10月から、「雇用保険」の個人保険料が値上がりします。
企業側の負担増はすでに4月から始まっていて、3月までの0.6%が、4月以降は0.85%にアップしています。
本来ならば個人の「雇用保険」も同じ時期に0.3%から0.5%に上がるはずでした。
けれど、個人の保険料アップが10月になったのは、参議院選挙があり、党内から選挙の前に負担が増えると不利になるという声が上がったので、選挙の後の10月に先送りされたのです(農林水産・清酒製造その他は0.4%から0.6%)。
ちなみに、
「雇用保険」は、31日以上雇用される見込みがあり、かつ1週間の所定労働時間が20時間を超えて働く人なら、加入しなくてはならない公的な保険で、保険料は給料の中から差し引かれます。
実際に、10月からどれほど負担が増えるかといえば、月給15万円なら450円から750円に、30万円の人なら900円から1,500円になります。
このほか、ボーナスからも引かれるので、人によっては年間で1万円近くの負担増となるケースも出てくるでしょう。
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「雇用保険」でもらえるのは、「失業給付金」だけではない
「雇用保険」は、失業したときに次の職につくまでの間に「失業手当」を支給される保険だということは、多くの人が知っていることでしょう。
もらえる額や期間は、会社を辞める時に「自己都合」か「会社都合」かで大きく変わり、「会社都合」で辞めさせられる場合の方が、圧倒的に早く無多額の給付金がもらえます。
ただ、意外と知らないかもしれませんが、勤めている間でも、「雇用保険」は上手に使うことができます。
「教育訓練給付金」や「育児休業給付金」、「介護休業給付金」、「高年齢雇用継続給付金」など、必ずしも失業しなくても使えるものがいろいろとあるのです。
「教育訓練給付金」
資格取得やスキルアップを目指し、対象となる教育講座などを受講した場合、買った費用の20〜60%を受け取れます。
「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」があって、たとえば「一般教育訓練給付金」で簿記一級をとるのに20万円かかったら、請求すれば4万円を戻してもらえます。
「育児休業給付金」
子育てのために育児休業をとっているあいだ、通常の給料の3分の2程度を受け取ることができます。
出産した本人だけでなく、夫も対象となります。
ただし、会社から休んでいる間も給料が80%以上出る場合には、支給されません。
「介護休業給付金」
2週間以上にわたり介護が必要な家族がいたら、最大93日を限度に3回まで休みが取れ、その間は通常の給料の3分の2程度を受け取ることができます。
ただし、会社から休んでいる間も給料が80%以上出る場合には、支給されません。
「高年齢雇用継続給付金」
60歳で定年を迎えた後も継続して雇用されたり、再就職した場合でも賃金が60歳時点の75%未満に低下したら、65歳になる前まで、最大で給料の15%の支給を受けることができます。
まだまだ値上げが続く中、もらえるものはしっかりもらう
10月からは、「雇用保険」だけでなく、今まで払わなかった社会保険を支払わなくてはならなくなる人も出てきます。
夫がサラリーマンでパートで働いている人は、勤め先が101人以上の企業で月に8万8,000円以上の給料をもらっていたら、10月からは社会保険料を支払わなくてはならなくなります。
仮に給料が12万円なら、1万8,000円前後(40歳以上は介護保険料も)引かれます。
さらに、10月からは火災保険の保険料も平均で10%前後上がります。
物価高で食料品やガソリン代、電気代などが驚くほど上がり続けている中での保険料の値上げですから、家計にとっては由々しき問題です。
使えるものは、しっかり使い、元を取りましょう。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)
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