額の引き上げ

といった内容がしっかりと明言されていることです。

今回は新しい資本主義実現会議(第13回)資料3:資産所得倍増プランを参照しながらNISA制度恒久化について見ていきたいと思います。

(1) NISA制度の恒久化

現行制度では一般NISAが5年間、つみたてNISAが20年間という非課税期間が設定されています。

この期間内の投資で得た利益については非課税となる制度ですが、いつから始めても上記期間非課税となるわけではありません。

一般NISAは2028年まで、つみたてNISAは2042年までの期限が設定されているため、投資を始めるのが遅くなればなるほど使える非課税期間が短くなってしまいます。

例えばつみたてNISAを2030年から始めたとすると、そこから20年間制度を活用できるのではなく、あくまでも2042年までの13年間しか非課税投資ができないことになっています。

その欠点に対して

・ 安定的な資産形成を促す観点からは将来にわたって安定的な制度としてNISAを措置する

・ それにより継続的な投資を促すことが可能となる

・ 中間層を中心とする層が将来にわたって安定的に資産形成を行う環境を整備する

といった理由からこの非課税期間の恒久化が明記されています。

(2) NISAの非課税保有期間の無期限化

先にも解説した通り、現行制度では

・ 一般NISAでは5年間

・ つみたてNISAでは20年間

の期間についてのみ非課税となっています。

この非課税保有期間を無期限化する方針ですが、理由として以下があげられています。

1. 投資は短期的には収益に振れが生じるものであるが、長期的に平均すれば資産形成に大きな効果がある

2. 非課税期間に期限が存在することで、長期で価格が上昇するのを待つのではなく、短期的に損益を確定させてしまい、長期で保有を継続するというインセンティブが生じにくい制度となってしまっている

3. 20歳代や30歳代からつみたてNISAを始めた場合、未だに資産形成の段階にある時期に20年間の非課税保有期間の期限が到来し、資産を活用する時期を迎える前に金融資産を取り崩すこととなる

NISAを活用している投資家であれば皆が理解しているであろう内容がしっかりと記載されています。

このため、「生涯の上限枠」を設定することを前提に非課税保有期間の無期限化を実施し、長期保有へのインセンティブを抜本的に強化することが狙いとのことです。

「生涯の上限枠」がいくらとなるのか不明点はありますが、無期限で非課税保有できるメリットは非常に大きいでしょう。

複利の効果はその期間が長ければ長いほど大きく働きます。

何としても実現してほしい内容です。

(3) 一般NISA・つみたてNISAの投資上限額の増加

現行制度では

・ 一般NISAで120万円

・ つみたてNISAで40万円

が年間投資枠の上限となっています。

資産所得倍増プランではこちらの引き上げについても明記されています。

1. 年間投資枠の上限まで投資を行う投資家が多く存在すること

2. 働き方が多様化する中で、資金に余裕のあるときに集中的に投資を行うことができる環境を整備することが望ましい

3. つみたてNISAの年間40万円の上限額では毎月の上限額が12か月で割り切れず、毎月均等額で積立投資ができる金額とすることも必要

といったことがその理由としてあげられており、両NISA制度の上限額を引き上げる必要があるとなっています。

実際に投資枠上限まで使っている投資家が多いということはさらに投資に回す余力がある家庭も多いということになります。

「貯蓄から投資へ」を実現するためにも、中間層の更なる資産形成につなげるためにも投資上限額の増加は必須といえるでしょう。

12月中旬発表予定の税制改正大綱に注目!

金融庁が長年要望してきたNISA制度の恒久化。

今年は自民党金融調査会、首相官邸ととても大きな援護射撃があります。

これらの内容が全て白紙撤回ということは流石に無いはずです。

ですがまだ確定ではありません。

全ては間も無く(12月中旬頃)発表される予定の税制改正大綱次第です。

岸田首相がはっきりと「進める」と断言したことは大きな前進といって間違いないでしょう。

今月発表される税制改正大綱が待ち遠しく、期待に胸を膨らませております。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)

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