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【マレーシアの長期滞在ビザ】新MM2Hの無視できない90日ルール


日本人にとって比較的取りやすいマレーシアの長期滞在ビザ(MM2H)が、取得するための経済的要件が大きく変わるというニュースがありました。

これが決定すると一部のお金持ち以外はかなり取得が難しくなるため、リタイヤ世代やFIREを狙う人にとっては「楽園」が遠のいてしまうという記事を8月に書きました。

新MM2H 無視できない90日ルール

新旧の共通ルールは90日ルール

その後は、マレーシア国内外で産業界や政界も巻き込みさまざまな反対論が展開されましたが、結局のところ既存の保有者に関しての経済的要件の変更は一切なく、新規取得者に対してのみ新しい経済的要件でスタートすることとなったようです。

ただし、新規の取得者にも既存の保有者にも新たに共通で課せられたルールとして「マレーシア国内の90日以上の滞在」があります。

これは何を意味するのでしょうか。

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MM2Hは移住ビザではない

もともとMM2Hは観光芸術文化省が所轄する、「マルチエントリービザ」であり、観光促進のために発行されたものです。

そしてこのビザは分かりやすくいうと

「10年間は自由に行き来して、観光を楽しんでください」

という意図で作られました。

我々日本人は世界で1番貴重なパスポートを生まれ持っているため、ほとんどの国にビザなしで自由に出入りでき、「ビザも持つ」価値はなかなかピンときません。

しかし、海外に行くのに毎回ビザを求められる国民にとっては、その利便性ははかりしれないといえます。

そして10年間は自由に行き来ができるため、「移住」というその国に行きっぱなしの人も現れたのですが、そもそも本質は観光ビザであって、移住ビザでないことに注意しなければなりません

90日ルールの意義

そして、今回所轄が入国管理局になったことで、「あまり自由に入出国させたくない」けど、「いるんだったら90日以上いてもらい、マレーシアの税法上の居住者になってもらおう」と、考え方を変えたように思えます。

それというのもマレーシアの税法上では「当暦年に182日以上滞在した場合」以外にも

「当暦年で90日以上滞在しており、かつ直前の4暦年中、3暦年において、居住者である場合、または90日以上マレーシアに滞在している場合」

でも居住者となるからです。

つまり、ビザの要件を満たすために、毎年90日間滞在した場合には、いずれ税法上マレーシアの居住者となり、マレーシア源泉の所得に関してはマレーシアに納税することになります

「日本の居住者」で有り続けるには?

ややこしいことに日本とマレーシアでは居住者の定義の仕方が違うので、マレーシアの居住者になったからといって、日本の非居住者とはなりません

マレーシアの法令の規定によりマレーシアの居住者と判定され、日本でも居住者と判定された場合には、両方で居住者となり、双方の国で課税される、「双方居住者」になるようです。

日本とマレーシアには租税条約があるので、二重課税はされないものの、外国税額控除という手続きは必要になってきます。

そして日本の居住者としては、実際の生活状態や親族の居住状態などが総合的に判定されますが、重要な点としては1年の半分の183日は日本に滞在しなければなりません。

そうなるとMM2Hを維持しつつ、日本の居住者でありつづける場合には、「年間90日以上はマレーシアにいなければいけないけども183日以上いてはいけない」という、なんとも窮屈なスケジュールになってしまいます。

コロナ後は海外テレワークで自由に日本と行き来したいと考えていた人にとってもその魅力が薄れてしまったように思えます。

今後も注視が必要

今後も注視しよう

現状のMM2Hフォルダーはリタイヤ世代が多いため、マレーシア国内源泉の収入がない人が多く、90日ルールを設けてもマレーシアの税収が多くなるとは思えません。

それでもこのルールを作ったのは、「税金が徴収できる体制づくり」のような気がします。

コロナで財政が傷ついたのは日本もマレーシアも同じであるので、今後は自国民にいかに嫌われないように税金を増やすかが、政治家の共通の課題だと思います。

MM2Hでマレーシアに住みたいと思う外国人は、選挙権もないし、どんなに税金を取るようにしても自国民にとってはなんら影響を及ぼすものではないので、ある意味自由に制度を変えることができます。

悪く考えれば、マレーシア国内源泉の所得の解釈を変えて、よりMM2Hフォルダーに税金を払ってもらう可能性が高まると考えられます

その一方で、今はシニアの方でも元気ですし、パソコンがあればどこでも働けるので、起業のチャンスや就業の自由度を広げ、稼いだら税金を納めてもらうという流れができるかもしれません。

どちらに転ぶかわかりませんが、地味に見えるルール変更もその影響は注視する必要がありそうです。(執筆者:田井 能久)

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