とのご質問をいただきましたので、今回は不動産を経費として計上できるケースについて解説します。
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建物を事業用として使用した場合
購入した建物を事業用として使用した場合、減価償却費として経費計上することが可能です。
減価償却費とは、建物や車などの固定資産を複数年に分けて経費にする会計処理をいい、年数が経過することで価値が下がる資産(減価償却資産)を対象とします。
不動産を購入した際、建物や構築物は減価償却資産に該当しますが、土地は経年劣化しないので減価償却資産には該当しません。
減価償却資産には種類ごとに耐用年数が定められており、建物は
・ 新築、中古
・ 構造(鉄筋コンクリート造、木造等)
・ 用途(事務所用、住居用等)
によって償却年数が変わってきます。
居住用として不動産を購入した場合
購入した不動産を居住用として使用している場合、住宅ローン控除を適用できる可能性があります。
住宅ローン控除とは、10年以上のローンを組んで自宅を購入した際、借入金額の残高に応じて所得税の税額控除を適用できる制度です。
住宅ローン控除は居住目的の不動産をローンにより購入した方を対象としているため、現金で不動産を購入の際は適用できません。
また購入物件には床面積や建築年数などの要件があるため、住宅ローン控除を適用したい方は、購入予定の物件が要件を満たしているか事前に確認した方がいいでしょう。
なお住宅ローン控除を適用するためには確定申告手続きが必要ですが、適用2年目以降は会社等の年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。
購入した不動産を将来売却した場合
不動産を売却すると譲渡所得の対象となり、売却利益に対応する金額を譲渡所得税として納めることになります。
売却金額よりも購入金額の方が高ければ赤字となり譲渡所得税はかかりませんので、購入金額を確認できる書類は破棄せず保管してください。
譲渡所得の計算式
・ 収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額 = 譲渡所得金額
取得費には不動産の購入金額以外に、登録免許税や不動産取得税、購入時の仲介手数料など、取得する際に支払った費用も含まれます。
ただし事業所得などの必要経費として計上した費用は、取得費の対象外です。
また建物は、購入から売却するまでの期間に応じた減価償却費相当額を取得費から差し引かなければいけないため、売却金額と購入金額が同額の場合、減価償却費相当額分だけ売却利益が発生します。
不動産を購入したことを税務署から尋ねられることもある
不動産を購入した際、税務署から購入した物件の購入資金について尋ねられることがあります。
お尋ねに対する回答は任意ですし、自己資金や借入金により購入した場合は特に問題ありません。
一方で、不動産の購入資金を親から援助してもらった場合、贈与税の申告手続きが必要になることもあります。
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度は、申告書を提出することも要件の1つとなっており、贈与税の申告期限を1日でも過ぎてしまうと一切適用できません。
そのため親(祖父母)から住宅購入資金を援助してもらった方は、期限までに申告手続きを行ってください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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