米国株の下落が止まりません。
個人投資家にも人気のS&P500やナスダックは年初来安値を更新、一体どこまで下落が続くのか、不安が不安を呼ぶ状況となっています。
株価下落の要因は多岐に渡っており、主だったものでも
• 金融引き締め策の加速懸念
• ロシア、ウクライナ紛争の長期化懸念
• 中国のゼロコロナ政策による経済減速懸念
と不安材料目白押しです。
直近では米小売り大手ウォルマートの決算が市場予想に届かなかったことでも株式市場にマイナスの衝撃を与えました。
現在米国株に投資している多くの方が利益の毀損に悩んでいることと思います。
ですが大きく下落しているということは、逆の言い方をすれば「買い時」だといえるかもしれません。
値が下がっている時に買い、上がった時に売却する。
キャピタルゲイン(売却益)を得るためには絶好の仕込み時だと考えている投資家も少なくはないでしょう。
今が米国株の仕込み時、買い時なのでしょうか。
【逆イールド発生】米国株の下落はこれから本格化か まだまだ残る不安についてわかりやすく解説
不安要素が多く残る米国経済、大きなポジションで買い向かうのは尚早か
米国経済にはまだまだ不安要素が残っています。
年初来安値を更新しているとはいえ、全力で買い向かうにはまだ早いかもしれません。
FRBの政策金利引き上げ
5月のFOMC(連邦公開市場委員会)において政策金利を0.5%引き上げることを決定しました。
この0.5%の引き上げ自体は既に市場も織り込んでいたため、大きな動揺はありませんでしたが、問題はこれからの金利引き上げペースです。
FOMCは年に数回開催されており、そこで政策金利が決定されることになっています。
インフレが急激に進行している今、政策金利を引き上げることにより経済に落ち着きを取り戻そうとしているのが現在の米国です。
2022年の残るFOMC開催月は6月、7月、9月、11月、12月ですが、各回において政策金利を引き上げていくことはほぼ確実となっており、その引き上げ幅に注目が集まっています。
5月にFOMCが開催されるまでは、6月もしくは7月あたりで0.75%幅の利上げの可能性が指摘されており、市場としても5月FOMC時のパウエル長官の発言に注目していました。
市場の予想とは反対に「6月、7月のFOMCにおいても0.5%幅の利上げを中心に議論するべき」との発言があり、予想に反して利上げ幅は小さくなる観測が出てきたため一時的に米国株は急上昇しました。
しかし翌日には再び急落、市場の見方としてパウエル長官の発言に疑問が残る、つまり利上げ幅は0.5%幅にとどまらないのではないかとの予想が出てきたためだと考えられています。
金利上昇は基本的に株価にはネガティブに働きます。
市場が予想するよりも大幅な利上げがおこなわれると株価が下がる要因になりますし、反対に小幅な利上げにとどまれば株価上昇の要因となります。
これからの利上げ幅がはっきりとしない今、株価が上昇するか下落するかを見極めるのは非常に困難でしょう。
中国のゼロコロナ政策による経済失速懸念
中国の経済失速懸念も米国株低迷の大きな要因となります。
現在中国では新型コロナウイルスの感染を徹底的に封じ込めようと大規模なPCR検査と隔離、地域の封鎖をおこなっており、市民生活と経済活動の犠牲をいとわない施策をおこなっています。
上海のロックダウンは多くのニュースでも取り上げられていたためご存じの方も多いのではないでしょうか。
上海は国際金融センターであると同時に、多くの多国籍企業が工場を置いている都市です。
ここが封鎖されてしまうと中国国内だけでなく、世界のサプライチェーンに根詰まりが起こり、海外にも打撃を与えることとなります。
世界的な物価高騰に拍車をかける形となることが大きな懸念と見られています。
中国経済の失速は世界に悪影響を与えます。
米国株の下落要因ともなり得るので注視が必要です。
小ロットで時期をずらして投資を キャッシュポジションを高めにしておくべき
不安要素が多い中、今は大きな資金で買い向かう時ではないと考えます。
もちろん「どこが底か」は誰にもわかりません。
現在の価格が底値でこれから上昇に転じる可能性もゼロではありません。
ですが「今が底値でこれからは順調に上昇していく」とする見方は少数派でしょう。
今は現金比率高めのポジションで様子見姿勢が良いと考えます。
それでも買い向かいたい場合は時期をずらして少額ずつ投資することをおすすめします。
つみたてNISAやiDeCoなどの積立投資はそのまま継続を!
積立投資の場合は株価が上昇しても下落してもそのまま今の積み立てを継続してください。
積立投資は株価の底値や天井を当てにいく投資ではありません。
株価がどのように動いてもコツコツと投資を続けることによって長期的に利益が見込める投資手法です。
ドルコスト平均法の効果を最大限活かすためにも積立額を意図的に変更することはあまりおすすめしません。
株価が下がった時は「安く投資できるチャンス」と前向きにとらえましょう。
積立投資は10年先、20年先を見据えた投資手法です。
目先の株価に惑わされることなく継続することが大切です。(執筆者:冨岡 光)
「日経平均」vs 「S&P500」 過去5年~30年間、投資していたらどうなっていたか試算してみた