ジーニー Research Memo(5):2027年3月期は2ケタの増収増益を予想。エンタープライズ企業の開拓を推進
■ジーニー<6562>の今後の見通し
1. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績予想は、売上収益16,400百万円(前期比22.6%増)、売上総利益11,700百万円(同19.7%増)、営業利益2,500百万円(同62.8%増)、税引前利益2,300百万円(同72.7%増)、当期利益1,700百万円(同73.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,500百万円(同73.1%増)を見込む。なお、一過性損益を除く調整後営業利益は同58.5%増の2,400百万円を見込んでいる。売上高、各段階利益とも2ケタ成長を計画する。
2027年3月期は、広告のデジタルシフトを背景に、特に動画広告領域を中心に引き続き高い成長を見込んでいる。計画の試算にあたっては、為替や中東情勢の影響等を総合的に勘案した。なお、中東情勢が同社の属するマーケットに与える影響は限定的であると判断している。各事業においては前期の基本戦略を継続し、受注確度の高い案件のみを計画に組み入れた。このように保守的な予想としていることから、業績予想の達成確度は相応に高いと考えられる。
売上面において、広告プラットフォーム事業では、前期の組織再編及び構造改革による効果を追求する。国内外でのクロスセル施策やエンタープライズ企業の開拓を推進することで、増収を目指す方針だ。マーケティングSaaS事業では、同社プロダクトとJAPAN AIによるソリューションのクロスセルを武器に、業務へのAI導入やDXを支援するソリューションを包括的に提案し、エンタープライズ企業の開拓を進める。デジタルPR事業においては、インフルエンサーPR事業のロールアップや、ニュースリリース事業とのクロスセルを強化していく。
利益面では、各事業における増収効果に伴う成長を見込んでいる。特にマーケティングSaaS事業については通期での黒字化を実現することを目指す。さらに、各事業でAI活用を進めることにより、事業運営の効率化や業務における生産性の向上を追求する。ほかにも、フリー・キャッシュフローの創出力向上を重要目標の一つに位置付けており、財務規律の強化を推進する。営業キャッシュ・フローの創出はもとより、経営管理を徹底することで資金調達コストを抑制し、安定したキャッシュポジションを確保する方針である。
2. セグメント別業績予想
(1) 広告プラットフォーム事業
売上収益は6,224百万円(前期比14.1%増)、セグメント利益2,929百万円(同18.7%増)、営業利益2,057百万円(同33.8%増)と増収増益を見込む。前期の構造改革が奏功し、海外部門の成長が業績を牽引する想定。海外部門のPMIが進行した結果、国内での営業やマーケティング等のノウハウや知見、サービスを海外に水平展開しやすくなった。前期の業務効率化とコスト削減により、利益面でも大幅な成長を見込む。
(2) マーケティングSaaS事業
売上収益は5,792百万円(前期比29.9%増)、セグメント利益1,418百万円(同66.2%増)、営業利益8百万円(前期は364百万円の損失)を見込む。前期に続き、「GENIEE」シリーズのプロダクトとJAPAN AIのクロスセルおよびエンタープライズ企業の開拓を推進する。企業のAI導入やDXへのニーズが高まる中、AI活用の要件定義から実用化まで顧客に伴走する形で支援する。また、JAPAN AIのプロダクトである、企業の営業、マーケティング等の各部門に応じたAI Agentアプリ群を同社プロダクトと組み合わせ、費用対効果の高いマーケティングソリューションを提供する。
(3) デジタルPR事業
売上収益は4,412百万円(前期比25.6%増)、セグメント利益879百万円(同62.7%増)、営業利益497百万円(123.9%増)を見込む。美容部門に強みを持つiHackの通期での業績寄与に期待がかかるほか、インフルエンサーPR事業のロールアップ及びニュースリリース事業とのクロスセルが進む計画である。また、2026年5月にソーシャルワイヤーが子会社化した(株)SEIRYOは、TikTokをはじめとするショート動画を中心とした広告運用支援を行っており、同領域での協業が進めば早期の連結効果が期待される。なお、ソーシャルワイヤーはインフルエンサーPR事業において、同様のM&A施策を積極化する方針だ。利益面については、ソーシャルワイヤーの本社移転に伴う販管費の削減や、AI活用による開発の効率化といった施策を展開し、利益率の改善を進めていく。
成長するマーケティングSaaSやデジタルPR市場でシェア拡大へ
3. 市場規模及び市場環境
同社は、2027年3月期のターゲット市場規模を全社合計で1兆31億円と見込んでいる。内訳は、広告プラットフォーム市場が2,519億円、マーケティングSaaS市場が4,883億円、及びデジタルPR市場が2,629億円である。このうち、同社の2029年3月期までの獲得目標は、広告プラットフォーム市場で106億円、マーケティングSaaS市場で85億円、デジタルPR市場で63億円となっており、合計で254億円となる。目標を達成した時点における同社の市場占有率は、順に4.2%、1.7%、2.4%と試算され、依然として膨大な開拓余地が残る。同社の国内随一とも言えるAI実装力を背景に、広告プラットフォーム、マーケティングSaaSプロダクト、そしてデジタルPRソリューションのトータル提供を強みとし、顧客企業に新たな価値を提供することで競争を勝ち抜き、市場でのプレゼンスを高める方針である。
一方、JAPAN AIがターゲットとする国内生成AI市場は急拡大を遂げている。同社の想定では、2025年の6,879億円から、2030年には24兆円規模にまで成長すると試算している。
電通グループ<4324>が発表した「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、検索連動型広告は前年比7.4%増となり、インターネット広告媒体費に占める構成比は38.7%となった。取引手法別では、運用型広告が同12.5%増と2ケタの成長を見せ、インターネット広告媒体費に占める割合は88.7%となった。また、ビデオ(動画)広告は同22.1%増と、広告種別の中で最も高い成長率を示している。インターネット広告媒体費は2026年も堅調に推移し、全体で同8.3%増の3兆5,840億円まで拡大する見通しである。広告業界における媒体の「紙」から「デジタル」への移行はより顕著となっている。さらに、インフレ下において企業はより需要が見込まれる消費者層へ的確にアプローチする傾向が強まりやすく、デジタル分野を収益の柱として事業を展開する同社にとって、現在の市場動向は大きな追い風になると弊社では考える。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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